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美しき偽善・・・青葉テイ子

2007年09月03日 | 川柳
              現代川柳『泥』二号

            日が落ちてゆくよいわれなき遺伝子

沈黙を守る輪切りの臓器たち
共鳴したらし猫語とふやけた思惟
なんの謀議小耳に刺さって離れない
                      猫の背中から匂うアンニュイな午後
                      マグマ噴くああ美しき偽善
         贖罪の花いちめんに黄砂舞う
         北酒場だれの影だろ落ちている
         架橋の真ん中で編む 人間魚雷

                     パレットのナイフで切り裂いたわが舌下
                     耳のうしろからドミノ倒しの炸裂音
                     ポケットに首吊る縄と 春宵
ほとばしるわが胎内の咆哮よ
酸っぱさを曳きずっている 蓑虫
凭れあうすすきと飢餓を語ろうか
              自我食いつぶしてゆく 愉快犯
              花よ散れこの世の無常ひと呑みに
              尾を振らぬ犬にもさくら真っ盛り

射抜くものあり夏の雷鳴のように
多弁な繭あがりさがりは赦されよ
棘ちくり血止めの策はないものか
                      おごれる蛍どこに消えたか春かすみ
                      静脈が浮き出てきたぞ別離以後
                      風は無言 傷つき果てた鳩も抱く

        流れ藻の無残と風は契り合う
                      指きりよ見事な欺りと多情仏心
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