自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★沈黙破り「弾道ミサイル」「核戦力」を強調する背景は

2022年10月11日 | ⇒メディア時評

   北朝鮮の労働新聞Web版(11日付)は、9月25日からの今月9日まで7回におよんだ弾道ミサイルの発射について、「경애하는 김정은동지께서 조선인민군 전술핵운용부대들의 군사훈련을 지도하시였다 」(意訳:金総書記は人民軍の戦術核作戦部隊の軍事訓練を指揮した)の見出しで記事と写真で紹介している。記事を読むと、この日はどこを狙ったなどと具体的に記していて実に生々しい。

   記事によると、9月25日に発射した弾道ミサイルは、貯水池に設けられた水中発射施設からの発射だった=写真・上=。水中発射ということは、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)なのだろう。記事では、「設定された高度で正確な弾頭爆発の信頼性が検証された」としている。同28日の弾道ミサイル発射は韓国の飛行場への攻撃訓練で、戦術核弾頭を想定したと記載している。具体的な核攻撃目標が飛行場であり、リアルさを感じる。

   今月4日に日本列島を通過する中距離弾道ミサイルが発射され、太平洋に落下した。写真では、金総書記がパソコンのモニターを見ながら、想定飛行を確認する様子が映っている=写真・下=。記事では、「地上中長距離弾道ミサイル」の発射は朝鮮労働党中央軍事委員会の決定によるもので、「敵に対してより強力で明確な警告を発した」と記載している。この中距離弾道ミサイルの飛翔距離は4600㌔と推定され、距離としてはこれまでの弾道ミサイルで最長だった。この射程内には、アメリカ軍のアジア太平洋地域の戦略拠点であるグアムがすっぽりと入る。核弾頭が搭載して高いステルス性能を持つB2戦略爆撃機などが展開するアンダーセン基地がある。

   記事の最後は、「敬虔な同志金正恩は、核戦力が我が国の尊厳、自己主権、射撃権の重大な義務を認識し、最強の核対応態勢を維持し、より後方を強化することへの自信を表明した」(意訳)と結んでいる。5月4日以降、弾道ミサイル発射について、国営メディアは関連記事を掲載していなかった。今回、「沈黙」を破って掲載した狙いはどこにあるのか。「核戦力」を強調するためか。7回目となるであろう核実験への連鎖はあるのか。

⇒11日(火)午前・金沢の天気   くもり時々あめ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆物価高や旧統一教会問題 ズ... | トップ | ☆番組の制作意図をさらけ出し... »

コメントを投稿

⇒メディア時評」カテゴリの最新記事