「暗譜の実際その5」
繰り返しが多い曲は覚えやすい反面、数をしっかりカウントしておかない
と、間違いやすいとも言えます。
繰り返しの言葉の場合の注意点は、演奏指示がなかったとしても、一回目より二回目
に重みを置くとか、
言い直しをするとかなどを加えて、単純な繰り返しにならないようにすることです。
「暗譜のまとめ」
もしも100%覚えてから楽譜を離そうと思っているなら、100%を一度、楽譜を
見れば覚えられという人の場合のことです。
たいていは、何回も何回も何十回も楽譜を見ていても、見ているだけでは覚えること
はできません。
楽譜を見て覚えていくというより、少しずつ覚えていくことです。
覚えた歌詞を1回目より、2回目に、2回目より3回目には1小節あるいは一言だけでも
増やしていくつもりでやってみてください。
覚えたところを増やしていくのを目指す方が合理的だと思います。
覚えやすいところと、覚えにくいところがあると思うので、ご自分の得意なほうから
取り組んでみてください。
取り組み方としては、まず手帳くらいの小さなノートなどに歌詞を実際に書き込みま
す。
前奏や後奏、他パートの演奏などもカッコ書きにするなどして区別を明確にして書き
込みます。
何回か、声に出して読んでみます。
音源があれば音源にあわせて歌ってみます。
すらすら歌えたらばっちりです。
もし音符がわからなかった、ところがあったら楽譜をみながらおさらいします。
これを繰り返していけば100%暗譜できます。
つまり楽譜をみながら練習していても暗譜できるまでは時間ばかり沢山必要になって
効率はよくないということです。
楽譜から目を離す努力を心がけてください。
一度に全部覚えようとしなくても大丈夫です。
初めは、出だしの一小節。曲の終わりの一小節をまず覚えましょう。
そして覚えながら演奏することを心がけていけば、必ず覚えられます。
それに楽譜に噛り付いていたら、演奏はできません。
そもそも、指揮を見ることができないので、合唱が成り立たなくなります。
団員一人だけの問題ではありません。
暗譜するということは指揮者を見ながら、他パートの演奏を聴きながら、演奏するた
めの「必須項目」だと
認識してください。
楽譜をみているのに、音が下がる。正しい音がとれていない。
それは、楽譜を見ることだけで、安心していることの現れです。
楽譜は演奏するための足掛かりです。
演奏時の必需品ではありません。
楽譜を見なくても大体は演奏できる状況でなくてはなりません。
そうすれば、指揮者が曲を飛ばした。
ソリストが歌う出だしを間違えた。
ピアニストが曲順を間違えた。
この3件のハプニングは以前、実際に私が体験したことです。
そういうことがあっても団員は、動揺することなく演奏を続けることができます。
「暗譜する」ということは、そういうハプニングへの対応も可能にしてくれるので
す。
音が合ってない。音が下がる。
パートごとにばらばら。
「PP」や「ff」が綺麗にそろっていない。
指揮者をみていない。
これでは、無料の演奏会でも、お客様は2度と足を運んではくれません。
『練習不足でした』という言い訳は通用しません。
全員が、最低でもチケット代に見合った演奏を目指しましょう。