ゴエモンのつぶやき

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授産施設利用にお金がなぜいるの?

2008年04月15日 22時00分00秒 | 障害者の自立
揺れる障害者福祉:自立支援法2年/1 授産施設利用にお金がなぜいるの? /和歌山
 ◇何が自立、不安だらけ--42歳の岡田さん
 「一生懸命働いているのに、なぜお金を払わないといけないの?」。和歌山市の知的障害者通所授産施設「はぐるま共同作業所」を利用する岡田正雄さん(42)はこの2年間、思い続けている。

 ほぼ毎日、朝5時に出勤して約6時間、パンを焼いて販売する。「仲間に会えるし、仕事も楽しい」と言うが、施設の利用料を払うことが強い疑問だ。

 収入は月6万6000円の障害基礎年金と、月3万5000円の工賃(賃金)。支出はケアホームの家賃や生活費計約7万円のほかに、作業所利用料や給食費など計約1万3000円の負担が重くのしかかる。頼れる肉親はいない。「将来のための貯金もできず、1人の生活になるのが怖い」と不安を抱える。

 県障害福祉課によると、県内の認可施設で障害者が受け取る平均工賃は月額1万2045円(06年度)。中には時給6円の施設もある。別の作業所に通う男性(23)は「利用料を取る前に、賃金保障をして」と訴える。

 障害者自立支援法は、福祉サービス利用者に自己負担1割を求め、給食費などの実費負担を課した。低所得者には負担上限額があったものの、すぐに「生活していけない」と困窮の声が続出。国は上限額を4分の1に見直し、年収80万円以下の人の上限額は3750円になった。今年7月からは、さらにそこから2分の1に引き下げる。

 だが、収入の少ない障害者にとっては1円の支出も深刻だ。岡田さんは言う。「お金だけとられて、その分の支援は何一つ受けられない。一体、何が自立なのか。不安だらけの毎日はもうたくさん。1日でも早く施行前の生活に戻してほしい」

   ×  ×

 障害者自立支援法施行から2年。「障害者の社会参加」の理念とは裏腹に、「自立」が見えない現状と将来に不安が広がっている。揺れる障害者福祉の今を現場から報告する。(この連載は清水有香が担当します)

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 ■ことば

 ◇障害者自立支援法
 「施設から地域へ、福祉から就労へ」を理念に、障害者の地域社会での自立を目指す。身体、知的、精神に分かれていた障害者施策を一元化。福祉サービスの従来の利用者負担は収入に応じて決めたが、施設利用やヘルパー派遣などあらゆるサービス利用者に、利用料の1割の自己負担を原則とした。サービス支給決定の指標として、6段階で判定する「障害程度区分」を導入した。06年4月に利用料負担など一部施行、10月から完全施行。

毎日新聞 2008年4月15日 地方版


自立支援法:生活苦でも施設利用料1割負担 東京

2008年04月15日 21時56分33秒 | 障害者の自立
自立支援法:生活苦でも施設利用料1割負担 東京

 東京都内の知的障害児施設に入所する少女(14)について、父親(64)が施設と正式な利用契約をしていないのに、都が障害者自立支援法に基づき、利用料の1割などを負担させる「契約制度」を適用していたことが分かった。父親は生活苦で利用料などが払えないため、施設が経費負担を余儀なくされている。施設側は、契約制度の適用をやめて事実上入所者の負担が減る「措置制度」の対象にするよう求めているが、都は応じていない。

 施設によると、少女は父子家庭。04年4月、児童相談所が父親の養育困難を理由に少女と妹を一時保護し、都内の児童養護施設に入所させたが、05年11月に障害のある少女だけが知的障害児施設に移された。

 06年10月に障害者自立支援法が本格施行され、施設利用料の原則1割などを保護者に負担させる契約制度の適用が可能になった。都は父親に契約能力があると判定し契約制度を適用した。

 しかし、日雇い労働者だった父親は腰痛で働けなくなり、生活保護の申請も却下された。施設は「親の養育能力が不安」として措置制度の適用を再三要請したが、都は「親の経済事情と契約能力は別問題」と退けた。父親は月約1万5000円の施設利用料などを1年余り滞納し、今は連絡も取れないという。

 契約制度の適用には施設と保護者との間で利用契約書など3種類の書類を取り交わすことが必要だが、法施行に向けた国の準備が遅れ、契約書だけで仮契約していた。

 施設側は「正式契約を結んでいないのに一方的に契約制度を適用するのはおかしい」と都を批判。厚生労働省障害福祉課は「都は契約そのものが適切かどうか再確認すべきだ」と指摘している。【夫彰子】

 ▽措置と契約 児童福祉法に基づく措置制度は、児童の入所に要する費用(措置費)を国と都道府県が2分の1ずつ負担。保護者は自治体に「徴収金」を支払うが、応能負担のため低所得層はほとんど出費の必要がない。一方、障害者自立支援法に伴う契約制度は、低所得の保護者も施設利用料の原則1割に加え、医療費や食費を施設に直接支払う必要がある。児童施設はすべてが措置制度だったが、06年の同法施行で障害児施設に限って「措置」か「契約」かを都道府県が個別に審査して決めることになった。

毎日新聞 2008年4月15日 2時30分(最終更新 4月15日 2時30分)