頑張ってます:NPO法人 ハートフル /兵庫
<みんなでつくる地域社会>
◇精神障害者「地域に一歩踏み出す機会を」--一人でも生きていける社会に
精神障害者の自立支援のため、西宮市内に、(1)喫茶店併設の「ハートフルクラブ」(2)弁当やクッキーなどを作る「手づくり工房 ふるふる」(3)出張清掃業「クリーンハウス くりくり」--の三つの地域活動支援センターと二つのグループホームを運営している。発足当初から運営にかかわる水野〓子副理事長は「喫茶の接客や清掃を通じ、外に一歩踏み出す機会を提供し続けたい」と話す。
阪神大震災復興基金で96年、西宮こころのケアセンターの敷地内に開いた「ハートフルクラブ作業所」が母体。花壇や道路の掃除を始め、作業所利用者に話を聞き、外とのつながりを求める障害者が多いことを実感した。
5~6人だった利用者は数年内に20人以上に増えた。基金事業の終わる00年3月までに、移転・自主運営を迫られ、利用者自らが街頭募金をして資金を集め、乗り切った。「障害者は『何をするかわからない』『怖い』といった誤解や偏見から嫌われ、家以外の居場所がなかった。募金活動は『これ以上居場所を奪わないで』という心の叫びだったはず」と水野さんは言う。
西宮市に働きかけ、身体障害者・知的障害者の小規模作業所にしか出なかった開設補助金も取りつけ、00年4月、小規模作業所として出発。喫茶店「シャリテ」を開き、作業所も増やした。作業所は、障害者自立支援法で地域活動支援センターに移行。現在、統合失調症や気分障害などの約120人が施設を利用し、満杯の状況が続いている。
水野さんは「精神障害者が増えたのでなく、障害を隠してどこにも行けなかった人がようやく外に出られる社会に変わっただけ」と話す。一方で、「本人や家族が社会との壁をつくった部分もある」とも。障害者が行き場のない気持ちを家族にぶつける▽家族は、本人に気遣う一方、世間の目を避けようとする▽低姿勢になった家族に障害者がさらに強くあたる--という悪循環から抜け出せない家庭が多いという。
04年4月から相談業務も始めた。「自分以外に(障害のある)この子の面倒を見ることのできる人はいない。死ぬ時は子どもも連れて行く」といった家族の悲痛な声が寄せられる。水野さんは「手を差しのべる人は必ずいると信じ、外との接点を持って」と訴える。
チャリティーコンサートの開催、スタッフや障害者による講演など啓発活動を進め、ピアカウンセリングもしている。「精神障害者が一人でも安心して生きていける社会の実現」が何よりの願いだ。【山田奈緒】
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◇NPO法人 ハートフル
西宮市柳本町8の15。グループホーム、地域活動支援センターなどを運営し、精神障害者の自立支援を行っている。スタッフ17人。03年12月に法人化。障害者やその家族らを対象に社会参加などの相談にも応じている。相談窓口は、電話0798・71・5446(兼ファクス)。
<みんなでつくる地域社会>
◇精神障害者「地域に一歩踏み出す機会を」--一人でも生きていける社会に
精神障害者の自立支援のため、西宮市内に、(1)喫茶店併設の「ハートフルクラブ」(2)弁当やクッキーなどを作る「手づくり工房 ふるふる」(3)出張清掃業「クリーンハウス くりくり」--の三つの地域活動支援センターと二つのグループホームを運営している。発足当初から運営にかかわる水野〓子副理事長は「喫茶の接客や清掃を通じ、外に一歩踏み出す機会を提供し続けたい」と話す。
阪神大震災復興基金で96年、西宮こころのケアセンターの敷地内に開いた「ハートフルクラブ作業所」が母体。花壇や道路の掃除を始め、作業所利用者に話を聞き、外とのつながりを求める障害者が多いことを実感した。
5~6人だった利用者は数年内に20人以上に増えた。基金事業の終わる00年3月までに、移転・自主運営を迫られ、利用者自らが街頭募金をして資金を集め、乗り切った。「障害者は『何をするかわからない』『怖い』といった誤解や偏見から嫌われ、家以外の居場所がなかった。募金活動は『これ以上居場所を奪わないで』という心の叫びだったはず」と水野さんは言う。
西宮市に働きかけ、身体障害者・知的障害者の小規模作業所にしか出なかった開設補助金も取りつけ、00年4月、小規模作業所として出発。喫茶店「シャリテ」を開き、作業所も増やした。作業所は、障害者自立支援法で地域活動支援センターに移行。現在、統合失調症や気分障害などの約120人が施設を利用し、満杯の状況が続いている。
水野さんは「精神障害者が増えたのでなく、障害を隠してどこにも行けなかった人がようやく外に出られる社会に変わっただけ」と話す。一方で、「本人や家族が社会との壁をつくった部分もある」とも。障害者が行き場のない気持ちを家族にぶつける▽家族は、本人に気遣う一方、世間の目を避けようとする▽低姿勢になった家族に障害者がさらに強くあたる--という悪循環から抜け出せない家庭が多いという。
04年4月から相談業務も始めた。「自分以外に(障害のある)この子の面倒を見ることのできる人はいない。死ぬ時は子どもも連れて行く」といった家族の悲痛な声が寄せられる。水野さんは「手を差しのべる人は必ずいると信じ、外との接点を持って」と訴える。
チャリティーコンサートの開催、スタッフや障害者による講演など啓発活動を進め、ピアカウンセリングもしている。「精神障害者が一人でも安心して生きていける社会の実現」が何よりの願いだ。【山田奈緒】
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◇NPO法人 ハートフル
西宮市柳本町8の15。グループホーム、地域活動支援センターなどを運営し、精神障害者の自立支援を行っている。スタッフ17人。03年12月に法人化。障害者やその家族らを対象に社会参加などの相談にも応じている。相談窓口は、電話0798・71・5446(兼ファクス)。