今春、日田市中城町の市道沿いに完成した公衆トイレ(障害者用併設)と歩道の間に9センチの段差があり、車椅子利用者らに不便な状況が生じている。トイレの整備後も、入り口前の歩道部分の舗装が終わっていないためだ。市によると、トイレ設置と市道工事は担当部署が異なり、計画段階からの連携ができていなかった。応急処置として砂利のスロープで段差解消を図っているが、現状がしばらく続くという。
トイレを設置したのは市観光課。観光地の豆田町に接する地区にあり、観光客へのもてなし対策として設置した。一方、道路工事は市都市整備課が担当。水道管の埋設工事などを予定しており、歩道は砂利道の状態になっている。
近くに住む車椅子利用者で脳性まひ患者の江藤博さん(46)はトイレができたことを歓迎。ただ、利便性の悪さに落胆している。「高齢者も歩きにくいと思う。計画段階で福祉担当者などと意見調整する機会があればよかったのに…」と話す。
市によると、今年4月のトイレ完成後、歩道との間に段差があることに観光課が気付いた。段差への対応を都市整備課に要請。同課は注意を呼び掛ける掲示板を設置したが、舗装は半年後になるという。段差が長期間生じることについて両課は事前に協議していなかった。
財津俊一都市整備課長は「砂利道で通れるので大丈夫と思っていたが結果的に配慮不足だった。仮舗装を検討したい」としている。
大分大学福祉健康科学部の広野俊輔講師(障害者福祉論)は「今回のトイレの現状は、バリアフリー新法で求められている基準を満たしていない」と指摘。「市は計画段階から障害者の意見を聞くなどし、公共性の高い建物の利便性を高めてほしい」と話している。
※この記事は、6月20日大分合同新聞夕刊11ページに掲載されています。
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