図書館本。リクエストしておいたら買ってくれました。本日、手元に届いています。
ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」の水瀬さんの著作。
ブログの名前が似てますが、まったく関係はございません(^_^;)。
内容は著者自身が実践してきたインデックスファンド投資についての
もので、常識的かつ基本的な考え方の部分も丁寧に解説されている良書であり、
これから(idecoなども含めて)インデックスファンド投資を考える人にはかなり
有用であり、その投資の考え方のバックボーンについても概ね理解することが
できるかと思います。
書籍としては、個人投資家らしく、最後の方で著者自身の年ごとの経験が書かれて
いるのがちょっと興味深かったです。
冒頭や途中、最後に、本編の内容と関わるような形で、お話仕立てのマンガが挿入
されてますが、ん?女性が主人公?、本を書いているのはおっちゃんということで、
まあいいんだけどやや違和感はあり。
本書ではよく名著「ウォール街のランダム・ウォーカー」が登場します。
私自身も大好きな本で、投資を始めたかなり初期の頃に読んで、影響も大きく受けました。
ブログの名称も当然、ここからとっているわけです。「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」
さんの真似ということではありません。うちはウェブサイトの時は「伏見の光のカワセミ倶楽部」
という名称でしたが、ブログにしてからはずっとこの名前です。ブログの開設は2005年でした
から、もうかなり長くなりました。
あれこれ好き勝手に書いているので、本当はもう一度、通常のウェブサイトの形式の
ものに整理していった方がいいのだと思いますが、そこまでできてません。
まあ、「ウォール街のランダム・ウォーカー」は全体としてはインデックス投資おすすめ本として
読めると思いますが、実はマルキール先生は個別銘柄への投資についても原則を示し、特別にそれを
強くすすめているわけではないけれども、否定はせず、その楽しさについても書いています。
ページ数としては少ないですが、旧版から削除されることなく、その内容は引き継がれています。
(私は旧版は7版と10版を持っています。)つまり、それは削除する必要がなく、存続する意味がある
内容だからでしょう。
その部分を引用しましょう。
「しかし、資産全体をインデックス・ファンドで運用するとなると、それは「退屈すぎる
アプローチだ」けという人が大勢いることも事実だ。」
そうなのです。本書でふれられている箇所があったかどうかちょっと覚えていないですが
(少なくとも強調はされていなかったと思いますが)、インデックス・ファンドの投資は
面白くはないのです。そんなに楽しくもないかもしれません。ドキドキ感もなく、個別銘柄
への投資がうまくいった時のような充実感もないでしょう。
昔、大滝秀治さんが出ていたCMに「おまえの話はつまらん!」というのがありました。
これです→キンチョーCM (つまらん)。
「インデックス・ファンドの投資はつまらん!おまえの投資はつまらん!」状態です。
別にそんなものは求めていなくて、合理的な中長期の投資ができればよいという場合は、
インデックス・ファンドは最適の選択となるでしょうが。
引用の続き。
「多少とも山っ気のある人なら、少なくとも資産運用のある部分は、自分の足と自分の才覚で運用
しておきたいと考えるのも無理からぬことだ。」
そうなんです。
「幸か不幸か、生まれつき山っ気のある私には、投資家が自分で儲かりそうな銘柄を選びたいという
衝動に駆られ、市場平均と同じリターンしか期待できないようなアプローチには飽き足らないという
気持ちも、よく理解できるつもりである。」
ありがとうございます、そうなのです。
「ただ問題は、自分で選ぼうとすると大変手間がかかる上に、今まで繰り返し実証してみせたように、
市場平均に勝ち続ける人は極めて稀なことだ。」
これは実際、全体としてはそうでしょう。が、私自身の場合でいえば、今はその「手間」をかける時間的
余裕はありますし、そのこと、銘柄選びや売買をすること自体が楽しみ、エンターティンメントになって
います。
そして、そのパフォーマンスは、主として、長期の株式の運用については特定の銘柄の大きな株価上昇によって、
また、短期的には「公募をもらって初値前後で売る」というIPO投資の成果によって、市場平均は大きく上回
ってはいます。
こういうIPO投資は、「偶然」「たまたま」の要素も当然大きいわけですが、売買的には明らかにエッジが
あるというか有利さがある、利益が残りやすい売買です。それを長く継続することで、特に傑出したノウハウなど
なくても、相応の利益は残すことができます。
額としてはそこまで大きくはないですが、優待クロスの売買も、現金ポジジョンを活用する方法としては極め
て低リスクで相応のエッジを見いだせる売買です。これはその中味としては制度のすきまをつく売買でしかなく、
もともとリスクをとった「投資」とは本質的には異なるものですが。
ということで、意義は認め、日本以外では部分的にインデックス・ファンドを利用しているところもありますが、
(例えばETFの1680)全体としてこれを自分自身の投資のメインの商品として運用するという形を私はとってい
ませんし、多分今後も、比率的には増えるところはあっても中心にはならないと思います。
前にも書いたような気がしますが、これは良い・悪いではなく、好み、志向性の問題でしょう。
無論、どちらが低リスクかといえば、いくら分散投資しているといっても個別銘柄への投資の方がリスクは高いで
す。ただ、自分自身の印象で言うと、現在ではなく以前の、金額的に特定の銘柄の時価評価額の割合がさほど
高くないポートフォリオは、傾向としては日経平均よりも値動きの幅が小さいことが多かった(低ベータ)という
印象はありますが。今は逆に、かなり指数よりも動きの幅が大きくなっています。
ただ、余裕をもって、わかってやるなら、これも十分にありだと思うし、もっとツッコめば、なぜ個別銘柄に投資
する楽しさを理解し、それに取り組まないのか、もったいない、と思ってしまいます。
が、同時に、私と同じ方法を他の人にすすめられるかというと、私には今の形がいいということだけなので、
人には合わないというか、一般的でもないとは思いますけどね。
もとに戻って、本書について言うなら、
個別銘柄に投資する楽しさというのは株式投資の本質的な醍醐味でもあるので、
マルキール氏がふれているのと同程度には、「個別銘柄への投資は面白いし、サテライト的に取り組んでみるのも
悪くはないかもしれない。」程度の触れ方はしてあってもいいと思います。そうした文がはいっていても、本書の
趣旨は損なわれませんしね。そういう箇所があったかな、見逃しているかもしれません。
なぜこうした記述がないかというと、著者自身が個別銘柄への投資では全体としては「いい経験」ができていない
ということかもしれません。
あー、そうそう、自分自身の記憶では、リーマンショックの時のことは忘れてますね。
そんなに大きな衝撃を受けたという印象がないのです。震災時のイメージは、神戸にしろ、東北にしろ強烈にあり
ますが。なんでだろうか?。