つれづれ写真ノート

   カメラと写真 そして世の中の色々なこと---

愛染まつり 今年は寂しく

2018年06月28日 | モラル

大阪に本格的な夏の訪れを告げる風物詩「愛染まつり」が6月30日から始まります。

大阪市天王寺区、勝鬘院 愛染堂の夏祭りで、天神祭、住吉祭と合わせて大阪三大夏祭りの一つ。

 

しかし、今年は祭りの内容が大幅に縮小され、露店(縁日屋台)ナシ、初日の愛染娘の宝恵駕籠パレードもナシ。

そもそも愛染娘の募集自体行われておらず、夕方から境内で開かれていた演芸大会もありません。

愛染堂のページによると、例年通り行われるのは以下の行事だけ。

・秘仏本尊(愛染明王・大日大勝金剛尊)のご開帳
・初日の四天王寺による法要「夏越の大祓え大法要」
・大阪真言青年会による「愛染まつり護摩法要」
・摂州地車囃子かずらによる祭囃子の奉納
・境内での宝恵駕籠の常時ディスプレイ(写メ スポット)

 

大阪日日新聞には『愛染まつり原点回帰』(6/26)とあります。法要などお寺の宗教行事がメインになり、夏祭りのにぎわいはすっかり影をひそめた感じ。

 

2017年の愛染娘の宝恵駕籠パレード。今年は見られない(撮れない!)のが残念。


昨年までは、JR天王寺駅近くの「あべのキューズモール」で出発イベントの後、愛染娘の宝恵駕籠パレードが谷町筋を北上。愛染堂に着くと、境内で愛染娘を一人ずつ乗せてかご上げ、という華やかな風景がありました。

 

近隣トラブルが祭り縮小の原因

愛染まつりが大幅縮小されたのは、ここ数年の近隣トラブルが原因。露店が並ぶ谷町筋にごみが散乱、一部の若者が深夜まで騒いだり、暴走族が集まるのが常態化したためだそうです。

宝恵駕籠パレードなど昼間の行事を見た限りでは、良い感じの祭りの風景で、特に問題はなさそうでしたが、夜間がひどかったようです。ネットで関連記事を探すと「ヤンキ―ばかりで怖い」という書き込みもありました。

以下は、産経WESTの記事(5/8)から引用。

『「怖いイメージの祭りになってしまった」。愛染祭を主催する愛染堂勝鬘院の山岡武明住職はこう嘆く。
 愛染祭は、同院境内や大阪市天王寺区の主要道・谷町筋沿いが会場。周辺には民家も多く、最近はマンションも増えている。山岡住職によると、地元住民からの苦情がここ5年ほどで急増。「マンションに立ち小便をされた」「散乱するごみをどうにかしてほしい」など、祭りに訪れた一部の若者らへの苦情が警察や寺側に多数寄せられるようになったという。
 終電がなくなる深夜まで若者らが最寄り駅や歩道にたむろ。参拝客らに見せつけるように、谷町筋に暴走族が集まるのも恒例になってしまっていた。
 過去には花火を行う集団や、道路でキャッチボールをする人まで。祭りの実行委員会メンバーの男性は「昔と違い、愛染祭の雰囲気がおかしくなっている。暴れている若者たちは境内すら訪れず、周囲で騒いでいるだけの人も多い」と憤る。』

こういうひどい状態では、祭りを続けられないと、住職さんら関係者は深刻に悩まれたと想像されます。

このさい、思い切って祭りを原点に戻そうと、大幅縮小という決断に至ったのは、やむを得ないかも。

 

ただ、ゴミ問題や若者がたむろする誘因になる露店をなくすのは理解できるとして、愛染娘の宝恵駕籠パレードまでなくしてしまうのは、どうなんでしょうか…

近隣トラブルと、あまり関係がないのでは。

愛染まつりを無形民俗文化財として指定した大阪市の紹介文には、

『大阪市中の新地の芸者衆が駕籠を仕立てて行列し参拝する風習である宝恵駕籠(ほえかご)行列は、文献史料的には十日戎よりも先行する。』

と、歴史的価値を認めていることですし…

 

まあ、愛染娘の写真を撮りたいという、個人的な都合からそう思うのかもしれませんけどね。

 

大阪三大夏祭りのもうひとつ「天神祭」も苦境。府や市の補助金削減、協賛企業の撤退、警備費増大などで累積赤字が膨らみ、船渡御の規模を縮小する一方、クラウドファンディングでサポーターを募集中

伝統の祭りを続けていくのは、なかなか大変なようです。


夜のエッフェル塔撮影 許可必要?

