ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

点字受験の機会を保障せよ

2010年03月19日 00時58分32秒 | 障害者の自立
 自分の使う文字を否定され、何事にも挑戦する前に「無理だ」と決め付けられる。こんな仕打ちは、誰にとっても、耐えられないはずだ。

 目の見えない人にとって、指先で読みとる点字は、かけがえのない文字である。国内唯一の週刊点字新聞を発行する毎日新聞は、転落事故の絶えない駅ホームの危険性など視覚障害者を取り巻くさまざまな問題を報じてきた。その中で私が強く疑問に感じるのが、地方公務員の採用試験の実情だ。点字受験を認めている自治体は全国で6割弱にすぎない。「働くことは無理」と、試験に挑戦するスタートラインに立つことさえ、地域によって許されていないのだ。鳩山民主党は、障害者差別禁止法の制定を政策に掲げる。公務員試験での差別的な現状を早急に是正すべきだ。

 「障害のない人からすれば当たり前すぎることさえも、権利主張しなければ勝ち取ることができないことこそ、障害者にとって、体の不自由さ以上の『障害』であるように思います」。全盲の保育士の小山田みきさん(32)=大阪市=の言葉が忘れられない。

 私立保育園に勤務する小山田さんが、昨年度と今年度の大阪市の保育士採用試験に申し込もうとしたところ、点字受験を拒否された。この問題を毎日新聞で昨夏報道後、同市は一転、点字受験を認めた。受験のスタートラインにようやく立つことができた時、小山田さんが述べた感想だ。

 小山田さんはその後、今年度の試験に挑み、残念ながら合格には至らなかったが、「障害者にとって、体の不自由さ以上の『障害』」という彼女の指摘は、障害のある人の人権を考えるうえで、重要なことを示唆していると思う。

 未熟児網膜症のために光を失った小山田さんは、自身の幼稚園での楽しい思い出が心に残り、「保育士になりたい」と京都の短大に進学。念願の保育士資格を取得し、私立保育園で既に8年の実務経験を持っていた。私立では1年単位の契約職員だったため、公立保育所を希望した。

 しかし、受験資格を満たしているにもかかわらず、08年度の採用試験では「視覚障害者が働く職場は確保されていない」と大阪市から門前払い。今年度も当初は取り合ってもらえなかった。

 小山田さんは現在の職場で2歳児の30人を、同僚5人と受け持つ。園児一人一人を、その声や髪形、手の感触、しがみついてくる仕草で判別する。園児の散歩の時には園児の動きを同僚に見守ってもらう代わりに、同僚の荷物を持ったり、普段もトイレ掃除などを率先してこなす。点字の絵本の読み聞かせが人気の小山田さんの仕事ぶりに、同僚の女性は「私が親なら、小山田さんのような保育士に見てもらいたい」と打ち明けた。

 そんな小山田さんの仕事ぶりも併せて紹介した記事掲載後、一部の読者から反発の声が新聞社に寄せられた。

 「全盲なんて論外」「障害があるから、世間に甘えても許されると思っている」--。

 国家資格の保育士資格で障害の有無は条件になっていない。受験資格を満たしているから、受験を申し込む。この権利の行使のどこが「甘え」なのだろうか。8年も実務経験があるのに、なぜ「論外」なのか。障害者にとって、体の不自由さ以上の「障害」とは、こうした「世間」という社会的多数派の根拠のないバリアー(障壁)なのではないか、と私は思う。

 このバリアーは、保育士に限ったことではない。全国の県庁所在市と政令市など51自治体を対象にした毎日新聞の調査で、一般事務職の採用試験で点字受験を認めているのは、障害者特別枠試験を含めても56.8%しかないことが判明した。市町村レベルではより低いと見られる。

 問題なのは、点字受験を認めない自治体の判断基準が極めてあいまいだという点だ。「一定の配慮が必要な重度視覚障害者の採用は想定していない」(関東の自治体)などが、合理的な理由といえるだろうか。障害者が挑戦する前に「無理だ」と決め付ける多数派のバリアーが立ちふさがっているといえる。

