つれづれ写真ノート

   カメラと写真 そして世の中の色々なこと---

Lightroom 5 を使ってみた

2013年06月12日 | 写真テクニック

アドビが6月10日から、RAW現像・写真管理ソフトの最新版「Photoshop Lightroom 5」のダウンロード販売を開始しました。パッケージ版は6月21日から販売開始されます(写真はアップグレード版、フリー画像)。

Adobe Photoshop Lightroom 5.0 日本語版 アップグレード版 Windows/Macintosh版

 便利な新機能がいくつか追加されたので、体験版をダウンロードして試してみました。

使用した画像は、先日リコーGRで撮ったRAW画像です。

 

(1)高度な修復ブラシ

画像のゴミや不要なオブジェを消すツール。作品を仕上げる段階で、どうしても消したくなるものがありますよね。花や葉に止まっている小さな虫、空にかかる電線、吸い殻や紙くず、そしてたまたま写り込んだ通行人…

撮影するとき、こういうものは極力避けて撮っているわけですが、気づかずに撮ってしまった場合、それらを消すべきか、現実を偽らずそのままにしておくべきか、悩みます。

正直なところを言えば、目立つ場合には、あまり過度にならない範囲で修正していることが多いです。

もちろんプロの写真屋さんは、顧客の反応を考え、見栄えをよくするために修正するのが常でしょうが…

 

そういうモラルの問題は別として、どの程度自然に消せるのか、興味のあるところではあります。

Lightroom 5の修復ブラシでは、ブラシのサイズを変更でき、正確になぞることができます。不規則な形の不要物でもきれいに消し去れるというのがセールスポイント。

左下にポツンと写った人物が気になります。これを消してみましょう。

 

画像を部分拡大し、修復ブラシで人物をなぞります。

 

 すぐにコピーする背景の候補(右側)が示されます。

候補はいくらでも別の場所から持ってくることができるので、自然な感じになるように、候補の部分を動かします。

操作はこれだけ。とても簡単です。

 

人物が消えました。

拡大して細かくチェックすればアラは見えるのですが、この程度の大きさの画像だと全く分かりませんね。

ただ、問題はコピーして持ってくる背景があるかどうかです。この写真のように同じような部分があったり、草原のようにどこからコピーして持ってきても不自然にならない写真はいいのですが、そうでない場合はムリです。できる図柄とできない図柄があります。

基本的にはPhotoshopのスタンプツールと同じで、その簡略版と考えたほうがいいでしょう。時間的にはとてもスピーディーな処理なので、Lightroom 5でおおまかに修正したあと、Photoshopで丁寧に修正するという方法も考えられます。

 

(2)Uprightテクノロジー

傾いた画像をワンクリックで修正するツールです。画像から傾いた水平線と垂直線を検出して傾きを補正する、いわゆるレンズ補正ですが、Photoshopであれこれ試すより、実に簡単。

スナップで撮ったショーウインドー。この水平垂直をきちんとしてみます。

「レンズ補正」の「Upright」には次の5つのボタンが並んでいます。

・「オフ」 補正しない
・「自動」 自然な感じに水平垂直を補正
・「水平方向」 水平方向だけそろえる
・「垂直」 垂直方向だけそろえる
・「フル」 完全に水平垂直をそろえる

このなかで「自動」を選んだのが下の画像(「切り抜きを制限」にチェックを入れています)。

ほぼ水平垂直が出ていますが、わずかに上すぼまり。でも自然といえば自然です。

「フル」にすると、無理やり水平垂直にした感じで、画像の一部に人物が写っていたりすると人物の顔が歪みます。

日常の使用では、「自動」を選ぶのが一番いいように思います。

建築写真でアオリ効果をきっちり出したい場合には「フル」を選ぶのもいいでしょう。ものすごく整然とした印象になります。

 

(3)円形フィルター

画像のメインにしたい部分を強調するもの。メインの部分以外の周辺を暗く落としたり、白く飛ばしたり、色調を変えたりでき、「ビネット効果」と呼ばれます。メイン部分は画像の中心に限らず、どこでも選べます。

リコーGRで撮ったモノクロ写真。若い女性たちを変わった雰囲気で強調してみます。

 

円形フィルターを左下にかけ、周囲の露光量を落とします。

 

昔の一時期流行したような、強い焼き込みのモノクロ作品に。

 

控えめの彩度のカラーにしても面白いですね。

 

Lightroom 5の新機能としては、この他「スマートプレビュー」や「スライドショーのビデオサポート」もありますが、個人的に、あまり使う機会がなさそうなので試しませんでした。

 

ノイズ軽減

一方、新機能ではないのですが、リコーGR画像のノイズ軽減効果を試して見ました。

リコーGRはあまり高感度に強くないんですね。というより、あえてノイズをつぶさず、フイルムの粒状性のようにそのまま出している感じ。

そこで、他メーカーのカメラでやっているようなノイズ修正をかけてみたら… というのが試してみた理由です。

ISO感度3200の画像。これをアップにすると…

 

