現代川柳『泥』第三号
キリストの頬幾条にも冬の滝
鉛筆の先で大きくなる羽音
ライトアップわが痩身は乱れ月
音のないけむりが西へ行きたがる
刃物研ぐ刃からたちまち風尖る
ワープロの空から降りて来る天使
湯豆腐とまた越冬の話する
静かな男がひとり 不発弾
人間ドックイエローーカード加速する
薄目開けるとガーゼのような十二月
波しぶき神の怒りの尾と思え
白内障兆候カラスが飛んでいる
四Bに日の出のような闘争心
体内の消えない石と縄のれん
ダイヤモンドダスト耳が処刑されている
くちびるを一輪月の滴にも
ファインティンポーズ誇示する枯木たち
生前葬の口上などを書き留める
不法投棄氾濫いくども眼を洗う
背もたれののっぺらぼうが寂びている
木の瘤のユーモア月が目を覚ます
気まぐれな鬼の悪戯きりとり線
ひとつかみの星納骨堂に降りて来る
生き死にのアドリブ泡と戯れる
眼鏡の奥に優しい海を横たえる
凹むのも人生また出る蜥蜴の尾
綴じ紐の癖過去ばかり向きたがる
日常をふっと抜けだす夢ひと夜
朝露は礼拝堂の少女の瞳
真夜中の皮膚一枚が乞う眠剤
キリストの頬幾条にも冬の滝
鉛筆の先で大きくなる羽音
ライトアップわが痩身は乱れ月
音のないけむりが西へ行きたがる
刃物研ぐ刃からたちまち風尖る
ワープロの空から降りて来る天使
湯豆腐とまた越冬の話する
静かな男がひとり 不発弾
人間ドックイエローーカード加速する
薄目開けるとガーゼのような十二月
波しぶき神の怒りの尾と思え
白内障兆候カラスが飛んでいる
四Bに日の出のような闘争心
体内の消えない石と縄のれん
ダイヤモンドダスト耳が処刑されている
くちびるを一輪月の滴にも
ファインティンポーズ誇示する枯木たち
生前葬の口上などを書き留める
不法投棄氾濫いくども眼を洗う
背もたれののっぺらぼうが寂びている
木の瘤のユーモア月が目を覚ます
気まぐれな鬼の悪戯きりとり線
ひとつかみの星納骨堂に降りて来る
生き死にのアドリブ泡と戯れる
眼鏡の奥に優しい海を横たえる
凹むのも人生また出る蜥蜴の尾
綴じ紐の癖過去ばかり向きたがる
日常をふっと抜けだす夢ひと夜
朝露は礼拝堂の少女の瞳
真夜中の皮膚一枚が乞う眠剤