Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

病気なんかしたことないのに…

2006-06-25 | 医療・病気・いのち
 癌などで手術が必要として紹介されてくる方の中には、「これまで病気なんかしたことなくて、病院とも縁がなかったのに急にこんなことになってしまって。」と言われる方がいる。気持ちは分かるが、残念ながら急になったわけではない。ただ、急に現実を突きつけられただけである。

 そういう方に術前検査を行うと、糖尿病があったり、高血圧があったり、呼吸機能障害があったりと、いろいろな異常が見つかることもある。そう、自分の異常に気づかなかったり、症状を無視したりしてきただけで、病気なんかしたこと無いわけでも何でもないのだ。

 健康診断を勧めると、そんな時間は無いという反応をする方も多いが、病が進行すれば、その治療のためにかえって多くの時間を奪われることになる。必ず死ぬ身である人間は、その体にもともと病を内包しているのだ。その点を認識して頂き、保険と思って健康診断は受けて頂きたいと思う。

ミーイズム

2006-06-25 | 医療・病気・いのち
 ミーイズム(meism)と言うのは自己中心主義のことを表す。これはアメリカ人などがミー、ミーといって、自己の主張や望みを通そうとするところから、自分勝手なアメリカ人を表すように思っている人がいるようだが、日本人だって十分負けていないような気がする。アメリカの場合は、日本の社会に比べ遙かに多様性を受け入れている社会だからこそ、自己主張が求められるだけであり、必ずしも利己的であるわけでは無いと思う。さらにはディベートが盛んなアメリカにおいては、意見の相違が会って当たり前という教育がなされていると思う。つまり、利己主義ではなく、個人主義なのだ。

 茨木のり子という方の詩に「自分の感受性くらい」というのがある。生ぬるい現代の私たち日本人に、自己を確立した強い優しさを厳しく求めているような気がする。

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自分の感受性くらい  (茨木のり子)

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

酸素が足りない!

2006-06-25 | 医療・病気・いのち
 鼻までの細いチューブがつながっている小さな台車を引っ張りながら、ゆっくりと一歩一歩を確かめるように歩いている人を見かけることがある。痩せた体を、重く引きずるように進んでいく。携帯用の高圧ボンベからの酸素を吸いながらの生活が必要な、呼吸機能障害の人だ。

 人は体に栄養を取り入れるとともに、十分な酸素を細胞の一つ一つに送り込むことによって生命を維持している。その酸素を取り入れる機能が落ちると言うことは、体にとって重大な事件だ。不足分の酸素を取り入れるために、酸素吸入をしつつ生活する必要が出てくる。

 血液中に取り込まれる酸素が不足してくると、それを補おうと呼吸努力をするようになるために、正常な人より逆に多くのエネルギーや酸素が必要となってしまう。また、心臓も懸命に血液を送り届けようとがんばり負担がかかってくるので、心機能まで落ちて心不全の状態に移行する。

 言うなれば、慢性的な窒息状態である。呼吸機能障害はいろいろな原因で起こってくるが、喫煙もその原因の一つと言われる。呼吸不全の最後はつらい。正常ならば日常生活でほとんど気にかけない呼吸だが、呼吸機能が強く障害されれば、一日中呼吸努力を続けることとなる。

 一旦落ちた呼吸機能を改善させることは難しい場合がほとんど。人生の最後を呼吸努力とともに過ごすような危険性を少しでも減らすために、禁煙などの努力はした方がよいだろう。