日本人の宗教観

 今日はクリスマス・イブイブ。日本全体がイブイブで盛り上がっているのかと思ったら、「クリスマスに3人に1人は興味なし?」と云う調査結果をWebで見つけた。ウェザーニューズ社の調査結果らしいが、「クリスマスは楽しみですか」との質問には「超楽しみ」が13.2%、「楽しみ」が50.5%を占めたが、一方で、「どちらでもない」が30.4%、「楽しみではない」も5.9%あり、計36.3%は強い関心を持っていないとのこと。

注:この手の調査の例に漏れず、どういう集団を対象にした、どういう方法による調査なのかが明記されていない。お寺さんの檀家、神社の氏子を対象にした調査かも知れないし、二十歳代以下を除外した調査かも知れないが、判らない。

 大昔の事だが、こんなジョークがあった。12月24日の夜、キャバレー(今風に表記すればキャバクラか?)で飲んだくれたオヤジが家への帰り道、近くにあるキリスト教会の前を通って「へ~~~~っ、いまどきは教会でもクリスマスをするんだ。ヒクッ」と。お笑いにはならない方がいい。大方の日本人の宗教観はこんなものなのである。

 子供が生まれて一か月すると御宮参りで神社に出向く。七五三にはもちろん神社へ(昨年、お寺でも「七五三詣」があることを知り郷秋<Gauche>はびっくり驚いた)。12月24日(日本のクリスマスは25日ではなく24日である)にはクリスマス。教会にこそ行かないが、自宅で「メリークリスマス」。大晦日にはお寺で除夜の鐘を突き、年が変わればその足で神社へ初詣。結婚式はキリスト教式で誓いを立てるが葬式はもちろんお寺さんで、当然ありがたい戒名を付けてもらう。

 キリスト教は間違いなく一神教だが、神道は「八百万の神」と云うくらいだから明らかに多神教。仏教はと云えば、仏陀の教えに基づくものだから仏陀を唯一の神(仏)とするのかと思えば、寺の境内にお社(神社)があったりと、多神教を、少なくとも否定している様子はない。

 今の国際社会における紛争の原因の多くを宗教に、取り分け一神教であるキリスト教とイスラム教の対立に求めることができる。神道や仏教と云った、一神教とはおよそ無縁の宗教的土壌で生まれ育ち生活している私たち多くの日本人には理解し得ないことなのだが、自分が信ずる神こそが唯一の絶対神であると固く信じている人にとっては「他の神」の存在は許し難く、それゆえにこの地球上では2000年前から多くの戦争が起きているのだと、思う。

 少なからぬ宗教において、絶対にしてはいけないこと、絶対に食べてはならない物が(時期的なこともあるが)厳密に定められており信者はかたくなにそれを守っている。一方日本人はと云えば、仏教の教えにより飲酒が禁じられれば、「これは般若湯である」と云って飲み、獣を食べること禁じられれば「これは、一羽二羽と数えるから獣ではなく鳥である」としてウサギを食らう。

 ほとんどすべての宗教を認め、その併存状態になんら矛盾や疑問を抱かない日本人こそが、世界的にも珍しい宗教観を持った民族(国民)と云えるのかも知れないが、そのことに私たち日本人自身が気づいていない。国際化が叫ばれて久しいが、真の国際化は英語を話せるようになることではなく、日本以外の国・地域の宗教と文化(日本に内在する少数派の宗教や文化も)を理解し、それを尊重することにこそあるのではないかと郷秋<Gauche>は思うのだが、なかなか理解は進みそうにない。自身に信ずるもの、信ずる経験がないから、「信ずる心」が理解できないのだと、思う。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、烏瓜(からすうり)。木々が葉を茂らせている時期には気が付かないが、葉を落とした初冬になると、あちらこちらにオレンジの実がぶら下がっていることに気付くようになる。
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