2014年11月16日 | モラル

11月も中旬を過ぎると、街はイルミネーション華やかな季節になりました。

そろそろ夜景を撮りに行こうかと思っていた矢先、こんな話がネットに出ていて、一時考え込んでしまいました。

 

エッフェル塔の夜の写真を撮影・シェアするのは違法のようです(昼はいいよ!)』(GIZMODOジャパン)

それはナイんじゃないの? と思って読んでみると、

『建物そのものは公共のものですが、それを彩るイルミネーションは、ライティングを生み出したアーティストの作品だというのです。そしてその作品を再現するためには、アーティストの許可がいります。』

『ただの一説ではなく、公式ウェブサイトには、エッフェル塔画像の商業利用は事前にSociété d'Exploitation de la Tour Eiffel(エッフェル塔管理事務所)へ許可を得る必要があるとの記載があります。』

とのこと。


そうだったのか! 

そこでさらに詳しく原文を読むうち、深入りする羽目に…

 

欧州は国によって撮影に制限

以下はGIZMODOの原文

『Sharing Night-Time Photos Of The Eiffel Tower Is Illegal(夜のエッフェル塔の写真をシェアするのは違法)』という見出し。

本文は、GIZMODO日本版とほぼ同じことが書かれています。

『楽しいが気の滅入る土曜日の午後(これって慣用句?)のような事実がある : 夜のエッフェル塔の写真を撮ってシェアすると著作権侵害になり、多額の罰金を科される恐れがある(もちろん、一般の人が自分撮りすることまで禁止されているわけではない)。』

『Torrent Freak の説明によればこうだ。建物自体はパブリックドメイン(公有--知的財産権がない状態)であるとしても、夜に建物を照らす光のショーはアート作品。したがって、それをreproducing(再生--たとえば写真を撮影)することはアーティストの許可が必要になる。それは、劇場のショーを撮影できないのと同じことだが、少し極端すぎる話でもある。』

 

引用元としてTorrent Freak というサイトの関連ページがリンクされていました。

Torrent Freak は、ファイルシェアリングについての著作権、プライバシー問題に詳しいサイトのようです。

しかし、このサイトもEU Observerというサイトをもとに書いています。

 

そこでEU Observer の該当するページへ飛ぶと、EUにおける複雑な著作権事情が書かれていました。

以下、おぼつかない英語力での拙訳です。

『---ベルギー、フランスの著作権法は欧州議会ビルの写真を禁止(By Nikolaj Nielsen 2014.11.04)---
あいまいなEUの著作権ルールの条項が意味するところによると、アトミウムのようなベルギーの公共建築物やフランスの夜のエッフェル塔の写真を出版する場合、だれでも権利所有者の事前の許可を得なければできない。
 このオプションルールがブリュッセルとストラスブールにある欧州議会ビルにも拡張される。』

 

フーン… 欧州議会ビルはいいとして、やっぱり夜のエッフェル塔の写真は面倒なんだ。

(一緒に併記されているアトミウムというのは、1958年のブリュッセル万国博覧会のために建設された、鉄の結晶構造をあらわすモニュメント。ベルギーの著作権団体が世界中に知的財産権を強く主張しているため、多くのサイトで黒塗り画像になったりしています。ウィキぺディアも、オーストリアにあるミニチュア写真で代替。アトミウムの写真を断りなく撮ってFacebookに載せると著作権の侵害になるとのこと。)

 

EU Observer をさらに読んでみると、

『EUの2001情報社会指令(著作権に関する規定)には、公共の場所にある建築物は無料で自由に写真を撮れる、という条項が含まれている。---(中略)---しかしこの条項はオプション。フランス、ベルギー、イタリアはこれを国内法化しないことを決めた。』

