数十年に一度しか咲かないといわれる竹の花が、大阪・長居植物園で咲いたとのこと。
さっそく見てきました。
長居植物園の竹笹見本園。
6500平方メートルのエリアに、31 品種の竹や笹が植えられています。
花が咲いたのは、この中のホテイチク(布袋竹)。「ただいま開花中」の案内坂が立っていました。
マダケの一種で中国原産。
「枝は各節から2本ずつ出て、1本は太く、もう一方は細い。枝の出た節間(ふしかん)には溝ができる。ホテイチクの基部の節間は狭くなりふくらむのが特徴だが、植物園のものはこの特徴が現れていないものが多い」と、かなり専門的な説明が。
あとで調べたところ、釣り竿や杖の材料になり、タケノコは食べられるそうです。
新聞で知ってやってきた人が数人。花は全く地味なので、みんな「どこに花が?」と迷っていました。
ホテイチクの花。
枝先からホウキのように出ているのが花。そこから雄しべが垂れ下がっています。
まわりのホテイチクが、一斉に開花しており「見頃は12月27日ごろまで。」と同植物園。
そのあとは種を残し、枯れてしまうというのが定説です。
望遠ズームレンズにクローズアップレンズを付け、アップで撮ってみました。
こうしてみると、葉とは全然違う形。花といわれればそうかなと…
イネ科なので、何となく稲の花にも似ていますね。
さらにクローズアップすると、雄しべの構造が見えてきます。
黄色い雄しべ。咲き始めは薄緑か薄黄色で、しばらくすると白く乾燥するようです。
めったに見られないものを、じっくり観察できました。
竹に花が咲くのは60 年に1度とも、100 年に1度とも。品種によっても期間が違うようです。
気になって図書館で調べてみると、『ふしぎの植物学』(田中修 著 2003 年 中公新書)という本に、次のように書かれていました(数字は算用数字に変えています)。
『ササやタケの花は、めったに咲かない。一般的には、「ササやタケは、60年あるいは120年ごとに、花が咲く」と噂され、実際、花咲くことが珍しい。30数年前の1970年の春、わが国の中部地方以西で、ネザサがほとんどいっせいに花咲いた。
この年は、噂を裏づけるように、奈良県で記録されている1850年のネザサの大開花から数えてちょうど120年目であった。これが単なる偶発的現象か、あるいは、ネザサがなんらかの方法で正確に120年の時を刻み続けたのかは定かでない。』
まさに植物の不思議ですね。
人間の一生を超えるスパンなので、一度見るともう見られない、という感慨にとらわれますが…
植物生理学の専門家である、著者の田中氏によると、そうでもないらしいです。以下は再び同書から。
『ササやタケの花が咲くことが珍しいのは、たしかである。だが、「一度見ると、もう、一生見られないか」というと、そういうものではない。ササやタケにはいっぱい種類があり、それぞれの種類は決まった周期で花を咲かせる。ササやタケの種類を問わなければ、ササやタケの花を意外といろいろな場所で、何度も見ることができる。
私が1970年のネザサの開花を見て以来、30年以上がたつ。その間に、私は「もう、一生見られない」と感傷的な気持ちで、何度もササやタケの花を見てきた。特に、この3年間は、名も知らぬササやタケの花を含め、毎年見ている。どれも、同じような、小さな清楚な花である。』
へえ、そういうものなんだ、と思いました。
咲く周期が長いだけで、タケやササにとっては開花は正常な現象。人間が勝手に、神秘的に感じたり、吉凶に結びつけたりしてきただけなのかもしれません。
竹の花を撮っただけではもったいないので、ついでに他の花も撮ってきました。
なんと、桜ですよ!
冬に咲く「ヒマラヤザクラ」だそうです。
ヒマラヤザクラ。可憐ですね。
こちらは、割によく目にする「ジュウガツザクラ(十月桜)」。
春と秋のニ回、開花する品種で、冬になっても咲いています。
サンシュユの実。
冬枯れの風景の中、彩りを添えています。
長居植物園のビニールハウスで開かれている「クリスマス展」(12 月25 日まで)。
クリスマスイルミネーションも撮ってきました。
次回にアップします。
-----------------------------------------------------------------------
撮影カメラ・レンズ
キヤノン EOS 6D
EF70-300mm F4-5.6L IS USM + ハクバ MCクローズアップレンズ No.2
ソニー RX100