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北海道現代川柳『泥』・・・細川不凍作品評

2007年09月21日 | 川柳
      一句へのこだわり・・青葉テイ子作品  

           羽交いじめしたいホタルは風の中
           疚しさは風と契ったあの日から

 一句目、苛虐性と自虐性の混淆する中、抑え難い情念の昴まりが読む者を圧倒する。荒々しさばかりが先行しそうなところを、「風」がワン・クッション与えている。二句目、定住観念のない風来坊が想起される。しかし、‘風と契る‘はすっかりパターン化してしまった語句ともいえる。「風」は表現上都合のいい言葉でイメージ的に色々と対応できる。その抽象性ゆえに、一句の命ともいえる句意や作者の存在感を希薄化させてしまうことがある。その典型的な句が、<無防備に笑った風のやわらかな>である。

           雪に繋がれ雪に裂かれた裸身抱く

 絶叫型川柳である。表現の烈しさの割りには琴線に触れてくるものがない。作者が力を込めれば込めるほど、読者は退いてしまう。抑制の効いた表現が希まれる。

           恋うたのは夢まぼろしか花まんじ
           姉いもうとほろほろ吐くは劣性遺伝

 一句目、材の揃え過ぎ、詰め込み過ぎである。言葉が上付いている分、掴みどころがなく、焦点をどこに合わせたらよいのか戸惑ってしまう。二句目も喋り過ぎてアクの強い「吐く」は不要である。‘劣性遺伝ほろほろほろと姉いもと‘で十分だ。作者の意気込みは分かるのだが・・・。

           まな板の窪みへ散らす死生観
           背負うた荷の重さにゆれている睫

 それぞれに持ち味のある秀句である。一句目、日常性に材を求めたときの作品に作者の真価を見る。思い切りよく気息に乗せた躍動感ある表現が見事である。二句目の日常性の中での発見と軽妙な表現も素晴らしい。
 
 
コメント
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