のだそうです。

EUは、通貨は別にして、それぞれ違う事情があるらしく、ややこしいですね。

EU Observer は、

『ルールは国によって異なる。
 たとえばブルガリア、ルーマニア、スロベニアでは、販売さえしなければ公共建築物を撮っても大丈夫だ。
 英国やオランダ、ドイツではだれでも、どのような目的でもリスクなく公共建築物の写真を撮ることができる。』

と書いています。

 

これ以上、特に興味のある方はEU Observer をお読みください。私としてはもう十分なので、訳すのはここまでにしました。また、著作権の専門家ではないので、誤訳があるかも知れませんし、理解不足があるかもしれません。ご了解願います。

 

The Eiffeltower in the blue hour, seen from the jardins du Trocadero

 The Eiffeltower in the blue hour, seen from the jardins du Trocadero (Ron.Jansen)

何とbeautiful! 

こういう写真を撮ってシェアするには事前の許可が必要だそうですが… 

flickr に掲載されている、おびただしいエッフェル塔の夜景写真がすべて許可を得たものかどうか。

(この写真がどうかということではなく)一般論としては、はなはだ疑問が残るところではあります。

 

日本では…

では、東京スカイツリーやビルの壁面などを彩る、日本の夜のイルミネーションはどうなのか。

 

文化庁の著作権に関するページによると、

公開の美術の著作物等の利用(著作権法 第46条)で、「屋外に設置された美術の著作物又は建築の著作物は,方法を問わず利用できる(若干の例外あり)」とあります。

「若干の例外」(してはならないこと)は、

(1)彫刻を彫刻として増製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(2)建築の著作物を建築として複製し,又はそれを公衆に譲渡すること。
(3)屋外に恒常的に設置するために複製すること。
(4)もっぱら販売目的で美術の著作物を複製し,又はそれを販売すること。

 

この4つに抵触しなければ、建物、舗道の彫刻などの写真を撮ってネットで公開するのはOKというわけ。イルミネーションも光の美術であり、これに含まれると思われます(そうでないとすると、ちょっと面倒なことになります)。

「屋外に設置された美術の著作物」が、ショーウインドウの場合は、屋外か屋内かの区別が微妙で見解が分かれるようです。

 

次のサイトも参考にしました。

著作権法相談コンサルティング

著作権法ガイド(無料引用のルール)

Moving Design Office

著作権で稼ぐ

 

「日本では大丈夫」ということで、自分なりに納得できたので、さっそく夜景を撮りに出かけました。(我ながら、理屈っぽい…)

その写真は次回に。

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11/17追記

ウィキペディアに『エッフェル塔自体の著作権は、既にパブリックドメインに属しているが、2003年に施されたライトアップ装飾によって「エッフェル塔に新たな創作性が付与された」と解釈され、2005年2月2日に改めてパリ市が著作権を取得した。このためライトアップされた夜景の映像を許諾無しに公表すると著作権侵害となってしまう。日本ではこのような規制はない。』という記述がありました。

 


桜を切ったのは誰?

2013年02月24日 | モラル

長野県・しなの鉄道の沿線に植えられた桜4本が何者かに切られていたことをきっかけに、しなの鉄道のTwitter(非公式)が“炎上”する騒ぎになっていました。

地元のテレビ局でも報道されたようです。事実関係だけを引用させてもらうと…

『御代田町のしなの鉄道御代田・信濃追分駅間の線路沿いの桜4本が切られているのが22日までに見つかった。(中略)太い枝はチェーンソーなどで切られたとみられる。桜は同鉄道が約8年前に植えた。(2/22  テレビ信州)』

 

以下は、しなの鉄道のTwitter(キャプチャー画像)。

しなの鉄道のTwitterは、鉄道写真ファンが写真を撮るのに邪魔な桜を切ったと、強く批判する内容になっています。

これに対して、しなの鉄道に同調する声があった一方で、鉄道ファンと見られる側からは「どこに鉄道ファンがやったという証拠があるのですか?」と怒りの声が殺到。Twitterは炎上状態になってしまいました。

 

鉄道会社としては、鉄道ファンを大事にしないといけないし、弱いところですよね。

4月29日には、長年活躍した169系電車の引退イベントも予定されていました。

 

結局、しなの鉄道Twitterが謝罪する結果になりました。

 

