ソロツーリストの旅ログ

あるいはライダーへのアンチテーゼ

振り返ってみるとオートバイがいちばん好きだった

何もなくて豊かであるとは

2011年10月10日 | R1150RT (2001) あお号

久しぶりに早く起きられた。

朝日の斜光線が美しい午前6時。

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あお号(’02R1150RT)の完成された走りにうっとりしながら

峠を越えて、いつもどおり三河の山へ分け入る。

気温が下がっていて、辺りは露でびっしょりだ。

せっかく早く出られたんだから、今日は長野まで入ろうと思うけど、

トンネルの崩落でルートに制約があって、

あれこれ迷いながら走っている。

国道151号線で新野峠を越えたいが、

国道257号線から何処を回って151へ出るか、と云うことだ。

結局、田口(設楽)を過ぎて、県道10号線(愛知県・設楽根羽線)で津具へ上がり、

そこから県道428号線(愛知県・古真立津具線)で太和金トンネルの北へ出るのが良さそうだ。

もともと「428」は迂回ルートに指定されている。

なのに、ボクが実際に進んだのはどうやら県道427号線(愛知県・坂宇場津具設楽線)で

先週、長江へ行くのに田口から入った県道の続きの部分だった。

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もう最初からずっとクッネクネの林道様県道で笑いが止まらない感じのヤツだ。

でも、国道151号へは意外にいい感じで出られた。

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そのまま、早い流れのクルマたちに付いて県境の峠を目指した。

この人たちすごく速くて、ボクのメッツラーのゾウさんを潰すくらいバンクさせられたよ。

て云うか、最近はバイアスタイヤ、おまけにグネグネの2本サスのオートバイ(銀ジィのことネ)で走ってるせいか、

あお号に乗ると、まるで大リーグボール養成ギブスを外された星飛雄馬みたいな感じで、

モノすんごい剛速球がバシバシ放れる感じだよ。

パラレバーは路面の凸凹を舐めるように走るし、

ワイドトレッドのラジアルタイヤは思いどおりのラインで曲がってくれるし、

その上、まるで破綻する気配すら感じさせない。

新野峠。1060m。

秋が深まりつつある。

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新野の道の駅を通過して、阿南に入る。

ループした道路をクルクルと駆け下りて、

巾川トンネルの先で和知野ダムの方へ折れた。

「和知野ダム」はこじんまりしているけど発電用のダム。

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小さなダム湖はひっそりとして神秘的だ。

秋が深まると周囲の木々が色付いて、息をのむ程の情景になる。

ここから今日は県道243号線(長野県・深沢阿南線)で国道153号線まで出る。

この県道、現在、時間通行止めされてるので注意してね。

ボクは通行止めを知らなかったけど、偶然通行可能な時間帯でラッキーだったけど。

県道は最初から和知野川に沿ってずんずん山奥へと入って行く。

和知野川はすごくキレイな流れで、思わず見入ってしまう。

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けど、道は半端なく細くて、正直オートバイでなかったらのんびり分け入る気にはならないくらいだよ。

トラックやダンプが来ることはなかったけど、交通量はまずまず。

油断してるとオートバイでもすれ違いに気を使う個所があるから注意が必要だね。

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天部に木が生えたロックシェードが続く。(効き目あるのかよ・・・)

こんな山深さでも、しばらく行くと民家が其処彼処に見られるようになる。

ひとの気配があると当然のように田畑がある。

人間てすごいな、とつくづく思う。

大きなキンモクセイが一杯に花を付けて辺りにその香りを充満させていたよ。

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「浪合」に近づくと田畑がさらに増えた。

「熊出没注意」、「イノシシ注意」、「マムシ注意」と立札が並ぶ。

自然が豊かとはそういうことだろう。

もともとは彼らの住処なのだ。

人間は何処へでも入って行って、田畑を切り開く。

冒険家の関野吉晴さんが、信じられないような秘境での人々の営みについて

それが敗者が生き延びるための手段であった、

と話されるのを聞いて、なるほどな、と思ったことがある。

世界には、勝者が生き残り、敗者は淘汰されていく、という一面もあるけど、

敗者にも生活があるのだ。

日本の秘境にも「平家の落人」伝説がそこら中にあることからも裏付けされるだろう。

ここが、まさにそれだ、ということではないけど、

山里や離島でも多くの人たちが暮らすのを見ると、

人の営みの逞しさに感心することしきりだ。

何もない山里にも、豊かな風土が培われているのだ。

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大きな木の下のベンチで、お湯を沸かして食事をとった。

遠くのせせらぎが微かに耳に届き、

刈り取った藁を焼く煙の匂いが鼻腔をくすぐる。

ひとりぼっちで、さみしくて、とてもいい日だね。

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