人気作家今村氏の「塞王の盾」を読んだ。第166回直木賞受賞作。「小説すばる」2019年8月~20年12月、21年3月~8月号連載、552頁の大作。
もう誰も死なせねえ、この城をそして愛する者を守り切る!
戦国末期、関ケ原の役の直前、近江の大津城の攻防をめぐって、石垣を築いて城を守る職人たちと新式銃と大筒で攻撃する鉄砲職人たちとのせめぎ合いを軸に、武士、城主や領民などを巻き込んだ人間ドラマとして構築した時代小説。
久しぶりに、読書の楽しさを満喫させてもらった。
特に、戦国時代の活劇としてではなく、何のために戦うのかという命題を下地に、職人や当時の各層の人々の思いを壮大な物語に築き上げた同氏の小説作法と力量に感心しながら読んだ。
また、目の不調を抱えながらも大作を読了しえた満足感もあり、この間、楽しい日々であった。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)