誰が桜の木を切ったのか分かりませんが、剪定(せんてい)にしろ、花が咲く前にこんな切り方をするはずがありません。

俗に「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と言います。桜の枝は、はさみを入れず伸びるに任せた方が花が美しい。また、桜は剪定に弱く、切ったところから腐りやすいのです。反対に、梅の枝は剪定したほうが枝ぶりが良くなるうえ、余計な枝を切らないとうまく花が咲かなくなるという話です。

というわけで、こんな切られ方をした桜はかわいそうですね。

 

さて、ネットにはこの現場を走る電車(引退間近の169系電車)の写真がアップされていました(クリックで拡大します)。

雪の浅間山を背景に走るローカル電車。絶好の撮影ポイントのようです。一応、詩情のある写真になっています。

ところが線路の手前には、なんと切られた4本の桜のうち3本が見えます。

 

どうなんでしょう。

桜が誰かに切られた後、偶然ここに来た無関係な人が写したのでしょうか?

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追記

しなの鉄道の「会いたかった!169系」のページでは撮影ポイントを紹介、一般からの投稿写真を載せています。

その中には、桜の咲くころの現場付近の写真や、桜が切られた後の写真が載っていました。

ウ~ン こんなに大勢、このポイントを訪れる鉄道写真ファンがいるとは。

こうなると、桜を切った人と、切られた後の写真を撮った人が同じであるとは必ずしもいえないですね…
 


改正著作権法の疑問点

2012年06月22日 | モラル

違法配信と知りながらインターネットのサイトから音楽や動画をダウンロードした場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科す改正著作権法が20日、参院本会議で可決、成立しました。

親告罪で、施行は10月1日。

違法アップロードはすでに刑事罰が科されることになっています。それをダウンロードするのも違法は違法でしたが、刑事罰がなかった。

今回、違法配信と知ってダウンロードする行為にも刑事罰が付きました。

ほかにもリッピングなどの規制ができましたが、それはそれとして、「YouTubeをみても違法ダウンロードになる可能性がある」というのでちょっと驚いているところです。

 

YouTubeで処罰も

ITmedia ニュース の『違法ダウンロードに刑事罰・著作権法改正で何が変わるか 壇弁護士に聞く』という記事。

「Winny裁判」で開発者側の弁護人を勤めた壇俊光弁護士(北尻総合法律事務所)へのインタビューです。

一部を引用させてもらうと、

『――YouTubeやニコニコ動画では、動画を一時ファイルとして保存しながら再生する「プログレッシブダウンロード」という方式が採られています。これは問題ないのでしょうか。

壇弁護士  現時点では手元に確定した改正条文がないので断言できませんが、「ダウンロード違法化」の段階であれば手段に制限はなかったので、そのままであればYouTubeなどのプログレッシブダウンロードも規制対象になると思われます。

  • (編集部注  著作権法では、違法にアップロードされたファイルをPCなどに複製して保存する行為を違法ダウンロードとして禁じている。文化庁はYouTubeなどでの再生時キャッシュは著作権法上の複製に当たらず、違法動画を再生しても問題ないという見解を示しているが、条文の読み方によって解釈が変わるため「文化庁のそのような解釈は刑事実務では通用しない」という指摘もある。)

――YouTubeやニコニコ動画で作者が「ダウンロードOK」としたものなら、ダウンロードしても問題ないのですか。

壇弁護士  いいえ。作者が著作権処理をちゃんと行っているとは限らないので、「ダウンロードOK」と書いていた場合であっても、例えばこの作者の動画が他人の著作物を違法に使用しており、ダウンロードする人がそれが違法であることを認識していれば、処罰の対象となります。』

 

確かに、YouTubeを見ていると「これは違法アップロードかも」と推測されるようなものは結構多い。でもはっきり違法という確証をとれませんよね。その辺の線引きはどうなるのでしょう。

この記事でも、

『壇弁護士は、改正法が「警察によって恣意的に運用される可能性が高い」と指摘する。「いちいち警察が立件することは手間的に難しいので、警察が“けしからん”と判断した場合にだけ立件することになる。…(中略)…」という。』