 ただヒントはある。点字受験に合格した全盲の職員の仕事をサポートする「職場介助者」を配置し、全盲の職員が持てる力を発揮している神奈川県庁などの先進例もある。

 障害者の権利擁護に取り組む弁護士グループ「障害と人権全国弁護士ネット」の池田直樹弁護士は「自治体で判断が異なるのを、『地域主権だから仕方ない』と国が見過ごすのではなく、人権問題ととらえるべきだ」と指摘する。

 08年に発効した国連の障害者権利条約は、障害のある人に合理的な配慮をしないと、障害に基づく差別になると定義している。政府は、国家公務員1、2種「行政」試験で認めている点字受験の機会を、全国の地方公務員採用試験でも保障するよう、政治主導を発揮すべきではないか。

 (大阪学芸部)
毎日新聞 2010年3月19日

障害者が働くレストラン開店/京都府

2010年03月19日 00時52分04秒 | 障害者の自立
木津川市で障害者の作業所を運営している社会福祉法人「京都ライフサポート協会」が、障害者が働くレストランを開くことにしている。食材は、障害者たちが育てた無農薬、無化学肥料の野菜を使う予定だという。同協会は8年前から野菜の栽培に取り組んできた。昨年春には水田を畑に再生してハウスを建てた。20~30種類の野菜を栽培する計画で、将来は米作りも目指すという。
町も協力
現在は野菜を販売しているが、無農薬野菜をレストランで提供すれば、障害者の雇用の場が広がるのではと考え、事業を発案したという。レストランの土地は、井手町の協力を得て無償で借り、畑とレストラン合わせて30人ほどの障害者を雇用する予定だ。同協会の樋口理事長(59)は「福祉だからという甘えは禁物。質の高い物を作り、自立に向けた賃金が払えるようにしたい」と意気込んでいる。

駐車禁止除外指定車標章:肝機能障害者にも 4月から県警 /岡山

2010年03月19日 00時49分50秒 | 障害者の自立
 道交法改正に基づき、県警は4月から駐車禁止区間でも駐車できる駐車禁止除外指定車標章の対象に、新たに肝臓機能障害(1~3級)を加える。現在、標章は身体障害者や心臓・腎臓に機能障害がある人らに発行されている。

 また、4月19日からは、高齢運転者等専用駐車区間を岡山市、倉敷市、津山市の3市7カ所に設置する。同区間では、70歳以上の高齢者や妊婦、聴覚障害者が優先的に駐車できる。警察署が交付する標章が必要。駐車場を探す高齢者らの脇見運転を避ける目的で新設された。

 県警交通規制課は「現状では主要市にしか高齢運転者等専用駐車区間がないが、要望があれば拡充も検討する」としている。【日新聞 2010年3月18日 地方版

障害者の「罪と罰」:イギリスからの報告/上 ケア優先、低い再犯率

2010年03月19日 00時47分49秒 | 障害者の自立
 殺人などの重大事件を起こした容疑者が発達障害や人格障害と診断されることがある。いじめ、孤立などが背景にあるが、障害ゆえの言動が「悪質」「猟奇的」と糾弾される。一方、特性に配慮されず刑事手続きが取られ、刑務所では矯正教育が乏しいため、再び罪を犯す人も少なくない。現在の司法は加害者の矯正や社会の安全に役立っているのか。イギリスを訪ね、考えた。

 ◇「病院」で個別治療 段階的に地域へ復帰
 冬枯れの雑木林が広がるロンドン郊外にブロードモア高度保安病院はある。収容患者は250人。殺人や強姦(ごうかん)容疑などで逮捕されたり、既に服役していた人が7割。統合失調症、人格障害、発達障害などと診断された人々である。

 まず受付で指紋と顔写真をとられ、ボディーチェックを受けた。厳重に施錠されたドアを四つ通り抜けて敷地内に入ると、19世紀に建てられた赤いレンガ造りの病棟が並ぶ荘厳な風景が現れた。

 不安定な患者を集中ケアする病棟に案内された。リビングで、患者らがテレビを使ったボウリングゲームに興じている。肥満解消などのためという。不自由なことはないかと問うと、太った黒人男性は「特にないね」と笑った。

 処遇の難しい患者がいる病棟では、工芸活動や音楽療法が行われていた。日本の障害者施設の雰囲気と似ている。ユニット型居室の中央に広いリビングがあり、数人がくつろいでいた。「コミュニケーションをうまく取れるようにすること、自分のことをポジティブに考えることを学んでいる」と男性患者が落ち着いた口調で話した。

