キングofスコッチ古酒
以前ご紹介した「キングofスコッチ」の古酒です。ボトルナンバーから1980年頃に詰められたものです。栓はコルク製でボロボロになっていて封を切った時、コルクの先がちぎれて瓶の中に落ちてしまいました。
グラスに注いでみると透明な琥珀色ではなく、薄い濁りが出ています。そこで珈琲のペーパーフィルターで濾してみたら、透明になって味も香りも変化ないようでした。
シリコンゴム製の上戸に珈琲のペーパーフィルターを折って差し込んで、濾しました。
残り少なくなってきたら、写真のように色がほとんど真っ黒な澱が溜まっていて、フィルターも真っ黒です。言い方は良くないけれど、焦げ茶色の泥水のようです。
でも濾されたら、普通のウィスキーです。味も香りも全く普通で、しっかりウィスキーの琥珀色です。しかしまだ、ほんの少し曇りが残っています。ペーパーフィルターでは濾しきれない成分が通り抜けているのでしょう。
もともと陶器のボトルに詰められていたので、澱が底の方に溜まっていたのかどうか、判りません。
そもそもウィスキーは、発酵させた麦汁を蒸留して抽出した時は無色透明です。それを樽で熟成させることで、あの琥珀色のウィスキーになります。琥珀色のもとは樽からしみ出す木の成分なので、この濃いこげ茶色の成分は樽から出てきた不純物なのではないかと思われます。
樽からしみ出してくる不純物がウィスキーを熟成させるわけで、このような澱が出ても味が悪くなるということではないのかもしれません。
それでも、ここまで黒いと・・・ちょっと飲む気になりませんねえ。
そんな訳で(どんな訳?)、濾したものをリンゴをあてに飲んでみると、他のスコッチと比べて味はマイルドでしかも甘い! 旨味が増しているようにも思います。(思いの他、リンゴはウィスキーに合います!)しかしもともとの「キングofスコッチ」とは、少し違ってきているのかもしれません。
このスコッチは21年ものですが、同じ21年の「ロイヤルサルート」(これも陶器のボトルに入っていますね。)と香りは似ていますが、より濃厚でマイルドにしたような味わいです。
シンプルなワイングラスで飲んでみました。
近頃巷では、このようなグラスでほんの少し硬水のミネラルウオーター加えて飲むのがウィスキー好きには好まれているようです。口のすぼまったボウルの形はウィスキーの香りを際立たせ、香りも味覚ですのでより美味しく飲めます。
ちなみにウィスキーのテイスティングとワインのテイスティングには、ボウルがチューリップ型の同じスタイルのグラスが使われています。
左がウィスキー用、右がワイン用のテイスティンググラスです。ウィスキーのグラスには、シングル、ダブル、トリプルの目盛りが入っています。
時計の修理ばかりしていると煮詰まってくるので、ウィスキーを飲みながら気分をほぐしてます。でも、ほぐし過ぎると集中力を欠いて、ピンセットで挟んだ小さなネジを飛ばしてしまうので、程々にしないと。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~