再読なのだが、何度読んでもすばらしい。「怖い絵」というタイトルがキャッチーなのか、それとも誤解を招いているのか、ちょっと微妙だと思う。
この本の主張は、「絵なんてなんの基礎知識もなくて本能のまま感じれば良いのだ」と言う主張は間違っている、ことだと思う。
絵には例えば時代背景が隠されている。それを知らなければ正しい理解はできないのだ。(現代の)パロディだってみんなが元を知っているからパロディーの意味がある。ニュースやテレビを見ているからギャグが笑える。知らなければ笑えない。それは理解してないことだ。
それでも、正しい理解なんて必要ない、きれいな絵はきれい、それだけだ、というなら、まあ勝手にしてくれ。
そういうわけで、名画を見るための基礎知識や背景を解説してくれている。それを知ることによってその絵の別な面も見えてきて、怖くなったり、より美しく見えたりするのだ。絵の、大人の見方を教えてくれる。絵以外もきっとそうなのだ。知ることは喜びだ。