これも友達が貸してくれたもの。睾丸癌闘病記。まあよくある話だなんて書いたら怒られるだろう、他人(ひと)ごとじゃないんだから。暗くならず(いや、暗くなっているのだが)肩に力が入らずうまく書いていると思う。良い作品になっている。
吾妻ひでおの「アルコール病棟」を思い出した。アルコール病棟だって死ぬ死ぬと脅されるし不治の病なのだが、死を実感するという意味で、あまりそう感じないのは不思議だ。
著者はこの作品で終わりではなく、その後も活躍しているようだし、5年以上再発しないでいるらしい。こんな無責任な一読者なのに、それが何よりうれしいことだ。