今年6月に開業予定のリッツ・カールトン福岡の裏手が芝生広場になっていて、そこで数日前「福マルシェ」というイベントをやっていました。「オーガニック」や「地産地消」をテーマにしたマーケットで、地ビールやジビエの出店が軒を連ね、賑わっていました。
リッツ・カールトンの開業には伏線があり、福岡市は2019年のG20誘致で大阪に敗れました。この時の理由のひとつが、要人を迎えるに相応しい宿泊施設が少ないというものでした。そこから福岡市では豪華ホテルの建設が相次ぎ、目玉とも言われたのがリッツ・カールトンです。
そういう経緯もあって、今年のG7サミットに福岡市は意気込んで立候補しましたが、岸田首相のお膝元である広島に敗れています。
さて、このホテルは少子化で閉鎖された「大名小学校」の跡地に建っていて、マーケットが開かれていた芝生広場は昔の「校庭」に当たる場所です。ここは半世紀以上昔、私が通っていた小学校なので、新しく生まれ変わった芝生広場に出向いたときの感慨もひとしおでした。
なお、校舎の主要部分は残されていて、福岡市がスタートアップ企業を支援する施設に変わっています。
そういうわけで、芝生広場を挟んでリッツ・カールトンと旧小学校校舎が対峙する格好なのですが、旧小学校は地上25階ガラス張りのホテルに見下ろされ、ホテルのネームバリューにも気押されているようです。毎日仰ぎ見ていた校舎の屋上があまりに低く感じて、我が母校が萎縮しているように見えるのが寂しくもあります。お洒落な「マルシェ」なんて柄でもないよねえ、と芝生の下の校庭に話しかけたりもしました。
「うちのほうが、よそよりも魅力があります」とアピールするための、豪華さを競うドライブはこれからも続くのでしょう。支店経済で支えられる地方都市から、福岡は脱却する必要もあるのでしょうが、懐かしい故郷が遠くなっていくように感じるのは、正直な感想です。
願わくば、金儲けだけに振り回されるような、浮ついた街づくりから自由であってほしい。そのためには外国や東京の資本の思惑に従うのではない、若い人たちが牽引役になれるような街づくりであってほしいと思います。