日々礼讃日日是好日!

まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

五月雨のウイークエンド

2014年06月07日 | 日記
 
 今月五日に梅雨入りして以来ずうと雨降り。そんなしとしと降りの続く日のウイークエンド、午前中に高校の保護者懇談会へ参加する家人を送っていったあとに相模湖方面まで出かける予定だったけれど、どしゃ降りとならないか心配だったし、思い直して家に戻ってくることにした。今日は、娘も高校野球県予選大会の抽選会にいってしまって、日中の家にはほかに誰も不在だし、おとなしく明日の青山周辺散歩の道のりでもあれこれ考えてみようか。
 

 明日午前9時45分に、都内表参道の地下鉄駅口をでた交差点すぐの山陽堂書店で、今回の散歩を誘ってくれた友人と待ち合わせの予定。ここの老舗書店は数年前に新築になり、二階に小さなギャラリーを併設している。今年の三月に亡くなられたイラストレーターの安西水丸さんが、仕事場近くなのでよく通われていらしたそうだけれども、あいにく日曜日は休業なので時間調整の雨宿りはできない!まあ、緑が雨に濡れて鮮やかなこの季節、傘をさして参道のケヤキ並木を眺めながらの待ち合わせもいいだろうな、ちょっとワクワクする。
 小雨か、曇り空かいずれにしても、交差点を渡って表参道の反対方向へすこし歩いて青(北欧ブルー)のタイル張りが印象的かつ洗練された外観のヨックモック本社(1978竣工、設計:現代計画研究所)のさらに先、フロムファーストビル(1975、設計:山下和正)、コレッツオーネ(1989、設計:安藤忠雄)を通り越して、根津美術館へ。隈研吾の設計で2009年に立て直されたばかり、今井兼次が設計した先代の白壁蔵造隠れ家風のひっそりした美術館の雰囲気は消えてしまったが、和風モダンな黒を基調とするシャープなつくり。「中国・明清工芸の清華」展覧会期中なんだけれども、一番の目的はここの和紙と木面内装のCAFEから眺める庭園の風景をふたりして散策して愉しむこと、いまの季節は新緑が鮮やかだろう。
 
 ここの風景を堪能したあとはもし時間が許せば、美術館庭園裏に隣接する(ここから西麻布!)A.レーモンド設計の旧カニングハム邸を見ていきたい。このあたりではすっかりめずらしくなった戦前の二階建て清楚な木造住宅のたたずまいを眺めてからのあとは、気の向くままに歩き回るだろう。近くの岡本太郎記念館(1954、設計:坂倉準三)は、この日の散歩同行者の希望もあり必ず行くことにして、その次は青山通りに戻って、表参道の脇から横町へぬけ、外苑西通り通称キラー通りをワタリウム美術館(1990、設計:マリオ・ポッタ)とすっかり町の風景になじんで風格の出てきた「塔の家」(1966、設計:東孝光)へいくか、青山霊園を横切って新国立美術館(2006、設計:黒川紀章)へ向かうか、思案のしどころ。たぶん、昼食をどこにするかで決まるかな。
 いずれにしても、散歩の締めくくりは青山通りから外苑前のイチョウ並木を通って、ランドマークでありながら実際に訪れる機会の少ない、聖徳記念絵画館前(1926=大正15年竣工)に行こうと思っている。ここの並木入口正面からのランドスケープは、ちょっと日本離れしていてスケールが大きい。視点の収束先に花崗岩で覆われた絵画館ドーム(最近重要文化財に指定された)が望める。いま2020年オリンピックに向けて建替案が議論を呼んでいる国立競技場は、その左手先になる。まもなく隣接した日本青年館も含めて取り壊しが始まってしまうそうだから、今回が見納めになるだろう。
 この機会に、あらためて予定される建築プランとスケールがこの地の景観面と歴史的文脈のなかで、周辺の未来にどのような影響をあたえるのか、一日現地をゆっくりと歩きながらの対話=ダイアローグのなかで、あれこれとりとめなく考えを巡らしてみよう。

≪今回の一枚≫
 
 自宅近くの公園の緑地斜面にひっそりと咲くホタルブクロ。いまの季節に相応しく、この花弁の中にホタルを入れてその光を楽しむのだそう。そのぼんやりとした灯りは雪洞みたいではかなくて美しいだろう。