自転車の取り締まりを強化?それは違うだろう!

昨日のニュースに、警視庁が自転車の歩道走行禁止を厳格運用(許可された場所を除く)すると云うものがあった。歩道を傍若無人に走る自転車によって死亡事故も起きている現状を踏まえ、本来車道を走るべき自転車が歩道を走ることを事実上黙認していたことをあらため、厳格に運用する、つまり、歩道を走行する自転車を取り締まることを伝える記事である。

 

ブレーキの無い「ピスト」で路上を走行するなどもってほか。こう云う自転車の運転者はどんどん検挙すればよい。携帯電話で話ながら、更にはメイルを見ながら打ちながらの走行も検挙すればよい。夜間の無灯火も、即検挙だ。歩行者に危害を与える可能性のある危険な自転車運転はどんどん検挙せよ。それらは、間違いなく危険なのだから。

 

でもだ、もっと危険なのは、交通量の多い、それでいて幅員が狭く自転車専用の通行帯の指定がない車道を自転車で走行することだ。確かに自転車が歩行者にぶつかることによる死亡事故も起きていることは事実だが、もし、すべての自転車が車道を走行したならば、自転車対歩行者の事故の何百倍もの自転車対自動車の事故が、しかも重大な事故が起こることは火を見るよりも明らかである。

 

警視庁がまずするべきは、自転車の歩道走行禁止の厳格運用ではなく、都内のすべての道路に、歩道と共に自転車通行専用帯を設けることである。まずはそれを実施し、その上でなお、歩道を走る自転車があれば、それを取り締まれば良い。危険な車道を走らざるを得なくなった自転車が重大な交通事故に巻き込まれたとき、警視庁はその責任を取る覚悟があるのか。「法律で車道を走ることが決められている」からなどと説明でもしようものなら、警視庁を支持する都民はゼロになるぞ。

 

ついでに云わせてもらうならば、自転車の取り締まりを厳格にするのならば、同時に危険な歩行者も大いに取り締まってもらいたいものだ。漫画本を読み(眺め)ながら歩く者を、携帯電話の画面を見つめかつ操作しながら歩く者を、他人を火傷させる危険を顧みず火のついたタバコを指に挟んで、有害な煙の吸引を他人に強要する歩行者を、是非とも取り締まってもらいたいものである。

 

 すべての道路に、歩道と共に自転車通行専用帯を設けることが不可能なことは勿論知っている。無理なことは無理なのだ。同様に自転車に歩道を走るなと云う事もまた無理なのである。どちらも無理ならもっと現実的な折り合いの仕方が、指導の仕方が、運用の仕方があるだろう。

 

 取り締まりを強化すれば解決すると云う問題だけではないことに気が付いていながら気が付かない振りで取り締まり強化を打ち出した警視庁は、まったくもって怪しからんぞ。警視庁のすることは、全国46道府県の警察がすぐに真似しようとするのだから、もっと自覚を持って、本当に必要なことが何なのかを考えて行動して欲しいものである。

 

 

例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、コスモスの蜜を集める蜜蜂。この頃、自分で蜜蜂を飼うことはできないだろうかと思う郷秋<Gauche>である。

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