自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★勝負はついた

2005年07月12日 | ⇒メディア時評
  日本テレビがこの10月から会員制のホームページを開設し、1年以内に1万本以上の番組を有料配信すると、きょうの日経新聞が報じた。テレビ業界で今後の生き残り競争に誰が勝ち名乗りを上げるのかと言えば、これで勝負はついた、フジテレビの負け、日テレの勝ちである。

  ライブドアがニッポン放送株をめぐって争奪戦を繰り広げたのは、最終的にはフジテレビの番組コンテンツを取り込むためだった。それを、フジは逃げて逃げて逃げまくって、最終的には1400億円の対価をライブドアに払うことで折り合いをつけ逃げ切った。ところが、日テレは、ライブドアがやろうとしていたことを自ら打って出てやろうというのである。日テレがやろうとしている番組のオンデマンド配信はインターネットがこれだけ普及しブロードバンド化した現在、自然といえば自然な流れなのである。逃げるほうが不自然。これをきっかけには日テレはインターネット上での主導権を握ることができるのだ。

  新聞記事によると、会員100万人以上を確保する計画という。地上波放送で広告収入に依存してきたテレビの新たなビジネスモデルとして注目を集めることは間違いない。有料配信としたのは、USENの「GYAO」のようなCM収入になると地上波放送と競合し、ヘタをするとネットの部分のCMは地上波の「おまけ」になる可能性があったからだろう。それに、広告市場のパイの奪い合いをこれ以上激化させると、ローカル局にしわ寄せがいく可能性もある。

  仮に、この有料配信が不調に終わったとしても、損害は軽微だろう。フジの1400億円のことを思えば、である。株式も反応した。日テレの東証株価、きょうの終値はプラス580円、3.77%の上げだ。大いに好感したのである。

フジはきょう、上記の新聞記事を追いかけるようにして、インターネットでの自社の番組を有料配信を今月15日から開始すると発表した。フジの新サービスは、主要なネット接続サービス業者などと提携してサイト上にフジの特設コーナーを設け、録画した番組を提供する仕組みで、地上波放送で13日から中継する女子バレーの試合を試験サービスとしてスタート。全15試合を525円で視聴できるようにする。その後、当面はCS(通信衛星)放送向けに制作した番組を中心に、1番組当たり210円で提供という。しかし、業務提携したはずのライブドアはなぜか主要なネット接続サービス業者の中に入っていないのである。これがまた不自然さを感じさせるのだ。日テレのように「1年以内に1万本の映像コンテンツを」といった腰の据わった取り組みなのかどうか。

⇒12日(火)午後・金沢の天気  くもり
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