ゴエモンのつぶやき

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視覚・聴覚障害者、57人が裁判員に 参加総数の0.1%

2019年05月22日 11時10分15秒 | 障害者の自立

 制度施行から10年を迎えた裁判員裁判に、少なくとも57人の視覚・聴覚障害者が、裁判員・補充裁判員として加わった。最高裁への取材で明らかになった。裁判所は法廷での手話通訳などの対応を講じているが、障害者も含めた「国民の司法参加」を後押しするため、専門家らはサポート態勢のさらなる充実を訴えている。

 最高裁によると、障害の有無に関わらず、裁判員としての仕事を成し遂げるのに著しい支障がなければ裁判員になることができる。

     障害者が裁判員に選ばれる場合を想定し、裁判所は視覚障害者向けに、ヘルパーによる付き添いや公判に提出された書面の点字翻訳を行っている。聴覚障害者には、法廷での手話通訳や会話を要約して文書にする要約筆記で対応。他にも車椅子や拡大読書器、筆談器、補聴システムなどの貸し出しもしている。裁判員の選任手続きでも同様の対応をしているという。

     2018年12月末までに判決が言い渡された裁判員裁判で、裁判所が何らかの対応をした視覚障害のある裁判員・補充裁判員は16人で、うち5人は点字翻訳を利用した。聴覚障害のある裁判員・補充裁判員は41人。うち9人は手話通訳、8人は要約筆記のサポートを受け、審理に参加した。

   他の障害などに対応し車椅子の貸し出しなどを受けた45人を含め、計102人が支援を受けて裁判員裁判に参加した。支援を受けずに参加した人もいるとみられるが、参加総数約9万人に占める割合は約0・1%だった。厚生労働省が18年に公表した調査によると、身体障害者手帳所有者数の推計値は428万7000人で、人口の3%程度。難病患者や手帳未所持で何らかの障害がある人を含めるとさらに多いとみられる。

     視覚障害があり、障害者の権利の問題にも取り組む大胡田誠弁護士(第一東京弁護士会)は「適切な配慮がなされず、障害者が制度から取り残されていないかを懸念している。障害者が司法手続きに参加する機会を確保してほしい」と話している。

    「専門用語」分かりづらく 手話通訳者の技術にも差

     2017年に東京地裁で裁判員として傷害致死事件を審理した柴田正明さん(47)=山形市=は聴覚障害があり、地裁に手話通訳を要請した。

     法廷では、証人と手話通訳の両方が見やすい席に座った。評議では、裁判長が「発言したい時は手を挙げて、一人一人、ゆっくり話して」と裁判員らに呼び掛けてくれ、不安なく参加できたという。

     ただ、法廷で専門用語が飛び交ったり、尋問のやりとりが早かったりして、通訳内容が分かりづらい場面もあったという。柴田さんは「手話通訳者の技術にも差があった」と振り返る。

     青森地裁で13年に審理された強姦(ごうかん)致傷事件で裁判員を務めた須藤博幸さん(61)=青森市=も手話通訳を受けた。「普段から交流があったり、見慣れたりしている通訳者の表現の方が安心して読み取れる」と語る。

     裁判所は、外国語の法廷通訳には通訳者向けの研修を実施しているが、手話通訳者を対象とした同様の研修制度はないという。聴覚障害のある田門浩弁護士(東京弁護士会)は「質の問題」を指摘し、「海外では研修のほか、法廷専用の通訳資格を設けている国もある。国内でも導入すべきだ」と提言する。

毎日新聞           2019年5月21日


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