 一人の男性の部屋を見せてもらった。整頓された室内に音楽が静かに流れ、窓辺の観葉植物に光が差し込んでいる。知的な笑みを浮かべ大学教授のような雰囲気だが、3人の女性を強姦したとして有罪判決を受けた。普段はおとなしいが、突然激高して暴れることがあるという。

 同院では患者の特性や能力に応じて個々の治療プログラムを作成し、認知行動療法や心理療法を行っている。原因となる疾患をコントロールし、自分の病を理解する。なぜ法を犯したのか内省を促し、行動を管理することを目指している。「院内の治療が地域の福祉サービスと統合されていること、本人が治療に積極的に向き合えるようにすることが必要だ」と管理者の男性は言う。

 英国では容疑者に精神的な問題が指摘されると治療が優先される。共感や内省が難しい障害のある人を服役させるだけでは矯正につながらないとの考えが根底にある。特に「危険で重度な障害」と判断されると高度保安病院などに送られる。再犯リスクが減ると中度保安病院や刑務所、改善すればさらに開放病棟から地域生活へと移行する。そうして地域に戻った障害者が再び法に触れたりして病院に戻ってくる率は5~6%という。

 「刑罰でなくなぜ病院に入れるのか、と思っている人は英国にも多い」とブロードモア病院の医師は言う。厳重な管理下で多数の医療スタッフが手厚いケアを施す同院では、患者1人に年約4000万円をかける。国の財政悪化で体制の継続が危ぶまれてはいるが、必要なのは刑罰ではなくケアという思想が、厳罰を求める世論の濁流にあらがう岩のように存在している。

   *

 日本では刑事責任能力が認められると通常の刑事手続きが取られる。人格障害や発達障害で「責任能力なし」とされることはまずない。刑務所では障害特性に合わせた矯正教育はなく、医療刑務所でも再犯防止プログラムはほとんど行われていない。05年には重大事件を起こしながら責任能力がない人を指定医療機関で治療する心神喪失者医療観察法が施行された。イギリスがモデルだが、統合失調症などに限られ、薬物治療での改善が難しい発達障害や人格障害は対象外だ。

 イギリスでは犯罪を起こさなくても重度の自傷や他害行為があり専門的なケアが必要な人は保安病院で治療される。「入退院の判断は、精神科医と裁判官と心理士などで構成される裁定機関が緊密にかかわって行うことが精神保健法で定められている」とコリーン・シンガー弁護士は言う。

 イギリス自閉症協会にはヘルプラインがあり、発達障害の人がトラブルを起こしたり逮捕されると、すぐに自閉症に詳しい弁護士のネットワークにつながる、と同協会のリチャード・ミルズ氏は語る。
毎日新聞 2010年3月18日 東京朝刊

無年金障害者の会:20日に電話相談 複雑な受給条件など、弁護士ら対応 /兵庫

2010年03月19日 00時46分21秒 | 障害者の自立
 国民年金が任意加入だった時代に未加入のまま障害を負い、障害年金を受給できない障害者らでつくる「無年金障害者の会」(事務局・尼崎市)は20日、複雑な受給条件などについて、弁護士や社会保険労務士が相談に乗る「無年金障害者『年金』110番」を実施する。

 20歳未満で障害者となった場合、条件を満たせば20歳から障害年金が支給されるが、20歳以上では障害を負った疾病の初診日に公的年金に加入していなければ、支給されない。国民年金加入が任意だった91年4月以前の学生や、86年3月以前の専業主婦の中には、未加入のまま障害を負い無年金となる人がいる。全国9地裁で、国を相手取り支給を求めた学生無年金障害者訴訟は、一部を除き敗訴が確定している。

 同会によると、無年金障害者は全国に約12万人いるとされる。ところが、受給可能な人でも年金支給の基準となる初診日や、初診時に公的年金に加入していた事実などを確認できる証拠がないなどの理由で受給できない人も多いという。

 同会代表の原静子さん(65)=尼崎市=は、「役所に相談して解決しなかった人や、相談する所がなくて困っている人は是非電話してほしい」と話している。午前10時~午後3時。電話番号は06・6312・9800。【毎日新聞 2010年3月18日 地方版