ソニーが16日、35mmフルサイズミラーレス一眼カメラ「α7」シリーズを発表しました。発売は11月15日。(プレスリリース )
VIDEO
ソニーの公式ビデオ(ユーチューブ)
高画素機の「α7R」(フリー画像)。
画素数は少ないが機動性のある「α7」(フリー画像)。
「α7R」(3,640万画素)と「α7」(2,430万画素)の2機種。その位置づけについて、デジカメWatch によれば、
『同社の位置づけでは、α7RはAマウントフラッグシップのフルサイズ機「α99」 の下、α7はAマウントAPS-C機「α77」の下で、EマウントAPS-C機「NEX-7」の上に位置する。』
と書かれています。
フム、そういうことになるのかな… と思いました。
3,640万画素という飛び抜けて高画素のα7Rは、画素数ではα99(2,430万画素)を上回ります。さらに、当然比較されるであろうニコンD800/800E (3,630万画素)をもわずかに上回っています。
α7Rは、今までニコンの独壇場だった、35mmフルサイズで中判カメラに迫る高画質をたたき出す(おそらく)というのに、α99より格下なのか…
やはりソニーはAマウント機を大事にしているのですね。というか、カメラの性能は画素数だけではないということなのでしょう。
それはスペックを改めて確認していくうちに、何となく分かりました。
◇遅~い!連写速度
画期的なカメラなのになぜマイナス点から書くのか、とソニーユーザーから怒られそうですが、連写の際立った遅さが気になりました。
α7Rの連写速度は、仕様によると「最高約1.5コマ/秒、速度優先連続撮影時 最高約4コマ/秒」となっています。1.5コマ/秒なんて、単写の連続ででもできるのでは?
速度優先連続撮影は、(取説を見ないと正確には分かりませんが)ピントと明るさが1枚目で固定されるモードでしょう。それでようやく最高約4コマ/秒。
遅いですね。やはり3,640万画素はデータ量がハンパじゃなくて、重たいのかもしれません。それにコントラストAFのみですし…
α7の連写速度は「最高約2.5コマ/秒、速度優先連続撮影時 最高約5コマ/秒」となっています。
これだとまだマシ。それでもあまり速い方ではないです。
ひょっとして、α7という、ある程度機動性を持たせた機種を別に出したのは、α7Rがあまりに(連写などが)遅いので、それを補う意味で考え出されたのではないか? と勘ぐってみたくなります。
ともかく、α7Rは連写するカメラではなく、じっくり構えて撮る超絶画質のカメラ。一方、α7は、連写速度もそこそこあり、像面位相差AF(117点)コントラストAF(25点)を備え(ファストハイブリッドAF)、動体追従性など機動力に優れたカメラということになります。
誤解のないように言うと、α7RもAF自体は速くなっているとのこと(NEX-7の1.6倍)。決して鈍重なモデルではないようです。
◇軽さ一番
α7Rの重さ(本体のみ)は407g !! レンズ交換式フルサイズ一眼では世界最軽量。
α7も416g(本体のみ)で、どちらも本当に信じられないぐらい軽いですね。ニコンD800は900g(本体のみ)ですから、その半分以下の重さのカメラで、同じフルサイズ・超高精細の絵が撮れるとしたら… これは驚異です。
まさにこれは、カメラ愛好家だれもが望んでいたものではないでしょうか。
これだけは絶対評価できます。
◇画像処理エンジン
α7シリーズは、従来比約3倍の高速処理性能という、新画像処理エンジン BIONZ Xを搭載。デジタルカメラ特有の輪郭強調をするのでなく、自然な描写をする「ディテールリプロダクション技術」が盛り込まれているとのこと。デジタルカメラのモヤモヤした画質に飽いているカメラマンにはうれしいことです。
パンフォーカスの写真を撮るために絞り込んだ時に発生する「小絞りボケ」を低減する機能も。これはキヤノンのRAW現像ソフトDPPの「デジタルレンズオプティマイザ」機能のようなものをカメラの中に取り込んだと考えられます。
また、BIONZ XはAFの高速化にも役立っているようです。
◇デザイン・操作性
デザインは武骨で個人的には感心できませんが、操作性は良さそう。グリップの上と背面にある2つのダイヤルやコントロールホイール、露出補正ダイヤルで、迅速・直観的な操作ができそうな感じです。
◇価格
ソニーのニュースリリースでの市場推定価格は、
「α7」ボディのみ 150,000円前後 「α7」(FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS レンズキット) 180,000円前後 「α7R」ボディのみ 220,000円前後
「フルサイズ機ならそれぐらいするだろうな」という、一応の想定範囲でしょうか。
ただ、問題はレンズですね。
◇レンズ
同時に発表されたEマウント・フルサイズ用レンズは次の通り。
ツァイス Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA ツァイス Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA ツァイス Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS FE 70-200mm F4 G OSS
(事前の噂とは一部違い、FE 28-70mm F3.5-5.6 はGレンズではなく、またFE 70-200mm F4 はツァイスレンズではありませんでした)。
このうち、11月15日の発売開始時に手に入るのは、ツァイスSonnar T* FE 35mm F2.8 ZA とα7のキットレンズとしてのFE 28-70mm F3.5-5.6 OSS (単体発売は来年2月)だけ。あとは来年まで待たなければなりません。
それは仕方がないとしても、ツァイスレンズはやはり高めですね(88,200円~132,300円)。
たとえば、α7Rボディと上記ツァイスレンズ3本をそろえたとすると、多少値下がりしたとしても、50万円以上になりそうです。
極上の画質が手に入るなら、それぐらいは… と決断できるかどうか。
考えどころです。
「α7」ズームレンズキット(フリー画像)。
さっそく特別体験会 があります。新製品は、まず手にとってみてからの話。
でも触ると欲しくなりそう…
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