玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

どこにも行かない

2009年05月08日 | 日記
 大型連休に突入した。世の中には豚インフルエンザで大騒ぎのメキシコに出掛ける勇敢な人もいるようだが、こちらはどこにも出掛ける予定はない。かつては連休を利用して旅行をする習慣がなかったわけでもないが、このところどこへ出掛けることもしない。もともと物見遊山が好きではない体質なので、“行楽”という言葉ほど縁遠いものはない。
 昨年は連休の間、タイムス社主催の木下晋展の準備に忙殺されていた。今年はそんなことはないが、どうしても連休の間に片付けておかなければならないことがある。八日の号は休刊とさせていただいて、そのことに専念したいと思っている。
 ところで製造業を中心とする不況は依然として深刻で、市内の事業所でも十連休とか十二連休のところがあると聞く。ちょっと前までは、そんな長い連休を羨ましいと思う気持ちがあったし、そうした長期の連休が可能なのは企業の体力に支えられている面があったから、なおさら羨望の思いがあった。
 しかし、今年に限っては、それを“羨ましい”とは思わない。仕事があっての長期連休ではなく、仕事がないからこその長期連休なので、休んでいる社員だって、ちっともうれしくはないだろう。彼らに連休を利用して、行楽を楽しむ余裕はあるのだろうか。
 市内の話ではないが、二十一連休という会社があると聞いた。やはり製造業で、仕事がないが故の超大型連休だという。二十一日ということは三週間である。三週間も仕事を休んだら、勘を取り戻すまでに一週間はかかりそうで、一カ月の休暇のようなもの。ちょっとした失業体験に近い。
 でも本当に失業状態にある人に比べれば、まだましだ。昨年暮れから始まった、いわゆる“派遣切り”という首切りは、今では正社員にまで及んでいる。彼らはどんな気持ちで、この大型連休を迎えているのだろうか。

越後タイムス5月1日「週末点描」より)