郵便割引制度を悪用した郵便不正事件で、障害者団体の偽証明書作成に関与したとして虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)=官房付=の大阪地裁での公判は、検察側が苦境に立たされている。出廷した8証人から村木被告の共謀を裏付ける証言は出ず、うち厚労省側の4人は捜査段階の調書を覆して村木被告の「冤罪(えんざい)」を主張。検察側は今月中旬から、取り調べた大阪地検特捜部の検事を証人尋問し、村木被告共謀説の信用性を訴える。
■いつ、誰が?
元係長、上村勉被告(40)は偽証明書を「一人で作った」と村木被告の指示を否定。厚労省近くの喫茶店で障害者団体「凜(りん)の会」の河野克史被告(69)に渡したと述べた。だが河野被告は受け取りを否定。同会代表、倉沢邦夫被告(74)は「村木被告から受け取った」とし、証言は食い違う。
上村被告が偽証明書を作成したのは04年6月1日未明。凜の会側が郵便局に提出したのは同10日だが、受取日は不明のままだ。
■作成の動機は
検察側は、石井一民主党参院議員(75)が04年2月、元秘書だった倉沢被告の依頼で塩田幸雄元厚労省部長(58)に電話で証明書作成を要請し、塩田元部長が村木被告に便宜を指示したと主張する。
しかし、塩田元部長は「電話を受けた記憶はない」と、調書内容を覆した。上村被告の前任係長(48)も村木被告の指示を否定。上村被告も「石井議員の関連とは証明書を渡すまで知らなかった」と述べた。石井議員も4日の証人尋問で口添えを否定し、倉沢被告から議員会館で依頼を受けたとされる日時は「千葉県のゴルフ場にいた」と主張した。
■信ぴょう性は
厚労省側4証人は「調書は検事の作文」と捜査批判した。「もうあきらめた。冤罪はこうしてつくられるのか」。上村被告は取り調べ状況をノートにこう記し、再逮捕を恐れて村木被告の関与を認めたと証言。「申し訳ない」と泣き崩れた。
検察側は特捜部検事らも公判に投入する異例の態勢。証人らが村木被告の関与を認めた捜査段階の供述調書を証拠提出する方針だ。
毎日新聞 2010年3月9日 東京朝刊
■いつ、誰が?
元係長、上村勉被告(40)は偽証明書を「一人で作った」と村木被告の指示を否定。厚労省近くの喫茶店で障害者団体「凜(りん)の会」の河野克史被告(69)に渡したと述べた。だが河野被告は受け取りを否定。同会代表、倉沢邦夫被告(74)は「村木被告から受け取った」とし、証言は食い違う。
上村被告が偽証明書を作成したのは04年6月1日未明。凜の会側が郵便局に提出したのは同10日だが、受取日は不明のままだ。
■作成の動機は
検察側は、石井一民主党参院議員(75)が04年2月、元秘書だった倉沢被告の依頼で塩田幸雄元厚労省部長(58)に電話で証明書作成を要請し、塩田元部長が村木被告に便宜を指示したと主張する。
しかし、塩田元部長は「電話を受けた記憶はない」と、調書内容を覆した。上村被告の前任係長(48)も村木被告の指示を否定。上村被告も「石井議員の関連とは証明書を渡すまで知らなかった」と述べた。石井議員も4日の証人尋問で口添えを否定し、倉沢被告から議員会館で依頼を受けたとされる日時は「千葉県のゴルフ場にいた」と主張した。
■信ぴょう性は
厚労省側4証人は「調書は検事の作文」と捜査批判した。「もうあきらめた。冤罪はこうしてつくられるのか」。上村被告は取り調べ状況をノートにこう記し、再逮捕を恐れて村木被告の関与を認めたと証言。「申し訳ない」と泣き崩れた。
検察側は特捜部検事らも公判に投入する異例の態勢。証人らが村木被告の関与を認めた捜査段階の供述調書を証拠提出する方針だ。
毎日新聞 2010年3月9日 東京朝刊