胃の壁は層構造になっている。胃癌はその一番内側の粘膜(粘膜固有層)からが発生し、次第に深くに向かっていく。胃癌が胃の壁のどの深さまで達しているか、というのが胃壁深達度。当然深くまで癌が入り込むほど、進行度は上がり、転移の可能性も高くなる。☒一番内側の粘膜固有層というところにとどまっている癌ならば、転移の可能性が極めて低い。癌の部分を取り去ればまず治ると思われるので、内視鏡下の切除で充分。☒少し深くの粘膜下層まで進展すると、特にその層に0.5mm以上入り込むと、転移を起こしている可能性が出てくる。ただその転移は胃周囲のリンパ節にとどまっている可能性が高いので、手術できちっと切除すれば根治可能。☒さらに深くに入っていくほど、肝臓その他の臓器に転移を起こしている可能性が高くなる。手術の際にわからないような小さな転移巣が、後になって再発として現れてくる可能性が出てくる。☒癌が胃の壁の外にまで顔を出せば、腹膜播種といってお腹の中にがん細胞がばら撒かれた状態になる可能性が出てくる。さらに周囲臓器にまで癌が直接食い込めば、その臓器まで一緒に切除する必要性が出てくるが、切除自体を諦めることもありうる。☒胃癌が胃壁の浅いところにとどまっているうちに、見つけてもらうのが大切。特に粘膜固有層にとどまっているような癌を見つけてもらうには、専門家に定期的に内視鏡検査をしてもらうほうが良い。