くたびれ加減が絶妙な味わい

 
 昨日、CAR GRAPHICの7月号の特集が
Peugeotであること、そして306の前期型(N3)を見かける事が少なくなったことを書いた。でも実は、昨日の記事を書いた時点ではそのプジョーの特集記事を読んでいなかったのである。正確には「タイトル以外」はということだが。

 今日、ようやく記事全文を読んだ。そして、ROAD TESTのタイトルに付けられた、昨晩から気になっていた「温泉の丸いポスト」の意味をようやく理解した郷秋<Gauche>なのであった。それは、ROAD TESTの記事の最後に出てくる。

 「撮影を終えて温泉街を去ろうとしたとき、裏路地にひっそりと佇む丸いポストを見つけて、頭の中のもやもやが消えていくような気がした。風雨に晒されてところどころ塗装のはげた丸いポスト、その姿が何年も使い込んで、くたびれ加減が絶妙な味わいになった友人を306と重なった。」(CG 2008年7月号 p.56より抜粋)

 いやはや、「くたびれ加減が絶妙な味わい」ですか(^^;。まっ、いいでしょう。郷秋<Gauche>も、絶妙かどうかは別にしても、この「使い込んだ味わい」が実は相当気に入っているわけだから。機械なんだから、勿論新しい方が性能も調子もいいに決まっている。だけどだ、その新しい道具が身体と心に馴染むかどうかは、また別の問題だ。

 郷秋<Gauche>は、性能の良い新しい機械よりも、時にグズルことがあっても、程よく使い込まれた、如何にも道具然とした機械が好きだ。カメラにしたって、性能の良さで選び便利に使っている最新のDSLR(デジタル方式一眼レフ。具体的には勿論D300のことだ)よりも、如何にも道具然とした古いフィルム式一眼レフ(F3やEMやFM3A(これは実は余り古くはないけれど、クルマで言えばマツダ・ロードスター(NA)みたいなものか))の方が、正直に言えば、好きだ。

 それは、実はW123のTモデル(1977年に登場したメルセデスベンツのステーションワゴン)を持っていて、本当はこちらの方が好きなんだけれど、老体の体調を慮り、W123はガレージの奥に仕舞い込んで普段は最新のCを足にしているのと似ているかも知れない。着古して袖口が擦り切れてきたけれど、その着心地と風合いの良さから手放せないシャツやセーターも同じだな。

 「くたびれ加減が絶妙な味わい」、これはちょっと古いクルマに対する最大の賛辞だろう。だけど、どんなクルマでも古くなれば「絶妙な味わい」が出てくるわけではなく、やはりその出自は重要だ。残念ながら、カローラでは何年乗っても単に古びるだけで、「絶妙な味わい」が出てくるかどうか・・・。ジャガーやメルセデスは生まれながらにその資格を持っていると言えるだろうが、Peugeotも辛うじてその末席に入れそうに思えるのは、やはりオーナーの贔屓目だろうか。

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