ワイン商売

 自分の畑で葡萄を育て、その葡萄でワインを作る。ワイン好きにとっては夢のような話だが、果たしてそれは商売になるのかと、以前から気になっていた。つまり、何ヘクタールの畑に何本の葡萄の木を植えて、その葡萄でいったい何本分のワインができるのか。そのヒントとなる数字が、数日前に届いた「ヴィラデスト クラブ・レポ」に載っていた。

 ヴィラデストはエッセイストかつ画家でもある玉村豊男氏が長野県東御市に開いた葡萄園・ワイナリーであり、郷秋<Gauche>はそこに一本の葡萄の木を持っている。その葡萄の木を、正確に言うと、その葡萄畑で採れた葡萄で作ったワインを手に入れる権利を入手したのは4年程前のことであった。当時はまだ苗木であったはずであるが、そろそろ立派な実をつけるようになったようで、記憶に違いがなれば、今年の冬には、何本かのワインが届くことになっているはずである。

 さて、その玉村氏の葡萄畑は3.3ヘクタールの広さであると書かれている。つまり、100m×330mの畑である。その葡萄畑に何本程の葡萄の木が植えてあるのかはわからないが、その畑で採れた葡萄から、今年は約2万本のワインを生産するのだという。たいした数のワインができるものであるが、1本の平均価格を4千円とすると、売り上げは8千万円となる。ワイン醸造機器の減価償却費を含めた諸経費を差し引くと、利益はそれほど大きいものではないような気がするが、それでも自分の畑で採れた葡萄でワイン作りたいという玉村氏の情熱には頭が下がる。

 話は長野県からフランスに飛ぶ。昨年末から何度か紹介した、ブルゴーニュのドメーヌ・シュブロは16ヘクタールの畑を持っているというから、玉村氏のヴィラデストの約5倍の規模だ。そうなると売り上げも4億円ほどと言うことになるのだと思うが、ブルゴーニュにおいては小規模の部類なのだろな。

 ワインの出来は葡萄の出来。つまり天候に大きく左右されるだろうから、決して安定した商売ではないのだと思うけれど(もっとも、幾つかの品種をバランス良く栽培し、リスクを分散させているのだろう)、日本においては、それなりの場所で3ヘクタール程の葡萄畑を持っていれば、商売として成り立つと言うことなんだろうか。もっとも玉村氏の場合は氏の名声や関連グッズの売り上げが経営に大いに貢献しているのだろうな。


 今日の一枚は、田植えが終わったばかりの白山谷戸を散歩する女性の図。でも、何故か携帯電話のメイルに夢中。
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