玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

今年の予告

2011年01月06日 | 日記
 新春号を、創刊百周年記念号とさせていただいた。この一年を百周年の年と位置づけ、いくつか記念事業を計画しているので、紹介したい。
 まず、二月二十六日・二十七日、文学と美術のライブラリー「游文舎」で柏崎ゆかりの獄中歌人・島秋人の生涯を舞台化した「鬼灯」の柏崎公演を行う。島の刑死後四十四年を経て、柏崎で公演することの障害は、もはやないだろうとの判断による。
 この公演の実現には、かなり奇跡的な偶然が関係している。毎年干支の文字を書いてもらっている書家の加谷径華さんと「鬼灯」の上演を続ける俳優の高塚玄さんが飲み友達であることが最近判明し、高塚さんがブルボンの特番「幻の古浄瑠璃東京見参!」のナレーションをつとめることも同時に分かったのである。
 加谷さんに、マネージャー役をつとめてもらって、「鬼灯」柏崎公演の具体化に漕ぎ着けることができた。実行委員会主催でタイムス社は共催だが、記念事業とさせてもらった。
 もうひとつ、フランス文学者でシュルレアリスム研究で名高い巖谷國士さんの講演会を、記念事業として五月六日に予定している。巖谷さんには柏崎との縁がひとつある。岩下庄司翁のコレクションを「痴娯の家」と名付けたのは、巖谷さんの祖父で児童文学者の巖谷小波だったのである。
 巖谷さんを紹介してくださったのは、新潟市の画家、アンティエ・グメルスさんで、巖谷さんはこのところグメルスさんの作品に惚れ込み、たくさん文章を寄せておられる。そんな事情から、グメルスさんが「游文舎」のことを強力に売り込んでくださったのである。
 もうひとつ、記念事業として、ある大物作家の講演会の話を進めているが、具体化するまで秘密にしておこう。今年も忙しくなりそうだ。
 お陰様で創刊百周年の新しい年を迎えることができました。先の見えない経済状況にも拘わらず、例年に増して多くの年賀広告をいただき、心から感謝申し上げます。記念の年ということで、久しぶりに十六頁での発行とすることができました。ありがとうございました。
 多方面からのご寄稿にも感謝申し上げます。十年ぶりに作家・車谷長吉さんから玉稿を寄せていただき、今年も詩人・長谷川龍生さんから寄稿をいただきました。創刊百周年記念新春号にふさわしい充実したご寄稿に感謝申し上げます。紙面の都合で掲載しきれなかった分については、次号以降に掲載させていただきます。
 皆様の新年のご多幸をお祈り申し上げます。

越後タイムス1月1日「週末点描」より)