としています。かなりあいまいなところがあるようです。親告罪でもあり、また量的にも、すべての違法ダウンロードを摘発できるはずもない…

と、考えると実際に法律の効果があるのかも疑問になってきます。

しかし、たとえば「イベントの映像が違法にYouTubeにアップされている!」と、音楽芸能関係者が強硬に訴え、警察が捜査に乗り出した場合、アップした人を逮捕した上、さらにダウンロードした人の情報をネット管理者から提出させ、一人ずつ摘発していくことも可能といえば可能。

「おまえはYouTubeを見ただろう!」と、警官が普通の家庭に上がりこんできたりして… 

近未来小説のような超管理社会を思わせますね。まあ、そんな無茶なことにはならないでしょうが。

 

ネット時代に対応できていない

同じITmedia ニュース で、『「著作権は混迷」「ダメと言ってもネットは止まらない」──東大中山教授』という記事もあります。

『「著作権制度が想定していない状況に直面し、右往左往している」――東京大学の中山信弘教授が2月29日、「著作権リフォーム」をテーマにしたデジタルコンテンツ協会のシンポジウムで講演した。一般ユーザーが創作し、ネットで著作物を発表する現代に、プロを前提にした著作権制度が対応できなくなっていると指摘。著作物の流通を円滑化するための改革の必要性や、著作物を独占せず、広く共有しようという「コモンズ」の考え方などを紹介した。』

と書かれています。

 

このほかで面白かったは、YouTubeに出ているニコ生アゴラ 「著作権法改正は誰のため?」~「違法ダウンロード」 という動画。長いですが、今回の著作権法改正のウラ話が出ていて参考になります。

私はといえば、どちらかというと著作者よりネット利用者の立場に近いですね。

ネットは基本的に自由であるべきだと思います。できるだけ規制されない方がいい。一方で、問題があるなら、それは改めるべきだとは思いますが、その場合なんでも規制して管理しようというのではなくて、柔軟な考え方に立って落ち着きどころを探していくべきでしょう。

 

「写り込み」はOKに

今回の改正では、写真や映像などに他人の著作物が写り込んでしまった場合でも著作権侵害にならないとする規定が整備されました。

たとえば映画のポスターや何かのキャラクターグッズが写り込んでしまった写真をブログやHPで公開しても、著作権侵害にはあたらないことになるわけです。

これはしごく当然のことで、いまさらとは思いながら、前向きの改正として評価したいと思います。

ほかにも著作権侵害にならない場合の規定が色々盛り込まれています。もともと、こちらが法改正の狙いで、リッピングとか違法ダウンロードの刑事罰などは、あとから関係業界のプッシュで付け加えられたようです。また、さほど論議も呼ばないままスルリと成立してしまうところに妙な感じを抱かされます。

それから、法律の条文が難解な悪文。これは何とかしてほしいですね。

 


食べ物の撮影はダメ?

2012年06月05日 | モラル

「日刊SPA!」というサイトに、「食べ物の勝手な撮影は是か非か? 飲食店のホンネ」という記事が出ていて、ちょっと考えてしまいました。

最初、引っかかったのは「勝手な撮影」という言葉。

普段何の気なしに旅先で料理の写真を撮っていた私としては「え、それって勝手にやってはいけないこと?」と意外に思って読み始めました。

 

←旅先では、自分が食べた料理の写真を撮ってきました(写真は京都・北野天満宮前の湯豆腐店で)。問題があったのかなァ…

 

記事によると、デジカメ、携帯電話、スマートフォンの普及、そしてTwitterやFacebook人気で、食事を写真に撮ってアップする人が急増している、というのですが、それに顔をしかめる人もいるという。

(なるほど、そうかも。ラーメンが出てきたら「カシャ」。パスタが出てきたら「カシャ」。おいしそうなスイーツも「カシャ」。そしてメールに添付して「おいしかったよ~♪」。よくやってますね。)

飲食店側の意見として「否定派」「肯定派」に分けて書かれていました。

「否定派」の理由としては、

  • 「カシャ」という音が不愉快
  • 「カシャ」という音がほかのお客に迷惑
  • 取材は断っているのに、食べログやブログ、Twitterなどに載ってしまう
  • Twitterで「まだレバ刺し、ユッケが食べられる店」と書かれてお客が増え、説明に困った
  • てんぷらを挙げているところまで撮る。油がはねて火傷でもされたらたまらない
  • もっと落ち着いて味わってほしい
  • 団体客が一斉に携帯で撮るところを見てギョッとした
  • トイレの中まで写真撮られてたりする
  • 撮られた写真を(ブログなどで)見ると、美味そうでない。こういうものを出す店だと思われる

