ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『dele/ディーリー』最終回

2018-09-24 12:00:13 | 探偵・青春・アクションドラマ





 
ブログで昭和ドラマを語りつつ、合間に『dele』みたいな最新の番組を観ると、TVドラマの(見せ方の)進化をヒシヒシと感じさせられます。

映像がスタイリッシュで、話の展開がスムーズで、俳優の演技がリアルで、総じてクオリティーが高い。

全ての番組がそうとは決して言えないし、同じ金城一紀さんが手掛けられた作品でも(綾瀬はるか主演『奥さまは取扱い注意』みたいに)うまく行かない時もあるけど、とにかく「見せ方」に関しては行き着く所まで行っちゃった位に進歩してると思います。

例えば昨年の『CRISIS/公安機動捜査隊特捜班』はアクション系刑事ドラマの究極形だと感じたし、この『dele』は『傷だらけの天使』に代表されるコンビ物探偵ドラマの究極形。最終回ではさらに『ザ・ハングマン』の究極形まで見せてくれましたw

『ザ・ハングマン』はシリーズが進むにつれ、荒唐無稽な悪者の「吊し上げ」をギャグにして誤魔化すようになっちゃったけど、この『dele』最終回は徹頭徹尾シリアスに描き切り、失笑を買うこと無くちゃんと我々にカタルシスを与えてくれました。見せ方の進歩があればこその偉業です。

必要以上に視聴者やスポンサーからのクレームを恐れ、女性視聴者に媚びてばかりいる昨今のテレビ番組を、私はふだんボロカスに言ってますし、頭から「今のテレビ番組は下らない」と決めつけてる同世代の人も多いけど、この『dele』最終回みたいな話をシリアスに見せ切ってしまえる手腕、そのクオリティーの高さだけは素直に「素晴らしい」と認めるべきだとも思ってます。

もちろん、好き嫌いがあるのは仕方がない。私とて、どんなにアラが見えようとも(だからこそ)昭和ドラマが大好きって気持ちに変わりはありません。CGがどれだけ進化しようと、特撮ヒーロー物は手作りの温かみを感じる昭和作品の方を断然支持します。

でも、それはそれとして、『CRISIS』や『dele』の凄さをスルーしちゃうのは勿体ないと思います。少なくとも公の場で作品の良し悪しを語るなら、ちゃんと見なくちゃいけません。

図らずも最近ブログをリニューアルすることになり、その作業に時間を取られて全話は観られなかったし、同時期に『透明なゆりかご』という異常にハイクオリティーな作品が存在した為、この『dele』を強く推す機会を逸してしまったけど、現在ならばネット配信なりレンタルなりで観る方法はいくらでもありますので、今更ながら未見の方には是非オススメしておきます。

チャレンジ精神、パイオニア精神に溢れた昭和ドラマはサイコーだけど、窮屈な環境の下で何とか知恵を絞って面白いものを生み出す、現在の(一部の、だけど)ドラマ制作者たちも大いに私はリスペクトします。
 
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『俺たちの勲章』最終回

2018-09-24 00:00:32 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第19話『わかれ』(終)

(1975.9.24.OA/脚本=鎌田敏夫/監督=降旗康男)

麻薬密売の罪で服役していた男=竹中(樋浦 勉)が脱獄します。すぐさま犯罪仲間の情婦(吉行和子)から拳銃を調達した竹中の目的は、かつての恋人=千恵(片桐夕子)に復讐すること。

かつて喫茶店に勤めてた千恵は、常連客の五十嵐(中村雅俊)と親しくなり、彼を刑事とは知らず恋に落ちた。五十嵐も千恵に本気で惚れてたんだけど、上司の野上係長(北村和夫)は、千恵から竹中に関する情報が何か得られると踏んで、刑事の身分を隠して千恵と交際するよう五十嵐に命じた。

そして五十嵐と一緒になりたかった千恵は、竹中と手を切る為に彼を警察に売ったのでした。ところが竹中が逮捕されて初めて、彼女は五十嵐が刑事であることを知ってしまう。自分が捜査の為に利用されたと悟り、五十嵐の前から姿を消した千恵は、それから転落の一途。現在は売春バーのホステスとして働いてるのでした。

五十嵐は複雑な思いを抱えながら、中野(松田優作)と二人で千恵をガードするんだけど、当然ながら千恵は協力を拒み、そのせいで竹中にあっさり射殺されてしまう。

自暴自棄になって荒れる五十嵐に、中野は「あの女は竹中に撃たれたかったんだ。お前には関係ないんだよ、ああ?」と言って不器用に励まします。

「お前よう、デカだろうが? ああ? 女撃たれて悔しかったらよう、なんで竹中捕まえようと思わないんだよお前! おお?」

中野のゲキによって何とか発奮する五十嵐ですが、上司の野上係長や山下刑事(早川 保)は追い討ちをかけるように汚い策を講じます。マスコミには千恵がまだ生きていると発表し、竹中を病院に誘きだそうと言うのです。

