川柳・ボートっていいね!北海道散歩

川柳・政治・時事・エッセイ

乱れ月・・・池さとし

2007年09月17日 | 川柳
             現代川柳『泥』第三号

キリストの頬幾条にも冬の滝
  鉛筆の先で大きくなる羽音
    ライトアップわが痩身は乱れ月
      音のないけむりが西へ行きたがる

         刃物研ぐ刃からたちまち風尖る
           ワープロの空から降りて来る天使
              湯豆腐とまた越冬の話する
                 静かな男がひとり 不発弾
                   人間ドックイエローーカード加速する

            薄目開けるとガーゼのような十二月

            波しぶき神の怒りの尾と思え
      白内障兆候カラスが飛んでいる
四Bに日の出のような闘争心
  体内の消えない石と縄のれん

    ダイヤモンドダスト耳が処刑されている
      くちびるを一輪月の滴にも
        ファインティンポーズ誇示する枯木たち
           生前葬の口上などを書き留める
             不法投棄氾濫いくども眼を洗う

                背もたれののっぺらぼうが寂びている
                      木の瘤のユーモア月が目を覚ます
                 気まぐれな鬼の悪戯きりとり線
            ひとつかみの星納骨堂に降りて来る
         生き死にのアドリブ泡と戯れる

     眼鏡の奥に優しい海を横たえる
 凹むのも人生また出る蜥蜴の尾
    綴じ紐の癖過去ばかり向きたがる
       日常をふっと抜けだす夢ひと夜

                   朝露は礼拝堂の少女の瞳

        真夜中の皮膚一枚が乞う眠剤


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ホタル・・・青葉テイ子

2007年09月17日 | 川柳
             現代川柳『泥』第三号

蛇口から零れるホタルてのひらに
羽交いじめしたいホタルは風のなか
裂けた傷口から無卿のホタル乱れとぶ

         あの日から夕日まみれの泣きボタル
         満身創痍ホタルと風の逃避行
         弾き語りホタルの声に溺れそう

                         ホタル身籠り死生観ひたひたと
                         因果応報一合の米しかと研ぐ
                         背負うた荷の重さにゆれている睫
貧者の一灯あれは鼓舞かも知れぬ
てのひらに月を沈めて弾む毬
柔らかな吐息黄金いろの未来
               無防備に笑った風のやわらかな
               未来見据えて哺乳壜ころがる
               雪に繋がれ雪に裂かれた裸身抱く

                        夕暮れてからから笑うわが土偶
                        雪炎えてあなたの声に縛られる
                        雪吊りの音ひっそりと炎を溜める
    まないたの窪みへ散らす死生観
    乱世を見据えたままの凍魚の目
    垂直にくるくちびるの淡き幻想

                恋うたのは夢まぼろしか花まんじ
                華になれシンフォ二ーの出だしのように
                鮭の首刎ねて禁猟区へなだれ込む

姉いもうとほろほろ吐くは劣性遺伝
蝙蝠になればことたるおんなです
                    可笑しさと淋しさ軽きわが右脳
                    シャワー全開ふわりふうわり背後霊

             波に揺られゆうらりゆらり 聖女
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