◇負のイメージ変えたい--垣内章伸さん(47)
県立特別支援学校わかば学園(玉城町宮古)の生徒たちが間伐材を利用して作ったペルー発祥のカホンなどの打楽器の販売を、松阪市柚原町のミュージシャン、垣内章伸さん(47)が準備している。「卒業した知的障害者が、やりがいを持って働ける場をつくりたい」と、同市駅部田町に打楽器を販売・作業所「ラモシオン」を開設。4月発売を予定している。
5年前、特別支援学校に通う自閉症の長男、楽守さん(15)と2人で音楽ユニット「RAMO」を結成し、全国各地でライブを展開してきた。楽守さんは小学5年の時、同級生との関係が悪くなり、人を怖がるようになったため学校へ行くことをやめた。
そんな時、障害者や家族の交流の場を提供するいなべ市藤原町の「くれよんサークル」から声が掛かり、楽守さんを誘ってイベントに参加した。民俗楽器の太鼓を自由にたたく長男の姿に、「楽守の心に刺さったとげが抜けていく気がした」という。以来、楽守さんは音楽に夢中になった。
そして、親子デュオ「不安定ユニットらも」を結成。垣内さんはギターを弾いて歌い、楽守さんはパーカッションなどを担当している。70曲以上のオリジナル曲を作り、演奏会を約150回重ねてきた。
「楽守との時間をもっと増やしたい」と、昨年8月末、15年間勤めていた電動工具メーカーを辞め、演奏活動を本格化させるとともに、障害者らの音楽活動を支援する音楽レーベルを発足させた。自閉症という言葉に対し、「心に傷を持って引きこもっている」というイメージを持つ人に、先天的な障害であることを知ってもらおうとしている。
楽器販売店を開こうと計画していた時、知的障害者の一般就労が難しい現状を知った。「楽器を製造する作業所と楽器店を兼ねた店を作ろう」。昨年9月に開店準備を本格的に始めた。店内には垣内さんのコレクションのギターを壁に掛け、演奏会ができるミニステージも設けた。
打楽器作りは、木工機材がある玉城町の特別支援学校わかば学園に依頼。箱形の楽器カホンやカリンバなど木製打楽器を製造し、音の調整など仕上げは店が担う。
「学校を卒業した障害者を雇い入れ、就職先の技を増やしたい。生徒たちはこつこつと作業を続けるのは得意。単純に作業するのではなく、知的障害者が自ら商品を生み出し、金を稼ぐことで『作ってよかった』と思えるようにしたい。知的障害者を雇うのはマイナスという世の中のイメージを変えたい」と熱意を抱く。
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◇メモ
「RAMO」のライブが4月3日午前10時から、鈴鹿市の白子公民館で開かれる。店で販売するのはカホンなど約10種類で、価格は1万5000~3万円。問い合わせはラモシオン(0598・67・0127)。営業は午後1~8時。不定休。
毎日新聞 2010年3月28日 地方版
県立特別支援学校わかば学園(玉城町宮古)の生徒たちが間伐材を利用して作ったペルー発祥のカホンなどの打楽器の販売を、松阪市柚原町のミュージシャン、垣内章伸さん(47)が準備している。「卒業した知的障害者が、やりがいを持って働ける場をつくりたい」と、同市駅部田町に打楽器を販売・作業所「ラモシオン」を開設。4月発売を予定している。
5年前、特別支援学校に通う自閉症の長男、楽守さん(15)と2人で音楽ユニット「RAMO」を結成し、全国各地でライブを展開してきた。楽守さんは小学5年の時、同級生との関係が悪くなり、人を怖がるようになったため学校へ行くことをやめた。
そんな時、障害者や家族の交流の場を提供するいなべ市藤原町の「くれよんサークル」から声が掛かり、楽守さんを誘ってイベントに参加した。民俗楽器の太鼓を自由にたたく長男の姿に、「楽守の心に刺さったとげが抜けていく気がした」という。以来、楽守さんは音楽に夢中になった。
そして、親子デュオ「不安定ユニットらも」を結成。垣内さんはギターを弾いて歌い、楽守さんはパーカッションなどを担当している。70曲以上のオリジナル曲を作り、演奏会を約150回重ねてきた。
「楽守との時間をもっと増やしたい」と、昨年8月末、15年間勤めていた電動工具メーカーを辞め、演奏活動を本格化させるとともに、障害者らの音楽活動を支援する音楽レーベルを発足させた。自閉症という言葉に対し、「心に傷を持って引きこもっている」というイメージを持つ人に、先天的な障害であることを知ってもらおうとしている。
楽器販売店を開こうと計画していた時、知的障害者の一般就労が難しい現状を知った。「楽器を製造する作業所と楽器店を兼ねた店を作ろう」。昨年9月に開店準備を本格的に始めた。店内には垣内さんのコレクションのギターを壁に掛け、演奏会ができるミニステージも設けた。
打楽器作りは、木工機材がある玉城町の特別支援学校わかば学園に依頼。箱形の楽器カホンやカリンバなど木製打楽器を製造し、音の調整など仕上げは店が担う。
「学校を卒業した障害者を雇い入れ、就職先の技を増やしたい。生徒たちはこつこつと作業を続けるのは得意。単純に作業するのではなく、知的障害者が自ら商品を生み出し、金を稼ぐことで『作ってよかった』と思えるようにしたい。知的障害者を雇うのはマイナスという世の中のイメージを変えたい」と熱意を抱く。
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◇メモ
「RAMO」のライブが4月3日午前10時から、鈴鹿市の白子公民館で開かれる。店で販売するのはカホンなど約10種類で、価格は1万5000~3万円。問い合わせはラモシオン(0598・67・0127)。営業は午後1~8時。不定休。
毎日新聞 2010年3月28日 地方版