年末に控えた頃。
通勤途中の店先の壁にぴたっと身体を折りたたんでいるかのように寄りかかっている人をみかけた。
それからは出勤時、退勤時に、店先を通ると、同じ姿勢で折りたたんでいる人をみかけるようになった。
膝小僧をかかえているかのような深い姿勢。
夜間は、通行人や、「(絡んでくる人がいて)、眠っていられない」
と本で読んだことがあったので、日中の休息場にしているのかと思った。
毎日目にするようになって、いつも同じ深い姿勢で、苦しくないのかと案じた。
2,3日前にいつもと少し姿勢が違って、いるのに、気づいた。
「少し、変わった」と。
そして、いつものように、職場に向かう途中でかの男性(顔は見たことがない)の寝場所に差し掛かった。
男性はおらず、花やら缶飲料がいくつも並んでいた。
「亡くなった?」
張り紙があるはずもなく、よく、交通事故があった時に手向けられた供物に似ているように感じた。
帰宅時にもう一度、供物と思しき花や缶飲料を見た。
「たぶん、亡くなったんだ」
翌日も、花や缶飲料が並んでいた。
人知れずに亡くなった男性。
軒下の住人。
誰にも看取られずに逝ったのだろうか。
心に冷たい風が吹いた。
「家族に会えたのだろうか。家族の下に帰れたのだろうか」
官報に載るというのを知ったのは、NPO法人解散の手続きの時だった。
最近、寒さが厳しい。
路上生活者には、辛い季節だろう。
福祉大国日本の現状、なのだ。
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