「彼女」は小学校の教室で教諭の目が届きやすい最前列の席におり、近視の自分の隣。授業中、粗相をしたり、騒いだ。かわいそう-と思うと同時に、正直に言うと「迷惑だな」という気持ちを持った。「なんで隣なんだ、ついてないな」
▼クラスの女子はトイレ、給食、授業の移動、着替えなど、彼女の身の回りの面倒をよく見ていた。その姿と己の胸の内を比べ、自己嫌悪に陥った。一部の男子はひどいことに、その2人を貶(おとし)めた。記せないほどの言葉で。介助も注意もできぬ自分は、いじめた子と同罪だ
▼一つだけ覚えているのは彼女の笑顔。優しい友達に囲まれ輝いていた。今も脳裏に焼き付いている
▼「感動ポルノ」。“長時間”テレビで障害者が挑む姿は健常者を喜ばせるだけで、イメージの固定化を助長している-。障害者が批判し話題だ。「じゃあ障害者は『特別扱い』しなくてよいのか」との反論もあるという
▼相模原市の障害者施設での殺傷事件で、容疑者は障害者を必要のない命と勝手に思い込み犯行に及んだといわれる。障害児者施策の充実とともに、「彼女の笑顔」を知ることなく健常児が育つ現代。個人的には、キレイ事でも何でも、発信し続けることは重要に思うのだが
▼間もなくリオパラリンピックが開幕する。一人のアスリートが闘う姿は、閉幕したばかりの五輪と何ら変わらぬ感動をくれそうだ。
2016年08月30日 47NEWS
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