これは残酷大将=鎌田敏夫さん(脚本)の得意技で、元恋人に対する犯人の「想い」につけこみ、死人を利用して罠にかけるという、まさに残酷大将の名に恥じぬ鬼畜っぷり。『太陽にほえろ!』でも同じ手を使ってました。

で、狙い通りに竹中は病院に現れるんだけど、五十嵐が飛び出して「千恵さんは死んだ! これは罠だよ、逃げろ!」なんて叫んじゃう。それで逃走した竹中が、追って来る中野たちに向けて拳銃を乱射し、あろうことか通りすがりの市民に弾丸が当たってしまう! なんたる不運! なんたる残酷大将!

竹中に手を貸してた例の情婦から、彼の隠れ場所を容赦ない暴力で吐かせた中野は、放心状態の五十嵐を無理やり引っ張って現場に向かい、二人して満身創痍になりながらも遂に逮捕するのでした。

不幸中の幸いで、流れ弾を食らった通行人は軽傷で済んだものの、中野には山奥の警察署への異動、すなわち左遷の辞令が下されます。

そして五十嵐は、辞表を出しました。刑事という仕事を続けて行くには、彼はあまりに優し過ぎたのかも知れません。

中野は恋人(鹿間マリ)との待ち合わせ場所に現れず、五十嵐も自分に想いを寄せてくれた事務員の雪子(坂口良子)に別れを告げ、ホームタウンの横浜を去って行くのでした。

いつも通りにフワ~っと事件を解決してフワ~っと終わった続編『誇りの報酬』('85~'86)とは対照的に、実にハッキリとしたケジメが描かれた『俺たちの勲章』の最終回。'60~'70年代のドラマやアニメは、こうした「挫折の美学」で幕を閉じるのが定番でした。刑事物ならやっぱり転勤、退職、殉職の三択ですよね。

『誇りの報酬』は『俺たちの勲章』の10年後をイメージして企画されたらしいけど、こんな辞め方をした五十嵐がまた刑事に戻るとは到底思えません。優作さんにオファーを断られた時点で「別物」と割りきったんでしょうけど、もし優作さんが引き受けてたら『誇りの報酬』は一体どんなドラマになっていたのか?

まぁ'80年代だし、あの『探偵物語』を経た後だからノリはやっぱり軽いものになったかも知れないけど、最終回だけはシリアスに、中野が殉職するようなケジメが描かれたかも知れません。そうなると後番組『あぶない刑事』ももうちょいシリアスにならざるを得ず、刑事ドラマの歴史は少し違った流れになってたかも?

「if」の話ばかりしても意味ないんだけど、もし優作さんが『誇りの報酬』に出ておられたら、少なくともあんなにフワ~っとしたドラマにはならなかったような気がします。あのフワ~っとした感じって、明らかに雅俊さんの醸し出す空気なんですよね。

で、この『俺たちの勲章』の暗くてシャープな感じは、優作さんの空気。時代背景の違いはもちろん大きいけど、『~勲章』は優作さん、『~報酬』は雅俊さんのカラーに合わせて創られたことが、この2作のテイストを違ったものにした大きな理由の1つ、なのかも知れません。

それにしてもこの最終回、女優陣がやたら豪華です。ゲストは前述の吉行和子さん、片桐夕子さんに加えて『ウルトラマン』のフジ・アキコ隊員こと桜井浩子さん。そしてレギュラーの坂口良子さん、鹿間マリさん、結城美栄子さん。

『俺たちの勲章』はやたら女性の不幸を描きたがるドラマ(たぶん残酷大将の趣味)で、それだけに女優さんのキャスティングにも力が入ってました。

第14話にゲスト出演された五十嵐淳子さんを、優作さんと雅俊さんが奪い合ったっていうのもファンの間じゃ有名な話です。(結果はご存知の通り雅俊さんの勝利で、以降、優作さんとの共演はありませんw)

セクシーショットはメインゲストの片桐夕子さん、当時23歳。日活ロマンポルノから一般作に進出し、成功された女優さんの先駆者で、数多くの作品に出演されてますが、現代劇の連ドラはこの『俺たちの勲章』が処女作だったみたいです。

刑事物へのゲスト出演は他に『はぐれ刑事』『大都会PART II』『大追跡』『大空港』『熱中時代 刑事編』『警視庁殺人課』『特捜最前線』『刑事物語'85』など枚挙に暇なしですが、中でも『太陽にほえろ!』は通算5回の最多出演となりました。

美人なのか不美人なのか、セクシーなのかそうでないのか、見る人によって評価が岐れるかと思いますが、画面で見るよりも実際にお会いした方がずっと色っぽい女性なんじゃないかと、私は勝手に想像してます。
 
コメント (7)
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