哲ノート

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錦木検校 -紀伊國屋寄席-

2022-04-25 23:47:39 | 落語・浪曲・講談・演劇・芸能
ひさびさ新宿「紀伊國屋寄席(第682回)」を拝聴します。

普段は何が飛び出すか、何が演じられるかわからない(そこがおもしろい)寄席に通っていますが、たまには「ホール落語」を聴きたいと・・・。

あらかじめ演じられる演目が決まっていて、しかも寄席とは違って持ち時間も長く、当然長講の演目が演じられ、寄席ではなかなか聴けない演目が出るので楽しみです。

今回の紀伊國屋寄席でも、普段聴けない重厚な演目を聴くことができました。



開口一番は「道具屋」から「親子酒」「片棒」とここまでは普段から、そして中入り前は浪曲から奈々福さんが登壇「左甚五郎旅日記 掛川宿」を演じます。(初の紀伊國屋寄席だそうです)

張りのある節と快活でテンポある話で左甚五郎のエピソードを進めていきますが、ちょっとコメディーぽくなりすぎて、ちょっと軽いタッチになっていたような・・・(これはこれでいいのかなぁ)

ふだん通っている木馬亭の定席での浪曲の演目からすると、もうちょっと重厚にしゃべくりあげてもいいんじゃないかな…なんか勢いだけでいっちゃった感じです。



中入り後は扇辰師匠の「紫檀桜古木」という演目。昔どこかで聴いたことある演目で、まくらでは今ではもうほとんど見かけない「キセル屋」「ラオ屋」の説明があって、本編へ・・・

演目のなかでは狂歌のやりとりも品があっておしゃれなもんで、まくらでのキセル・ラオ屋の説明が生きて話についていけます。オチの「は~お~り~(ラオ)きせる~(キセル)」というのも理解できました。

そして喬太郎師匠が「錦木検校」を・・・。酒井雅楽頭(さかいうたのかみ)と按摩錦木とのかかわりあいで、原作は「三味線栗毛」という演目から人情話をクローズアップしての演目です。

まくらから導入部で「三味線栗毛」の逸話を織り込んでから二人のエピソードを演じてゆきます。「検校」とは按摩の役位で雅楽頭の大名昇進と対比しながらの話。

喬太郎師匠はところどころウイットに富んだ“脱線”をしますが、ここでは“古典”をしっかり演じられ、特に錦木の描写は秀逸で、ラストの「感動オチ」まで一気に長講を演じられました。

いつもの寄席興行のように演者が入れ代わり立ち代わりすることなく、じっくりと演目を聴けるし、今回のように普段聴けない長講も興味深く拝聴出来て、ひさびさの「ホール落語」を堪能した夜になりました。



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