撮影が問題なのか、ブログやTwitterに載ること自体が問題なのか、ごっちゃになっているような気がしますが、ともかく置いておきましょう。

一方「肯定派」は、

  • 料理を出した以上は、どうされようとお客の自由
  • ネットで評判になって来てもらえることもあってうれしい。撮影は大歓迎
  • 写真を見ると食べたくなるもの。口コミよりも写真が集客に繋がりやすい。

とあって、どちらかというと否定派の意見を多く載せているような気がしたのですが、さあ、どうなんでしょうね。

 

撮ること自体は自由では

対価を払って(前払い、後払いは別にして)注文した料理について、しばらく眺めようが、何から食べようが、それを写真に撮ろうが、基本的に自由だと思います。

せっかくの自由で楽しい時間、好きなように過ごしたいですよね。

料理に著作権でもあって、それを撮ってネットに載せるのが悪いでしょうか? 料理には著作権はないとされています。

だから、基本的には「肯定派」の店のいうように「料理を出された以上は、どうしようとお客の自由」なのではないでしょうか。

 

店のルール

ただ、何をしてもいいかというと、店の中ではルールに従わなければならないのも事実。店側では、雰囲気や他のお客への配慮、その他色々な理由でルールを設けています。

「いちげんさんお断り」という京都の老舗のやり方が気に食わないと思っても、それはしようのないこと。そもそも、禁煙・喫煙のやり方、料金の払い方、座る席などは店が決めていることで、それに一応納得して店に入り、料理を食べているわけです。

「撮影お断り」とどこかに書かれているなら、あるいは書かれていなくても「撮影はご遠慮願います」と言われれば、写真はあきらめるべきです。これは撮る自由とは別の問題。店としての管理の問題です。

 

マナーの問題

さらに食事にもマナーというものがありますよね。レストランで「ナイフやフォークの音をカチャ、カチャ立てない」といったようなこと。

ほかの客が不愉快にならないようにすべきでしょう。とくに静けさも売り物にしているような店では音が気になるのは確か。

音のしないカメラなら良いかというと…難しい。確かにスマホのシャッター音を消したり、レンズシャッターのカメラを使うなら、あまり周囲の迷惑にならないでしょうが、撮影という動作そのものが雰囲気を乱して落ち着かないという客もいるかもしれません。

どんな雰囲気の店か、ということと、迷惑の程度の問題。こういう話は幅があることで、一律に決めつけるわけにもいかないと思います。

 

先のタイトルの「勝手に…」に戻りますが、ほかの客に「撮ってもいいですか」と了解を得るのもおかしな話でしょう。自分の食事なのですから。ほかの客にすれば、自分が撮られると誤解するか、「えっ? どうぞご勝手に…」と言うだけでしょう。

つまり「勝手に」を問題にするのはおかしなことで、基本的に「勝手に」するようなたぐいのこと。同時に、写すか写さないかは、自分で良識を持って判断することだと思います。

 

飲食店というのは、美術館のように「撮影、いいですか」と聞くのが慣例になっているような場所とも思えません。周囲にある程度配慮しつつ撮影、店の人から「撮影はご遠慮願います」と言われれば、「あ、この店はそうなの」と言ってやめればいいのでは、というのが私の結論です。

 

 


新聞に修正写真掲載

2012年05月31日 | モラル

私見・写真の修正について  (2)

30日付の毎日新聞北海道版朝刊1面に、修整したシバザクラの写真が誤って載ってしまい、31日付でお詫び記事が載ったとのこと。各メディアに出ています。

そのいきさつは、

『写真は、北海道報道部のカメラマンが撮影。自分の影が写っていたため、個人的な興味からソフトで一部を複製して貼り付け、影を消して保存。その後、出稿した4枚の中に紛れ込み、紙面に使用された。花を増やす意図はなかったという。(読売新聞)』

