ウォーキング

術後の患者さん
当然みなさん
少しでも早く回復しようと
いろいろ考える

無理をしてはいけないと
なかな動かない人
食事を必要以上にセーブする人
逆に食べなければならぬと頑張る人
腹式呼吸をする人
などさまざま

そんな中
術後5日目位から
Fさんは病棟を歩きまわった

当院の病棟はぐるっと回ることができるのだが
Fさんはそれを利用して
ぐるぐると周回するのだ

日毎に周数 勢い 手の振り巾　が多くなる

朝の回診の時間帯も
ご自分の部屋が近づくまでは
ぐるぐる　ぐるぐる

Fさんのなかでは
少しでも歩き　体を動かすことが
納得するためにどうしても必要なことだったのだろう

近くの公園で
一心不乱に前を向いて歩き続ける人を見ると
Fさんを思い出す
本当にいいのかなぁ？

おやすみ

「おやすみなさい」
夜眠る前に交わす
当たり前の挨拶

でも
最後になるであろう
「おやすみ」
もある

これまでありがとう
お疲れ様
おやすみなさい

そういうお休みを
悲しみの中にも穏やかさをもって
言えるような生き方を　準備を
したいものだと思う

私の場合は
お休みの言葉とともに
よく頑張ったねと
頭を優しくなぜてもらえたりすると
さらに嬉しいかも

原因治療

病を癒すには
原因治療が最短であろうが
原因のわからぬ病や
原因を取り除けぬ病もある

そんなとき出来ることは
症状を少しでも軽く　穏やかにする努力

そういう努力は
病院においてはちょっと下に見られている
という気もするが
まずは症状緩和を目指すことが
苦しみを少なくしてあげることが
大切なんだろうといつも思う

原因治療にばかり注意が向き
症状からくる苦しみに目が向かないようでは
よろしくないだろうと思う

症状を緩和し　
できれば取り除く治療が大切なんだ
医療の基本なんだ
と得心できれば
完治できぬ病を前に敗北感を感じたり
患者さんから離れたりすることなく
進んでいけるはず