太平洋戦争末期に登場した日本海軍局地戦闘機「紫電改」
ディアゴスティーニの第二次世界大戦傑作機コレクションの「川西紫電改」です。以前、同じコレクションの「フォッケウルフFw190D-9」を紹介しましたが、その完成度が非常に高く、とても気に入ったので、今回は、太平洋戦争末期に登場した日本の名機「紫電改」を手に入れました。
当時の日本の戦闘機としては、堀越二郎が設計した三菱の零戦が有名で、第二次大戦初期の頃は世界最強の戦闘機と言われていました。
真珠湾の攻撃でその性能に驚いたアメリカは、零戦に対抗すべく2000馬力級の強力なエンジンを搭載したグラマンF6FヘルキャットやノースロップP51ムスタングなどを投入して日本との航空戦力を逆転しました。その当時アメリカの主力戦闘機は、カーチスP40や艦載機のグラマンF4Fでしたが、これらの戦闘機はとても零戦の相手ではなかったようです。
当時の空中戦は機体に装備している機銃による格闘戦で、身軽で旋回性能に優れた零戦にアメリカの戦闘機は敵いませんでした。これに対しアメリカは高出力エンジンを装備し、高高度性能に優れたF6FやP51を投入して対抗してきたのです。また戦闘方法も高高度性能を生かし機体の重さも利用して、高い位置からの一撃離脱方法で、零戦との勝率を格段にアップしたのです。
新たに戦場に投入されたアメリカの新型戦闘機に対抗すべく、スーパーチャージャーを備えた高出力エンジン(1800~2000馬力)と高高度性能を併せ持つ紫電改がデビューしたのです。2000馬力級のエンジンにしては排気量が小さく、直径も零戦の”栄”とほとんど変わりません。
アメリカのF6Fなどと比べても、非常に小さく作られています。しかしスタイルはやはり零戦に比べると、機首の上下に過給機の空気取り入れ口が配置されていますのでずんぐりしていて、どちらかと言えばF6Fヘルキャットに近いかもしれません。
エンジンは、零戦に搭載されていた14気筒空冷エンジン”栄”を空冷複列星型18気筒に改良した”誉”です。またプロペラは高出力エンジンにふさわしい、ドイツVDM社ライセンスの4枚ブレードが採用されました。その直径は3.3mと、当時の日本の戦闘機としては大口径でした。
防弾装備がほとんど無かった零戦に対し、紫電改は全面風防の防弾ガラスが装着され、防弾の燃料タンク、自動消火装置も備えていました。
武装は20mm機関砲を両翼に2門ずつ、合計4門を備えていました。零戦が強いと言われたのは、当時としては高性能の20mm機関砲を備えた戦闘機は、アメリカにも無かったからです。零戦は両翼に1門ずつ、エンジン上部に7.7mm機銃を2門備えていました。
私がこのような戦争に係るテーマを取り上げるのは、あくまで機械的なものを作る上での技術的な思想に魅せられているためです。ものとして優れた性能を有する器機には優れた設計思想があり、それには非常に魅力を感じます。
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