サー・フランクも筆の誤り

 カナダGPはクビサがBMWと共に初優勝を飾り、2位にもBWMのハイドフェドが入り1-2と、BMWとしては願ってもいない戦績を残すことになった。もっとも表彰台のハイドフェドがやや憮然とした表情であったのが印象的ではあったが。3位には「荒れたレースではこの人」、と言うべきデビッド・クルサード。「ベテランの妙味」以外の言葉が思い浮かばないが、来シーズンもF1で走りたいクルサードにとっては大きな力となる3位表彰台である。

 さて、我らが一貴。いっとき2番手を走行することになった一貴に対し、解説の片山右京氏はポディウムに「君が代」流れる場面を想像(想像か?)してしまったらしく、不覚にも冷静さを失っていたようであった。自身もなし得なかった表彰台、それも一番高いところに日本人がいる、思わずそんな場面を想像してしまった片山氏の気持ちは良くわかるが、そこは解説者、冷静であって欲しいところであった。

 もっとも、1位は無理でも表彰台の可能性は十分あったものと、郷秋<Gauche>も思う。その可能性を単なる「夢」に変えてしまったのは、闘将、サー・フランクの作戦の誤りである。もともとたっぷりと燃料を積んでいたところにセーフティーカーの導入もあり最初のピットインのタイミングはレースディスタンスのちょうど半ば。それはライッコネンとハミルトンのリタイヤ、ハイドフェルドのピットインにより一貴の2位走行時に訪れた。

 スタート時には多めに燃料を積みながらも当初は2ストップ作戦であったものと思われるが、「漁夫の利」よろしく得た2番手のポジション。当然1ストップに変更して送り出すものと誰もが思ったわけだが、チームは第1スティントの同じソフトタイヤで一貴をコースに送り出す。この時点で一貴の表彰台の夢は潰えたと言える。

 結局はバトンに追突し、更に壊れたフロントウイングに乗り上げコントロールを失った挙句にピットローでのクラッシュを演じたわけであるが、2ストップではなくなく1ストップを選び長めの給油をしていれば、一貴がバトンの後ろを走っていることもなく、ましてやバトンのマシンに追突することもなかったのである。まっ、すべては「たら・れば」ではあるけれど。

 一貴の33周目のピットインでサー・フランクが1ストップへの変更をしてさえいれば、まったく違った結果になっていたと言うのも、まさに「たら・れば」。繰言などせんのないこととは思うけれど、それでもはやり言いたくなる。「サー・フランク、何故1ストップに変更しなかったのか」と。まさに「弘法も筆の誤り」である。


 によって記事本体とは何の関係もない今日の一枚は、梅雨空の下で鮮やかな花を次々に咲かせる錦糸梅(きんしばい)。
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