ピクセル100%画像。はっきりノイズが出ています。

これをLightroom 5 の「ノイズ軽減」で「輝度50」にしてみました。

「ノイズ軽減」後の画像。かなりノイズが消えて、結構いい感じになりましたね。

GRの高感度画像もきれいに処理できそうです。

 

価格とキャンペーン

現在、Lightroom 4 を持っており、アップブレードするには9,600 円かかります。

新機能とお金をはかりにかけて、思案中というところです。確かに「Upright」などはすごく楽な機能なのですが、もう少し安くしてくれないかな…

 

「Adobe Photoshop Lightroom 5 発売記念  ベストショットを撮ろう!キャンペーン」では、Photoshop Lightroom 5を買うと、抽選で撮影グッズが当たります。「10万円分商品券」が魅力ですね。

 

他にもLightroom がらみで「日本遺産 フォトコンテスト」もあります。こちらは賞金100万円!

腕に自慢の人は、応募してみてはどうでしょうか。


「オヤジ充実サイト」にニコンが参加

2013年05月29日 | 写真テクニック

「ひとりもいいね!オヤジの人生充実メディアJAGZY(ジャグジィ)」をキャッチフレーズにしたサイト「JAGZY」が5月23日にオープン。これにニコンが参加しています。

日経BP社が、複数企業と共同で運営するサイトで、対象は40代後半から60代前半の“アラフィフ・アラカン”(R50・R60) 男性。

従来の「シニア」や「熟年」という言葉には違和感を感じているこの世代の男性向けに人生充実のための情報を提供するとのこと。

「JAGZY(ジャグジィ)」の意味は、「J」日本の「A」遊んでいる「G」元気な「ZY」オヤジ、だそうです。
 
 

「フム、オレのことか」と思われるオジサンが、結構いるかもしれませんね。ユニークなサイトです。

 

ニコンの連載は、29日から始まりました。

『PCスクリーンで男を上げる  写真は“腕”より、まずは“気付き”だ------Nikon D5200で撮る異国情緒の横浜 前編』

プロの土屋明氏が指南役になって、横浜・みなとみらい地区を撮影。

簡単に真似できそうな撮影テクニックがちりばめられています。

見出しを集めてみると、

・発想の転換も、撮影技術のうちだ
・思い切って“切り取る”べし
・土地の感じを醸し出す、ローアングル
・“額縁”という絶妙な効果に驚く
・単にカメラの「縦」と「横」を変えるだけで…
・「ミニチュア効果」でジオラマ遊びに興じる

 

どれも参考になるのですが、なかでも「額縁効果」が参考になりましたね。

普通に撮っただけでは面白くない横浜マリンタワーも、木陰から見上げて撮影すると、周りの木が額縁のようになって、画面が締まる…

名付けて「額縁効果」。なるほど、なるほど…

ローアングルやジオラマも面白かったです。

Nikon デジタル一眼レフカメラ D5200 18-55 VR レンズキット ブラック D5200LKBK

 

まあ、ニコンD5200(写真、フリー画像)とニッコールレンズのコマーシャルでもあるのですが、2410万画素のカメラだけに、高精細な画像が並んでいます。

そのうち他のカメラも登場するでしょうし、センスのいい写真を撮るためのテクニックが学べそう。

 

横浜はこれまで2回撮影に行っているので、とくに興味がありました。

 


超美麗なNYの動画

2012年04月21日 | 写真テクニック

タイムラプス撮影

DDN JAPAN という、世界の音楽・映像情報を配信するサイトを見ていたら、きれいな動画がありました。

「Mindrelic - Manhattan in motion」という、ニューヨークの風景をタイムラプス=微速度撮影(DDN JAPANでは低速度撮影と表記)で撮った作品です。(同じものをユーチューブから貼り付け)

 

 

 大都会のすべてを凝縮したような映像。見とれてしまいます。音楽もいいですね。

実はこの作品、去年夏にvimeoという動画共有サイトに投稿されていたもの。

作者はMindrelicとなっていますが、おそらくハンドルネームのようなものではないかと思います。

Mindrelicのサイトには古代エジプトの目のマークが。Mind relicと区切ると「心の遺跡」とも読めます。

本名はニューヨーク州ロチェスターに住むJosh Owensという人らしいです。

普段、どんな仕事をされているのでしょうね。

 ◇やはり5D mark II

 vimeoのサイト(ユーチューブより画質・音がいい)には、撮影機材もきちんと紹介されています。

カメラはCanon 5D mark IIが1台、 Canon 7Dが2台。

キャノンのデジタル一眼レフでタイムラプス撮影をするために開発された"The little bramper" という装置を使っています。

また、映像を見ていると左右や上下にカメラが滑るように動く「パン」「チルト」というカメラワークを駆使しているのですが、これにはドリーという映画用の移動式カメラ台を使っているようです。

