





NHKの土曜夜8:15「土曜ドラマ」枠でスタートした30分ドラマ。安藤祐介さんの小説が原作になってます。
かつて過失で人を殺してしまった元ラガーマンの男・丸川(高橋克典)が、5年の刑期を終えて出所するも居場所がなく、死のうとした時に宇多津(萩原健一)という老人と運命的な出逢いをします。
40歳以上の男たちによる「不惑ラグビー」チームの最年長者である宇多津は、丸川がラグビー経験者であること、そして死のうとしてることを瞬時に見抜き、強引に彼をスカウトしてチームに引き入れます。
最初は「自分にそんな資格はない」と固辞する丸川だけど、それぞれ同じように心の傷を抱えたオヤジたちと接する内に、気持ちが変わっていく。
昨年、NHKの「ドラマ10」枠で放映された竹野内豊 主演の名作『この声をきみに』と同様、人生のどん底にいた男が運命的な出逢いにより、居場所を見つけて再生していく物語みたいです。
不惑ラグビーのチーム名がヤンキースならぬ「ヤンチャーズ」って事で、リーダー役はショーケンさんですw いくつになっても、何も言わずとも全身からヤンチャさが滲み出てますw
こうした「魂の救済」ドラマにまずハズレは無いんだけど、宇多津役にショーケンさんをキャスティングした事で、より説得力が増したんじゃないかと思います。
最年長者で、しかも癌で余命宣告を受けてる言わば「枯れた」男なんだけど、持って生まれたカリスマ性で「惑い」だらけの男たちを引っ張ってる。
そのカリスマ性を強調して悪玉のボス役なんかやらせると、クドすぎて臭くなっちゃうショーケンさんだけど、今回は老人で病人の役だからあくまで抑えた芝居で、ちょうど良い具合にアクが抜けてるんですよね。
「ラグビーは後退しながら前に進む。まるで人生みたいじゃないか」
そんな台詞も、まさに幾多のトラブルで後退を繰り返し、それでも前に進んで来られたショーケンさんが言うからこそ深みを感じます。
しかしそれにしても、ひよっこの新米刑事「マカロニ」を演じられてから、気がつけばもう46年……そりゃ我々もトシを取るってもんです。
高橋克典さんも以前みたいな強いアクが抜けて良い芝居をされてますが、今回の見所はやっぱショーケンさんに尽きると思います。現在の萩原健一を活かすならこう使うべし!っていう、お手本みたいなキャスティング。
ほか、ヤンチャーズのメンバーとして渡辺いっけい、村田雄浩、徳井 優、松尾 諭、高橋光臣、丸川の元妻に戸田菜穂、宇多津の妻に夏木マリ、ライバルチームの元ラガーマンに竹中直人と、なんだか刑事ドラマ濃度の高いキャスティング。
ポートレートは渡辺いっけいさんの娘を演じた、中村ゆりかさんです。