9 桜島の活動予測
※ 2012年段階で桜島の今後の活動がどうなるのか考えたものです。
2012/03/09 22:20 昭和火口の爆発 黒神橋から撮影
これからの桜島の活動はどのようになるのでしょうか。
京都大学桜島火山観測所設立50周年記念講演会(2011.10.15)「桜島火山活動の現状と今後の見通し」(京都大学井口正人准教授)では、考えうる次の活動として以下の3つのシナリオが示されました。
1 南岳山頂爆発の再激化(2億立方メートル級のマグマの長期放出、昭和火口での長期化もあり)
2 昭和火口の爆発・火砕流の激化→溶岩流出(2億立方メートル級のマグマの短期放出)
3 両山腹噴火(文明、安永、大正噴火)による20億立方メートル級のマグマの放出
桜島撮影によく出かける者として大いに感心がありますが、私は2だと考えています。
2012年に入り南岳からは噴煙が増えていますが、噴石を飛ばすほどの活動はしていません。前のページで書いたように南岳B火口は岩壁の崩壊で閉塞していますし、A火口もマグマが自由に上昇しにくい状態のため活動が弱いと思われます。気象庁の観測情報に噴火口が南岳山頂火口と表示された場合は要注意です。
昭和火口の活動が激しいときは一日で10回以上も爆発しますから、昭和火口からのマグマ放出が容易な状態だと思います。したがって、大規模な火口壁崩落などで昭和火口の火道が閉塞してマグマ放出が止まらない限りは昭和火口の活動が続くと思われます。
昭和火口から放出しきれないほどにマグマが上昇する場合に南岳山頂火口の活動が再度激化することも考えられますが、そのような場合には南岳山頂火口の活動激化に先行して昭和火口から溶岩流出が始まるのではないでしょうか。
前回は1939年10月の噴火から約7年後の1946年に昭和火口から溶岩が流出しています。今回の昭和火口活動は2006年に始まっていますので来年が7年目です。
3のシナリオは1,2とは桁違いの活動になりますので前兆現象が観測されるものと思われます。大正噴火前には井戸水がお湯になり、鳥や獣が騒ぎ山崩れや地震が続発しました。現在は国内最高水準の観測設備や態勢によって前兆は必ず捕捉できるはずです。
2012年3月には火山弾が2kmを超えて飛散しました。噴石の飛距離は徐々に伸びてきています。いずれにしても撮影者としてはこれまで以上に安全性を考慮することが大切です。警戒レベルが4(避難準備)に引き上げられた場合は島内での撮影はかなり危険になることを覚悟しなければなりません。
※ 2016年8月に桜島の噴火警戒レベルは一時的に4まで引き上げられましたが、その後活動は低下しています。2017年は5月26日までの爆発回数は10回ですが、活動が元に戻りつつあります。今後は上記2の活動経過をたどるのではないでしょうか。
※ 2012年段階で桜島の今後の活動がどうなるのか考えたものです。
2012/03/09 22:20 昭和火口の爆発 黒神橋から撮影
これからの桜島の活動はどのようになるのでしょうか。
京都大学桜島火山観測所設立50周年記念講演会(2011.10.15)「桜島火山活動の現状と今後の見通し」(京都大学井口正人准教授)では、考えうる次の活動として以下の3つのシナリオが示されました。
1 南岳山頂爆発の再激化(2億立方メートル級のマグマの長期放出、昭和火口での長期化もあり)
2 昭和火口の爆発・火砕流の激化→溶岩流出(2億立方メートル級のマグマの短期放出)
3 両山腹噴火(文明、安永、大正噴火)による20億立方メートル級のマグマの放出
桜島撮影によく出かける者として大いに感心がありますが、私は2だと考えています。
2012年に入り南岳からは噴煙が増えていますが、噴石を飛ばすほどの活動はしていません。前のページで書いたように南岳B火口は岩壁の崩壊で閉塞していますし、A火口もマグマが自由に上昇しにくい状態のため活動が弱いと思われます。気象庁の観測情報に噴火口が南岳山頂火口と表示された場合は要注意です。
昭和火口の活動が激しいときは一日で10回以上も爆発しますから、昭和火口からのマグマ放出が容易な状態だと思います。したがって、大規模な火口壁崩落などで昭和火口の火道が閉塞してマグマ放出が止まらない限りは昭和火口の活動が続くと思われます。
昭和火口から放出しきれないほどにマグマが上昇する場合に南岳山頂火口の活動が再度激化することも考えられますが、そのような場合には南岳山頂火口の活動激化に先行して昭和火口から溶岩流出が始まるのではないでしょうか。
前回は1939年10月の噴火から約7年後の1946年に昭和火口から溶岩が流出しています。今回の昭和火口活動は2006年に始まっていますので来年が7年目です。
3のシナリオは1,2とは桁違いの活動になりますので前兆現象が観測されるものと思われます。大正噴火前には井戸水がお湯になり、鳥や獣が騒ぎ山崩れや地震が続発しました。現在は国内最高水準の観測設備や態勢によって前兆は必ず捕捉できるはずです。
2012年3月には火山弾が2kmを超えて飛散しました。噴石の飛距離は徐々に伸びてきています。いずれにしても撮影者としてはこれまで以上に安全性を考慮することが大切です。警戒レベルが4(避難準備)に引き上げられた場合は島内での撮影はかなり危険になることを覚悟しなければなりません。
※ 2016年8月に桜島の噴火警戒レベルは一時的に4まで引き上げられましたが、その後活動は低下しています。2017年は5月26日までの爆発回数は10回ですが、活動が元に戻りつつあります。今後は上記2の活動経過をたどるのではないでしょうか。