特急列車に乗り込むと、運良く禁煙車の自由席がいくつか空いていました。山の間を抜け、瀬戸内海を望みながら高松に向かいます。
普通列車とは対照的に、特急の車内アナウンスは女性の声の自動放送。非常に聞き取りやすくて助かります。思いがけず耳が「栗林」という音を拾いました。
え、栗林にも止まるの?
ホテルのチェックイン時間にはまだ余裕があります。このまま高松駅まで乗っても時間を持て余してしまうでしょう。栗林公園でゆったり落ち着いた時間を過ごすのも悪くありません。高松まで買った乗車券が一部無駄になってしまいますが、栗林で降りることにしました。
栗林駅から栗林公園までは1km弱ほど。歩いて行けないこともありませんが、4泊5日の荷物を持っているとこの距離でも大変です。ちょうど駅前でタクシーが客待ちしています。
「栗林公園の東門までいくらですか」
「ワンメーターで行きますよ」
「じゃ、お願いします」
少し走るだけですぐに着いてしまいました。
ほんとにワンメーターで来ちゃったよ。
砂利道をざくざくと歩いていきます。
4泊5日の大荷物を持って園内を歩くのも大変なので、荷物を預けましょう。
東門から入園して入園券売り場の裏側に回ると、コインロッカーがあります。ここは有料なのね。小さいボックスのほかに大きめのボックスもあるので、大型のボストンや四角いキャリーバッグも預けられます。
ゆっくりと園内を回りましょう。
雨が降り出しそうな天気ですが、強烈な日差しがない分、緑も優しく映えます。借景の紫雲山が霞んでいます。
ざく、ざく、ざく……。
湿った砂利を踏みしめて歩きます。
松がずらっとお出迎え。葉の先が丸くきれいに揃って、ぬいぐるみみたい。
松の枝は、踊るようにくねくね曲がっています。
表面にはコケがびっしり。この松たちは、長い間この地を見守り続けているのでしょう。
風がないので池の水面も穏やかです。
庭にはいくつも築山が設けられています。
芙蓉峰の急な斜面を上りきると、松に囲まれた池の奥に赤い橋が架かっているのが見えました。
芙蓉峰の南には飛来峰が続きます。一歩一歩踏みしめながら上ります。ここが栗林公園屈指の絶景ポイント。
ぱっと視界が開けました。どっしりとした紫雲山を借景に、南湖がヒスイのような緑色の水をたたえています。亀の甲羅のようになだらかな島の向こうに、こんもりとした松の生えた岸辺が半島のように池に張り出しています。太鼓橋のように丸く弓なりの橋が、すっとさりげなく視界の真ん中を横切っています。
ここは本当に都市の真ん中なのでしょうか。高松を南北に貫く太い国道がすぐそばを走っているはずなのに、そんな街の喧騒を寄せつけない重厚な歴史と伝統がこの庭園を覆っています。歴代大名が空の上から見守っているようです。この庭は静穏な、それでいて威厳に満ちた存在感に厚く包まれ、現代のせわしない空気が侵入するすき間はありません。
あのエンジンの排気音は、あのトラックの地響きはどこへ行ったのでしょう。人里離れた山の中にいるようです。
池には鯉が泳いでいます。すいすい♪
山を上ったり下りたりしていたら、お腹が空いてきました。飛来峰を下りた先にある吹上亭で何か食べられるはずです。
吹上亭のそばからは、吹上亭の名前の元となった泉 (吹上) がさわさわとわき出しています。庭から泉がわき出しているなんて、殿様の飲むお茶もさぞおいしかったことでしょう。
ちょっと遅くなりましたが、お昼ご飯にしましょう。
鳴門・高松旅行の目次は → こちら
「鳴門・高松旅行記・23 (特急うずしお)」 ←鳴門・高松旅行の前の記事 (旅程順) はこちら。
普通列車とは対照的に、特急の車内アナウンスは女性の声の自動放送。非常に聞き取りやすくて助かります。思いがけず耳が「栗林」という音を拾いました。
え、栗林にも止まるの?
ホテルのチェックイン時間にはまだ余裕があります。このまま高松駅まで乗っても時間を持て余してしまうでしょう。栗林公園でゆったり落ち着いた時間を過ごすのも悪くありません。高松まで買った乗車券が一部無駄になってしまいますが、栗林で降りることにしました。
栗林駅から栗林公園までは1km弱ほど。歩いて行けないこともありませんが、4泊5日の荷物を持っているとこの距離でも大変です。ちょうど駅前でタクシーが客待ちしています。
「栗林公園の東門までいくらですか」
「ワンメーターで行きますよ」
「じゃ、お願いします」
少し走るだけですぐに着いてしまいました。
ほんとにワンメーターで来ちゃったよ。
砂利道をざくざくと歩いていきます。
4泊5日の大荷物を持って園内を歩くのも大変なので、荷物を預けましょう。
東門から入園して入園券売り場の裏側に回ると、コインロッカーがあります。ここは有料なのね。小さいボックスのほかに大きめのボックスもあるので、大型のボストンや四角いキャリーバッグも預けられます。
ゆっくりと園内を回りましょう。
雨が降り出しそうな天気ですが、強烈な日差しがない分、緑も優しく映えます。借景の紫雲山が霞んでいます。
ざく、ざく、ざく……。
湿った砂利を踏みしめて歩きます。
松がずらっとお出迎え。葉の先が丸くきれいに揃って、ぬいぐるみみたい。
松の枝は、踊るようにくねくね曲がっています。
表面にはコケがびっしり。この松たちは、長い間この地を見守り続けているのでしょう。
風がないので池の水面も穏やかです。
庭にはいくつも築山が設けられています。
芙蓉峰の急な斜面を上りきると、松に囲まれた池の奥に赤い橋が架かっているのが見えました。
芙蓉峰の南には飛来峰が続きます。一歩一歩踏みしめながら上ります。ここが栗林公園屈指の絶景ポイント。
ぱっと視界が開けました。どっしりとした紫雲山を借景に、南湖がヒスイのような緑色の水をたたえています。亀の甲羅のようになだらかな島の向こうに、こんもりとした松の生えた岸辺が半島のように池に張り出しています。太鼓橋のように丸く弓なりの橋が、すっとさりげなく視界の真ん中を横切っています。
ここは本当に都市の真ん中なのでしょうか。高松を南北に貫く太い国道がすぐそばを走っているはずなのに、そんな街の喧騒を寄せつけない重厚な歴史と伝統がこの庭園を覆っています。歴代大名が空の上から見守っているようです。この庭は静穏な、それでいて威厳に満ちた存在感に厚く包まれ、現代のせわしない空気が侵入するすき間はありません。
あのエンジンの排気音は、あのトラックの地響きはどこへ行ったのでしょう。人里離れた山の中にいるようです。
池には鯉が泳いでいます。すいすい♪
山を上ったり下りたりしていたら、お腹が空いてきました。飛来峰を下りた先にある吹上亭で何か食べられるはずです。
吹上亭のそばからは、吹上亭の名前の元となった泉 (吹上) がさわさわとわき出しています。庭から泉がわき出しているなんて、殿様の飲むお茶もさぞおいしかったことでしょう。
ちょっと遅くなりましたが、お昼ご飯にしましょう。
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