タイムラプス撮影では一定の間隔をおいてシャッターを切っていくので、ドリーもそれに合わせた非常にゆっくりした速度で動かす必要があります。そのために手動式ではなく、自動的にコントロールできる装置がついたもののようです。

ドリーというものの実物を見たことがないので、色々検索していると、Josh Owens氏の使ったのとは別物ですが、もっと簡単な手動式のドリーの映像がありました(ユーチューブより)。

 

 

なるほど…。こうやって撮影するとかっこいい映像になるんですね。これに5D mark II(あるいはmark Ⅲ)をのせればいいわけ。

でもJosh Owens氏のManhattan in motionのような映像を撮ろうとしたら、相当の情熱というか、心のパワーが要りますね。あとの映像編集も大変でしょうし(それが楽しいのかな)…

 


キャノンHPの作例

2012年03月05日 | 写真テクニック

キャノンの話の続きです。「キャノンCMOSセンサーの世界」というページを見ていたところ、興味深い写真の撮り方を知りました。

「屋外ポートレート撮影」というコーナーです(下の写真)。

屋外のポートレートで背景をぼかすため、低ISOに設定して絞りを開放にしたという状況。しかし、低ISOでは光の入ってくる量が多いため、危惧されるのは撮像素子の飽和であるとのこと。キャノンのCMOSセンサーは一つ一つの画素が十分な電荷蓄積容量を持つため、飽和しにくい…といった説明がされています。

 

撮影データはこうなっています。

 カメラ:EOS-1Ds Mark Ⅱ

 レンズ:EF50mm F1.4 USM

 シャッター速度:1/8000秒

 絞り:F1.4

 ISO感度:100

 ホワイトバランス:オート

 

シャッター速度が1/8000秒か…、ポートレートでこういう撮り方もあるんだ、と勉強になりました。

絞りとシャッタースピードの数値から、撮影場所の明るさはEV値で「14」であることがわかります。

比較的明るい屋外ですね。記念写真を平凡に撮るなら、絞りF8 、1/250秒といったところ。

もちろんこれでは背景はあまりボケてくれません。なので、絞りF5.6 、1/500秒といった中途半端な設定にしてみたり、離れて望遠で狙うとか、試行錯誤するのではないでしょうか(それにしても、この俯瞰する構図、脚立か高い場所が必要になりそう)。

スカッと1/8000秒で撮れるところがプロですね。もっともF1.4という大口径レンズを持っていることが大前提ですが。

このEF50mm F1.4 USM、今の最安価格で37000円程度。どうですか、1本…

 

次のページ「夜景・天体撮影」でもオヤと思うことが(下写真)。

「キヤノンはノイズの除去・抑制技術をセンサー内部に持たせることで、低ノイズ化を達成。」というPRはともかく、以下の撮影データをご覧ください。

 カメラ:EOS Kiss Digital N

 レンズ:EF17-40mm F4L USM

 シャッター速度:30秒

 絞り:F4

 ISO感度:800

 ホワイトバランス:白熱電球

 

気になったのは露出のデータではなく、EOS Kiss Digital Nというカメラ。

入門機、キスデジですよ。それも初期のころのモデル。

キスデジも、キャノンとしては宣伝する必要があるのだから、という考え方もあるでしょうが、それならなぜ最新のKiss X5でなく、一昔前のKiss Digital Nなのか。

私も持っていますので(下写真)、何かうれしくなる反面、わけがわからなくて、あれこれ考えてしまいました。

Kiss Digital NはAPS-C サイズ、800万画素のカメラ。

最新のKiss X5はAPS-C サイズ、1800万画素ですから、半分以下の画素でしかない。それをPRのページに使うとは…

それとも、Kiss Digital Nは、案外、高感度に強く、ノイズが少ないのか…

そうかもしれない。同じ撮像素子のサイズで画素が少ないということは感度やノイズの面で長所でもあるはずです。

ふと思い当ることがありました。Kiss Digital NからKiss X4(Kiss X5と同じ1800万画素)に乗り換えたばかりのある日、京都の寺の紅葉を撮りに行きました。

かなり暗い境内で、三脚禁止。やむを得ずISO感度1600で撮りましたが、パソコン画面で見てみるとザラザラ。解像度は上がっているのに、画質はKiss Digital Nのほうが良かったのではないか、と感じました。

Kiss Digital Nが出たころ、読売新聞(大阪本社)がこのカメラで撮った写真を載せたことがあります。

小型軽量さを生かし、気球にぶら下げて上空から景色を撮るという面白い企画。

大きい写真でしたが、十分紙面に耐える画質でした。

 

いいカメラだったのかな…と今はあまり使わなくなったのを引っ張り出し、シャッターを切ったりしています。 こういうと、ちょっと自慢が過ぎますか…