シグマ「dp 0 Quattro」試し撮りの続きです。
◆屋内の実写例
新製品体感イベント会場が設けられた大阪・梅田、ブリーゼタワー(BREEZE BREEZE(ブリーゼブリーゼ)」の中で撮ってみました。
ほんとは写真撮影はいけないんだそうです。ただ、おしゃれな店ばかりなので、つい…
絞りF4、1/125秒、ISO 200、露出補正:+0.6、ホワイトバランス:オート、カラーモード:ビビッド。
絞りF4、1/60秒、ISO 100、露出補正:+0.5、ホワイトバランス:オート(色残し)、カラーモード:ビビッド。
絞りF8、1/8秒、ISO 100、露出補正:+0.2、ホワイトバランス:オート(色残し)、カラーモード:ビビッド。
PHOTO YODOBASHI の実写インプレッションによると、Foveonセンサーの発色で特徴的なのは「赤の表現」だとか。
確かに上のショップ、ショーウインドウの赤色が美しいですね。
絞りF4、1/125秒、ISO 100、露出補正:+0.7、ホワイトバランス:オート(色残し)、カラーモード:ビビッド。
ミックス光源下での服のホワイトバランスは難しいです。SIGMA Photo Pro 6.3 で色々調整した結果、上記の設定にしましたが、これが妥当な色かどうか自信がありません。
*ホワイトバランスの「オート(色残し)」というのは、光源の色味を残し、その場の雰囲気を残したホワイトバランスを設定するもので、dp Quattroシリーズのみに適用される機能です。
上の写真の等倍画像。
ニットの服、ショルダーバッグのベルトの質感など、ここまで解像するとは驚異です。
絞りF4、1/30秒、ISO 100、露出補正:-0.7、ホワイトバランス:オート(色残し)、カラーモード:スタンダード。
ハイライトも暗部も諧調が豊かで、上質の雰囲気。
◆SIGMA Photo Pro 6.3
今回、シグマのRAW現像ソフト、SIGMA Photo Pro 6.3 を初めて使いました。細かな画像調整ができる良いソフトです。
画像データが大きいため、調整が反映されるまで数秒~十数秒かかることがありましたが、エラーなどはありませんでした。
SIGMA Photo Pro 6.3 の画面(画像補正のため、レビューウインドウを開いたところ。寸法が大きいので、モニタの表示によっては、はみ出すかもしれません)。
明暗、彩度、シャープネス、ホワイトバランス、カラーモードなどを設定できます。設定した結果がその通り画面に反映されるので直観的な操作が可能。使い方を知らなくても、すぐできるようになります。
面白いと思ったのは倍率色収差の補正。
「dp 0 Quattro」は、倍率色収差が“極小”に抑えられているというカメラですが、全く無いわけではなく、画面の隅で輝度差が大きい場合、倍率色収差が出ることもあります。
これを「倍率色収差補正パレット」で補正してみました。
上の写真の左下隅を等倍に拡大してみます。
建物の白い壁と、植え込みとの境界に赤い線が出ていますね。これが倍率色収差による偽色(フリンジ)。
倍率色収差を補正するパレットで、「レンズプロファイル」にチェックを入れます。レンズデータをもとにした補正です。(キヤノンDigital Photo Professional の「デジタルレンズオプティマイザ」のような機能かも)
補正前 補正後
偽色がほぼ消えて(右の写真)、すっきりしました。
この補正による解像感の低下はないように見えます。
この操作だけで普通は十分だと思いますが、それでもまだ偽色が気になる場合は、「フリンジ除去パレット」を使います。(今回は使っていません)
発生しているフリンジが緑か赤か、に合わせてチェックを入れ適用量を調整します。
下のスポイトを使うと、劇的にフリンジが消えますが、同時に画面全体の色味も変わってしまう場合があるらしいので注意が必要です。
◆dp 0 Quattroは「買い」か?
LCDビューファインダーをつけたdp 0 Quattro。
外観が実に変わったカメラで、「こんなものを買う人がいるのか」と思っていましたが、使ってみると面白い。
ただ、使い勝手については、色々改良してほしいところがあります。
まず、液晶(3型、約92万ドット)が今一つ。ソニーRX100の液晶(3型、約123万ドット)に比べて、かなり視認性が見劣りします。
Foveon センサー で高精細な画像が撮れているのに、それをまともに確認できない、というこの落差。
だからLCDビューファインダーが“不可欠”になるわけで、ソニー並みの液晶が付けられれば、こんなでっかい付属品は不要になるはず。
ボディーの形状も改良の余地がありそう。
奇抜なデザインは、センサーから発熱部を離す、大きなバッテリーを使う(それでも撮影可能枚数200枚は少ない)、という内部メカ的な必要性から生まれたもので、ユーザーフレンドリーなものではないように思います。
モードダイヤルがなく、モードボタンや「QS」ボタンから設定しなければならないというのも、やや不便。
AF測距点も9 点と少ないし… などなど、言いたいことはいろいろあるのですが、それにもかかわらず、「欲しいな」という気を起こさせるのは何なんでしょうね。
センサーサイズそのものはAPS-Cサイズ相当で、有効画素数2,900万画素。その画質はフルサイズ機を超えています。
実はdp 0 Quattro を試写したのと同じ場所で、フルサイズのキヤノンEOS 6D (2,020万画素)でも撮影、比較してみました。解像感に関する限り、シャープネスをかけない状態ではEOS 6D の完敗。EOS 6D にシャープネスを中程度にかけ、「デジタルレンズオプティマイザ」で収差を補正してようやく同等になる感じ。(画角が違うので比較画像の掲載は見合わせました)
dp 0 Quattro の「中判カメラの画質」(シグマ)は、うたい文句通りでした。
超広角、高画質なので、切り取り方(トリミング)しだいでズームしたのと同じになる便利さもあります。
超広角なのに歪曲(ディスト―ション)がないのも素晴らしい。撮っていて気持ちが良いです。
それと、このデータ量が大きく扱いにくかったFoveon センサー を、何とか普通のデジタルカメラ並みに使いやすくしようとしてきたシグマの熱意です。
体感セミナーで山木社長のプレゼンテーションを聞いて、少しだけですがシグマファンになりました。
値段もそう高価なカメラではないし(7/25、価格.com で最安 96,369 円)、資金に余裕のある人は、買ってカメラの楽しみ方を広げるのもいいのでは…
(購入はLCDビューファインダー付きキットがお得です。7/25、価格.com で最安107,470円)
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