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空をみるのによいように・・・金子みすず

2008年03月29日 | 川柳

             お日さん、雨さん
                

              ほこりのついた
                芝草を
              雨さん洗って
              くれました。

              洗ってぬれた
                芝草を
              お日さんほして
               くれました。

              こうして私が
               ねころんで
              空をみるのに
               よいように。

まぼろしの名詩が50年ぶりに発掘されてから、昭和59年に第一版が刊行されました。(1903~30)

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からりころりと通りゃんせ・・・金子みすず

2008年03月29日 | 川柳

             金子みすず詩集より(1903~30)

             波 の 橋 立
                

            波の橋立よいところ、
        右はみずうみ、もぐっちょがもぐる、
            左ゃ外海、白帆が通る、
      なかの松原、小松原、さらりさらりと風が吹く。 

         海のかもめはみずうみの鴨とあそんで
               日をくらし、
               青い月出りゃ
            みずうみの、ぬしは海辺で
                貝ひろう。

             波の橋立、よいところ、
           右はみずうみ、ちょろろの波よ、
            ひだりゃ外海、どんどの波よ、
              なかの石原、小石原、
            からりころりと通りゃんせ。

               
童謡の詩です。海とみずうみを眼下に望み、その風情の対比を試みています。
「かもめ」がその海と、みずうみを行きかう「昼と夜」の生態さえも教えてくれているような気がします。「かもめは今でも、海が荒れると察すれば、水のあるところならどこでも退避します。」
「ちょろろの波」「どんどの波」で、みずうみはわずか「湖面を走る波」海「高波」だから、かもめがホームグランドを離れ、湖の「鴨」と遊んでいるのですね。「鴨」も、穏やかな海で遊ぶのですよ・・蛇足まで。

「もぐっちょがもぐる」「ちょろろ」「どんと」「からりころり」のリズム感と大きなイメージを連想させてくれます。

 「どんな絵描きさんでも、この風景を絵にすることは至難のわざでしょう・・」
      みすずさんのチャレンジの姿が眼裏に浮かんできそうです。

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