25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

尾鷲の魚

2018年10月12日 | 日記
全国の放送でだろうが、昨日は「豊洲、豊洲」でテレビ局が騒いだ。東京の一地方の食の台所を日本の台所と言い、ぼくらは関係ねえよ、と横向いていた。
 それよりも「鬼エビ」だの「チャンポコ」だの、「クモエビ」、二月の時期の「エタレイワシ」など豊洲に持っていかれたらたまらんで、と言っていたら「地元ですぐ消えていくわよ。量が少ないもん」と細君に宥められた。ということは希少価値があるものは豊洲では商売にならないということなのかな、と思い、「カレイの短冊」も豊洲にはないのかもしれない。

 例えば、「鬼エビ」を他所の業者が尾鷲の市場にやってきて卸し屋に頼んで買ってもらうとする。それが尾鷲では他所に行くとする。同じことが「チャンポコ」においても「エタレイワシ」や「クモエビ」についても起こるとする。すると尾鷲はずいぶんと味気のない地方の町になってしまう。ここは仲買業者に頑張ってもらわないとと思う。

 量が取れるブリやカツオ、マグロは尾鷲だけでさばけないから他所へ出て行くだろう。今やイオンのような大きなスーパーマーケットは一船買いしているから、北海道のサンマはドンドン尾鷲にも入ってくる。カツオも入ってくる。もちろんマグロも一船買いだろう。

 尾鷲でひとつの魚に的をしぼって、それが釣れれば、直接に店に送るという漁師を知っている。魚の名前は明かせないが、このやり方を広げると、漁師は直接に釣った魚を動画に撮って、全国の興味ある客に直接売ってしまう、またはセリにかけることもできることだろう。すでにそのような購入形態はあるのかもしれない。
 料理人泣かせの尾びれの近くにコブが点いた真鯛を仕入れてくる料理屋がある。以前、カウンター越しの店主に「数寄屋橋の次郎鮨は鯛は握らないらしいですよ。鯛は明石の鯛に負けるからって。それで白身はヒラメにしたって、言ってましたよ。なんでも明石の鯛はコブがついてるらしいです」
 と言うと、もう亡くなったその店主が、「オレとこの鯛は荒磯の鯛やで、明石の鯛より旨いで」と言って、「どうだい!」といわんばかりに尾びれの近くにあるコブを見せてくれた。このような真鯛もどうやら豊洲には行かないようだ。数寄屋橋次郎が明石の鯛が築地では手に入らないからねえ、と言っていたからだ。あるいは時に入るかもしれないが、不定期なのかもしれない。

 ぼくは白身の魚は薄造りにしてもらってポン酢と紅葉卸で食べるのが好きだ。わさびで食べることに抵抗がある。
 薄造りにして食べた経験と記憶の中で、ぼくなりの順位をつけてみた。
  1位 クエ
  2位 トラフグ
  3位 荒磯の真鯛(こぶ月)
  4位 シマアジ
  5位 メイチ鯛

 となる。そろそろ「土瓶蒸し」が出て来て、フグも出始める。メイチの季節は終わる。
 曽根ではアオリイカが釣れはじめた。