とのこと。どうして分かったのかなと思って調べて見ると、

『(写真の)手前に輪郭のようなものが複数確認できる。読者から指摘があり、判明した。(共同)』

というわけ。

 

悪意の修正なら、輪郭を残すような下手なことはしないでしょうから、誤って載ってしまったという新聞社の説明を信用してもよさそうですが、しかし、いけませんねエ。写真の管理や編集作業もズサン。

事件事故でなく、ただの花の写真だといっても報道は報道。

報道写真で修正が許されるのは、極端でない色調・コントラストの補正や、トリミングまでではないでしょうか。そこに存在するものを消したり、無いものを付け加えたりは、事実を誤認させることにつながります。(昔の新聞社では大なり小なりやっていたことですが… 今は厳しくあるべき)

「個人的な興味」でちょっとソフトをいじって修正してみる。そういう気持ちが起こるところから、社内のモラルが崩れていき、やがてほかの面でも読者の信頼を失うようなことに至るのでは、と感じます。

 

ちなみに問題の写真は、北海道大空町の公園らしいです。大空町のホームページを見ると、とてもきれいな写真が載っています。

修正など必要のない、どう撮っても絵になる被写体だと思いますが…

 


修正写真で入賞取り消し(中国)

2012年02月05日 | モラル

私見・写真の修正について  (1)

中国の写真コンクールで入賞作の約半数が修正されたものだったため、入賞を取り消されたというニュースがネット(2012.2.5 msn産経ニュース)で出ていました。

『中国の写真専門誌などが主催する全国規模の写真コンテスト「“影像中国”全国撮影芸術大展」のドキュメンタリー作品部門で、当初の入賞作52点のうちコンピューターで修正されていた25点を含む27点が、このほど入賞を取り消された。4日付の中国英字紙チャイナ・デーリーなどが伝えた。 1等の作品も「修正」と判断され資格を失った。高速道路工事の現場を撮影した8枚組の写真だが、実際にはない山が背景に写っていたという。…以下略…(共同)』

という内容。

食品などの偽装が問題になっている中国で、写真コンクールも…、という感じですね。入賞作の中に修正した作品が半数もあったというのは、ちょっとひどい。

ただ、記事を読んでいて、写真はどこまで修正が許されるのだろうと考えました。

◇ドキュメンタリー

先の記事で注意すべきは「ドキュメンタリー作品部門」だというところです。

現実を写すのがドキュメンタリー。工事現場の背景に実際にはない山を付け加えたのでは、賞を取り消されてもしかたがないでしょう。

これとは反対に現実には存在するものを「じゃまだから」と消してしまうのも、現実を誤認させることになり、いけないことだと考えます。

写真コンクール以外にも報道写真や記録写真(建築現場、環境調査、裁判の証拠など)の修正は基本的にないというのが前提。もし修正があれば社会問題に。

もっとも、報道写真が全く現実そのものかというと、過去には色々なことがあり、胸を張れるものではないことも事実です。

30年ぐらい前までの新聞など報道写真の世界では、画像の不鮮明さを補う意味もあって、モノクロプリントに灰色や白黒の絵の具で筆を入れる修正は日常茶飯事でした。人物の場合、輪郭を強調したり、髪の毛は黒く、背広の肩の部分は光が当たっているように明るい灰色に、という具合。これが網点の印刷物として出来上がると、なんとなく自然に見えたから不思議です。

 もっと古い新聞になると、見るからに、やりすぎと思えるぐらいの修正をしている写真がいくらでもあります。

近年のカラー時代になってからは、そんな前近代的な作業はなくなり、修正は不可という意識も年々シビアになっているようです。某新聞社の「ねつ造写真」が大きな問題になったことも影響しているかもしれません。

ただ、今でも例外的に、名月の写真を「合成写真」と但し書きを付けた上で載せるとか、選挙の候補者の街頭演説の写真で、タスキなどの候補者名にモザイクをかけるとか、修正が許容される、あるいはやむを得ない場合もあると思われます。

それ以外は、無いものを加えたり、在るものを消したりが許されない厳しさが、ドキュメンタリーたるゆえんでしょう。少なくとも建前としては…

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ドキュメンタリー以外の分野の写真では、話はまた違ってきます。これについては日を改めて考えてみたいと思います。