Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

痛み

2006-06-04 | 医療・病気・いのち
 痛みの程度を伝えることは難しい。

 食道癌の手術を他院で受けた後、ずっと痛みがあるという人が来られた。手術の影響とのことで様子を見られていたようである。まず消炎鎮痛剤を処方したが、全く痛みが取れない。再発は無いと言われているようだが、どうも痛みが強そうだ。またSCCという腫瘍マーカーが上昇しており、再発もあると思われた。その方の表情はいつも少しほほえんだような感じなのでよく分からなかったが、痛みの強さを5段階に分けて考えると、5段階という我慢できないほどの痛みであると言われる。オキシコンチンを処方してもまだ痛みで夜目が覚めるとのこと。

 そこで入院の上、塩酸モルヒネの持続皮下注入をはじめたところ、1日に120mgは必要な状態(経口剤ならば300~400mg)であり、やはりかなりの痛みだったのだと思われる。

 他人の痛みは分からないといわれるが、心の痛み同様、肉体的痛みも個人の感覚であり伝えるのが難しい。少し痛むのを1、耐えられないほどの痛みを5と5段階に分けたりして、うまく伝えることが必要だし、医療者は聞き出すことが必要だ。