737-800は救世主か

 JALは云うに及ばず、やはり業績不振に陥っているANAを尻目に、新規参入組み(と云ってももう11年目)のスカイマークが、今日の日経の報道によれば2009年4~9月期の最終損益が19億円の黒字となったとのこと。その立役者がボーイング737-800型なのだという。

 スカイマークは参入以来767-300ERで羽田-福岡便を手初めてして路線を拡大してきたが、2005年10月以降はボーイング737-800型を順次導入し今年9月には最後の1機となっていた767を引退させ、10月からは機材が全て737-800(177席)に統一されることとなった。

 スカイマークの今期黒字の主因は機材を737-800に統一したことによると云うのが日経の記事の趣旨である。リース機材の返却前整備にかかっていた費用がなくなり、整備費は前年同期費半減の27億円。1機当たりのリース料が767の約半額で1席当たりの燃費も6~7%改善され、燃料の原価下落と合わせた燃料費は30億円に半減、更には搭乗率76%とANA、JALの60%(いずれも国内線)を大きく上回っている(数字等は本日付け『日経』による)。

 今年9月には自前で737のフライトシミュレーターを導入したようだが、これも機材が737-800に統一されたことで、すべてのパイロットがこのシミュレーターで訓練できることわけでその分当然経費も節減できることになる。

 対するJALは同クラスの機材として737-800(国内線仕様12機、国際線仕様9機)の他にJASから受け継いだMD-81(150席、16機)、MD-90(163席、13機)の他、737-400(145~167席、16機)を持ち、単一機材のスカイマークに比し当然コストが嵩むことになる。同様なことは767-200(261席)、777-200(375席)に近い290席のA300を22機も保有している事にも云える。

 さらにはJ-AIR用に50席のCRJ200を9機導入しておきながら同クラスのエンブラエル170(76席)の導入を開始するなど、高コスト体質を自ら作る過ち繰り返しており、こんな企業に公的資金を投入するなどもってのほかと云う状況なのである。

 実は同じような状況はANAにもある。それは小型機における737ファミリーとエアバス320の並存である。エンジンは共にCFMインターナショナル社製だが仔細な型式は異なるし、パイロットのライセンスも当然別種であるはず。これもまた経費の増大を招く結果となり、ANAの赤字転落の要因の一つになっているはずである。

 ヒコーキファンとしては、当然色々な機種が飛び回っている方が楽しいのだが、運行会社のコスト、生産性を考えれば当然統一メーカー、同一機種で統一するに越したことはない。税金が投入されたりするのでなければ、色々なメーカーの色々な機種をどんどん導入して飛ばしてもらいたいところだが現状を見る限り、そうは行かないだろうな。


 今日の一枚は例によって記事本文とは何の関係もない、あかねの森の畑の端で咲いていた「皇帝ダリア」。とてもダリアには見えない草丈、花姿は、なるほど「皇帝」の名が相応しいように思えます。
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