ゴエモンのつぶやき

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東京で1割負担→千葉に転居したら全額公費

2008年04月22日 00時09分54秒 | 制度の話し
知的障害児施設利用料:自治体で対応に差 東京で1割負担→千葉に転居したら全額公費
 ◇「保護者の養育能力に問題」
 千葉県内の知的障害児施設に入所する男児(10)の処遇について、東京都が施設利用料の1割を保護者が負担する「契約制度」を適用したのに、事務を引き継いだ千葉県が一転、公的負担による「措置制度」に変更していたことが分かった。県が改めて男児の家庭環境を調査し、父親の養育能力に問題があると判断した。自治体の対応の違いで処遇が左右される現行制度の問題が浮き彫りになった。【夫彰子】

 施設側の説明によると男児は05年1月、公的負担による措置制度で千葉の施設に入所した。一家の居住地が都内だったため都の児童相談センターが処遇に関する事務を担当。障害者自立支援法の本格施行(06年10月)を機に「措置」を「契約」に切り替えた。

 入所前に両親は離婚し、その後、父親が千葉県に転居したため、今年3月1日付で千葉県の児童相談所が事務を引き継いだ。改めて男児の家庭環境を調査、父親の養育能力に問題があり、「契約は不適切」と判断、措置制度に戻した。

 男児が入所する施設によると、契約制度を適用した都は、児相センターの窓口に来た母親の所得を基準に施設利用料の算定根拠となる「受給者証」を発行していた。本来なら受給者証の名義人の母親が施設と契約しなければならないのに、実際に契約したのは親権を持つ父親だった。

 両親とも是正手続きをせず、所得証明書も出さなかったため負担軽減の対象外となり、父親への請求額は昨年10月、月2万~3万円から約5万円に増えた。施設が都の児相に問い合わせ、手続きの不備が判明した。

 都側は「手続きにミスはない」と説明。しかし、施設側は「都は家庭環境もまともに把握せず、『契約ありき』で判断している」と批判している。厚生労働省障害福祉課も「不適切な契約を長期間放置した都の対応は問題」と指摘している。

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 ■ことば

 ◇「措置」と「契約」
 児童福祉法に基づく措置制度は、児童の入所に要する費用(措置費)を国と都道府県が2分の1ずつ負担する。保護者は収入に応じて「徴収金」を自治体に支払う。一方、障害者自立支援法に伴う契約制度では、低所得の保護者も原則1割の施設利用料や医療費、食費を支払う必要がある。児童施設はすべてが措置制度だったが、06年の同法本格施行により、障害児施設に限って都道府県が「措置」か「契約」かを決めることになった。

毎日新聞 2008年4月21日 東京朝刊


支援を限定する障害程度区分

2008年04月22日 00時05分50秒 | 障害者の自立
揺れる障害者福祉:自立支援法2年/6止 支援を限定する障害程度区分 /和歌山
 ◇「不透明」「信用できない」戸惑う保護者ら
 「一人で歩けますか?」。知的障害の女性利用者(33)についての調査員の質問に、和歌山市の「くろしお作業所」の鈴木栄作施設長(40)は疑問を感じた。「できるできないを聞くだけで、どういう介助が必要なのかを聞く項目がない」

 障害者自立支援法の施行で、福祉サービスの利用に、障害程度区分の認定が必要になった。106の質問項目のうち、体の不自由さなどを問う要介護認定基準が8割近く。このため、知的、精神障害者の場合、障害程度が正しく反映されないケースが生じている。

 女性は中程度の区分3に認定。重度の自閉症で、感情の変化に応じた介助を必要とする。鈴木所長は「あまりに軽い。障害の程度は介護基準で測れない。根拠のない不透明な区分だ」と憤る。不服申し立てにも、複雑な手続きが必要なため、できないままだ。

 認定区分は利用できるサービスを決める指標となり、低く判定された場合は支援も制限される。例えば、ケアホームは区分2以上、重度訪問介護は区分4以上が対象。また、利用者1人当たりの報酬単価を決める基準にもなり、事業所にとっては収入にかかわる。

 認定は調査状況にも左右される。知的障害のある和歌山市の明渡哲人さん(28)は06年10月に区分4と判定されたが、3カ月後の再調査で5になった。2回目は、利用するケアホームの世話人が立ち会い、別の調査員が行った。母美津子さん(53)は「ころころ変わる区分は信用できない」と戸惑う。

 県の10障害者団体は07年10月、個々の障害者の生活ニーズに基づく支給決定の仕組み作りなどを国に求めるよう県に要望。厚生労働省障害福祉課は「より正確に障害特性を判定できるよう、区分の見直しに向けた実態調査の準備を進めている」と説明する。

 金川めぐみ・和歌山大准教授(社会保障法)は「最大の問題は認定の判断で支援が限られること。本人が自由に意思決定できる『自律』こそ障害者の自立であり、逆行している。生活における支援の必要度を反映する認定の見直しが必要だ」と話している。=おわり(この連載は清水有香が担当しました)

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 ■ことば

 ◇障害程度区分
 障害者自立支援法で、サービス利用の際に必要となる認定。障害程度別に6段階に分け、数が多い程重い。認定調査員による106項目の聞き取り調査を基に、コンピューターで1次判定。特記事項や医師の意見書などを考慮して学識経験者らでつくる審査会が2次判定し、市町村が区分を認定する。認定調査員は市町村職員や市町村が委託する相談支援事業者などが担当する。

毎日新聞 2008年4月20日 地方版