新宿・末廣亭 六月下席に…
平日の昼下がり(3時半ごろ)なのに、末廣亭は満席状態(なんで?)
「信者のみなさ~ん 集結!!」
満員の理由は夜席トリが小三治師匠ですから、昼夜入れ替えなしも手伝って、たとえ登壇が5時間後であっても“お目当て”を待ちかねて熱気が漂います。(自分もそのひとりですが)
夜席になるとさらに末廣亭はヒートアップして、正月興行でしか見られないくらいの人・人・人で「二階席満席」「立ち見客」まででた六月下席です。
今日も昼席中入りに入亭して、いつもの桟敷席に陣取って、夜9時までたっぷりと…。
大店の伊勢屋の養子が一年ももたずに次々と短命で死んでしまう、ということを出入りの八五郎がご隠居さんから聞かされます。
若くてきれいな“いいおんな”の伊勢屋のおかみさんが、ごはんをいつも給仕してくれるそうで、
その際直接お椀をさしだして…
触れる指と指…
ひょいと顔を上げると“いいおんな”…
なあ「短命だろぉ…」
………。
お椀をさしだして…
触れる指と指…
ひょいと顔を上げると“いいおんな”…
(なんどやっても)「短命だろぉ…」
何度も何度も聞かされたので、いざ自分の女房にいやいや同じことを…
お椀をさしだして…
触れる指と指…
ひょいと顔を上げると…
(亭内の観客だれしもが(オチをわかっていて)その瞬間を期待を込めて耳を傾けていました。)
八五郎がひょいと顔を上げると…
「長命だぁ…」
亭内は期待通りのオチに割れんばかりの拍手喝采です。
ひょうひょうとしたしゃべりが魅力の南喬師匠のみごとな「短命」でした。
………。
今日の末廣亭は昼席中入り“丞さま”菊之丞師匠の「町内の若い衆」から市馬師匠の「寝床」
夜席は開口一番、前座のあお馬さんの「金明竹」こみちさんの「がまの油」と口上物が続き、どちらも口上をリズムよくなめらかに一気にまくしたてて
観客をぐいぐい話のなかに引き込んでいきました。(つっかえることなく、小気味よさがとってもいい感じです)
トリの小三治師匠は「錦の袈裟」を、ほかに寄合酒、夏どろ、あくび指南、百物語(初聴)半分垢…と5時間半の長丁場を末廣亭(いつもの)桟敷席でたっぷりと堪能しました。